新年早々、「ルパン三世 念力珍作戦」のDVDが激安で売っていたので保護しました。
1974年の実写版ルパン三世映画で公開時は「ノストラダムスの大予言」と2本立てだった作品です。今となってはどちらもカルトなすごい2本立てです。
タイトルが念力珍作戦なのは当時ユリ・ゲラーによる超能力ブームだったから。
ルパン三世は護送車の中の美女に一目惚れして、彼女の脱走を手引きする。
彼女に逃げられ囚人服を着せられていたルパンは逮捕されるが、証拠不十分で釈放。
ちなみにルパンが逃がした女性は峰不二子。
銭形警部は上司からルパンがルパン帝国を築いたルパン二世の息子であることを知らされ、ルパン二世の手下だった次元大介はルパン三世をさがしていた。
ルパン二世は手下だったマカ・ローニ一家らの裏切りで壊滅し、ルパン三世も命を狙われていた。
ルパン三世は再会した不二子の提案で56億円もの宝石を強奪するが・・・
ルパン三世役が目黒祐樹(松方弘樹の弟)、次元が田中邦衛、銭形が伊東四朗、不二子が江崎英子というキャスティングで原作とは全く似ていない俳優が起用されています。(伊東四朗の銭形は見た目だけちょっと似ている)
内容もアニメ1期の後に作られた作品だけど、アニメは意識せず、一部原作漫画を再現した場面はあっても完全にオリジナルの世界観で作られています。
これに比べたら小栗旬の実写版「ルパン三世」でさえかなりアニメ寄りに見えます。
しかしながら違和感や不愉快さを全く感じないのは、この作品がもはや「ルパン三世」じゃない何かのアクションコメディとしてやりきっているから。
いくつかの場面は子供の頃にテレビで観たことを思い出させましたから印象的な場面が多いのかも。
基本的にはスラップスティックコメディでけっこう手間暇かけた映像表現が多く作り手の本気を感じます。
タイトルからすでに当時のはやりもののパロディ(ルパンがワルサーじゃない金色のピストルを持っているのは「007黄金銃を持つ男」と同じ1974年の作品だからか)だったりするので、若い人には元ネタのわからないセリフや展開も多いかも。
ストーリーはあってないようなもので昔の香港のコメディ映画みたいにただただバカバカしい場面だらけです。ジャッキー・チェンの「シティハンター」と同じくらい原作から逸脱しています。
目黒ルパンは胸にルパン一族のマークのタトゥーを入れていたり、やたらズボンを脱いで不二子を狙います。
田中邦衛次元はスーツの色が違い、五右衛門みたいなセリフを言うことも。
不二子はグラマラスさに欠けるプロポーションで、ルパンが執着する説得力に欠けますが目黒ルパンがすぐパンツ姿で追いかけるので、不二子の価値が高く見えてきます。
原作のスケベでユーモアある怪盗というキャラ設定には100%答えています。
マカ・ローニ一家の感じが007のスペクターっぽいし、ルパンの白いスーツ姿もスペクターのボンドっぽかったりするので、奇跡的に今でもパロディがハマる場面があります。
コメディなのでアクションが緩く感じますがやっていることを冷静に考えるとけっこう身体を張っていたりして俳優も頑張っていることに好感を持てました。
原作の熱烈なファンでなければ楽しめるアクションコメディ映画かも。
これを観たら小栗旬ルパンにも優しい気持ちで観られそうです。