若き浅丘ルリ子に魅せられた巨匠が彼女の為に作ったといいながら実はドM願望映画「女体(じょたい)」 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。

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谷崎作品や乱歩の「盲獣」など変態文学の映画化に長ける増村保造監督が浅丘ルリ子に魅せられて製作したといわれるオリジナルストーリーの映画です。

食堂の店員ミチは学生運動真っ盛りの大学に乗り込み、理事長の息子に暴行されたので200万円支払えと理事長をゆする。

理事長の秘書の信之は理事長の娘である妻の反対を無視してミチに200万円支払う。

ミチは信之の優しさに惹かれ彼を強引にホテルに誘うが信之は彼女を拒絶。

そんな信之もミチが同棲している五郎に金をたかられているのを知ると彼女に同情し、五郎からミチが解放されるように五郎に手切れ金を払う。

しかし、五郎はミチと別れるどころか金の出所が裏金だろうと信之をゆする。

二人はもみ合ううち、五郎が転倒し頭を打ち死んでしまう。

五郎を死なせた信之は全てを失いミチとバーを始めるが、ミチは信之の妹の婚約者を狙っていた…

固い仕事をしていた中年の信之は娘ほどに若いミチに翻弄され彼女に尽くすが、彼女は恋多き女で好きになると歯止めがきかなくなるタイプ。

この映画は奔放な女の物語のようで、実は女に振り回されるおっさんの物語でした。

信之役は岡田英次で妻役は岸田今日子。なんと「砂の女」カップルです。

ミチ役が浅丘ルリ子です。

浅丘ルリ子は冒頭から大学の応接室の机をかじったり、自分からガンガン男に迫り1回だけキスさせろとキスで男を落としたり、ハイテンションで奇行しまくりです。

奔放な若い女に尽くして人生を踏み外す中年男はある種ロマンです。

例えは古いけど、「痴人の愛」とか「ベティ・ブルー」とかと同系列な感じ。

岡田英次はいつも棒演技ですが、それが生きるのに不器用な中年男役にぴったりだったりします。

増村保造が谷崎作品を多く手掛けたのは監督自身も谷崎同様ドMなたちだったからなのか。

タイトルは女体ですが、ルリ子は裸になりません。やたら下着姿になり男を誘惑します。

ただこの頃のルリ子はすでにかなりガリガリでエロ的には全然そそりません。

これが「海街diary」の姉妹を演じた綾瀬はるかや長澤まさみや夏帆みたいなボディだったらどんなにごほうびか。

でもこの頃のルリ子はボディではガリでも充分魅力的で、全盛期の中山美穂のように野性的な魅力に溢れています。

今、若尾文子が再評価されていますが、若い頃のかわいいルリ子も再発見されてほしいものです。