公開当時全く話題にならなかったけど、日本では珍しいハードボイルド映画の傑作。再評価求む「鉄と鉛」 | キネマ画報

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「BE-BAP-HIGHSCHOOL」の漫画家きうちかずひろが1997年に監督した渡瀬恒彦主演のハードボイルド映画です。

公開当時に劇場で観ています。
「櫻の園」以来ファンだった白島靖代を観るためだったけど。

元刑事の探偵が女の依頼をうけて女の夫を探し出す。

女は妻ではなく男の愛人で男を銃で撃ち殺す。

探偵の元に少女みゆきが家に帰らない兄を探してほしいと依頼にくる。

しかし、男は以前麻薬がらみで逮捕歴があり、彼に関われば危険な目にあうのが目に見えていた。探偵はきちんと理由を説明して依頼を断った。

そこへ殺された男の父であるヤクザ組長が探偵を訪ねてくる。

息子ばかりか夫の死を知った妻がこどもを予定日より早くより出産し、その子は22時間と13分した生きられなかったと。

組長は息子と孫の死は探偵のせいだと、探偵に孫が生きた時間の22時間13分後に殺すと宣告する。

どのみち死ぬのだからと探偵は一度断った少女の依頼を受ける。

組長は探偵の見張りに部下の矢能をつける。探偵は矢能の隙を見て銃を奪い、みゆきの兄の交遊関係を探り、みゆきの兄の居場所を突き止める。

みゆきの兄は昔の仲間に誘われ少年を誘拐していた…

渡瀬恒彦演じる探偵がヤクザに死刑宣告され、普段は受けないヤバイ仕事を受ける。

探偵の監視役のヤクザははじめ笑って探偵がボロボロになるのを見ているが探偵の男気に感じ入り、彼と行動をともにする。

きうちかずひろは漫画「BE-BAPHIGHSCHOOL」でも映画でもバイオレンスと男気の作家です。

漫画ではビーバップの鼻エンピツとかめちゃめちゃ痛そうなケンカを描き、Vシネマや映画では銃を使った殺伐とした死に様を描写します。

この作品は渡瀬恒彦と成瀬正孝という俳優に非常に愛をもってキャラクター造形されています。きうち監督がヤクザ映画好きなのはビーバップのキャラの名前からもわかります。

制限時間を決めた死刑宣告で探偵がヤケ気味に無茶をするシチュエーションとか、導入に物語を弾ませる仕掛けを設定し、後の展開を期待させます。

個人的には目当てだった白島靖代が瞬殺されてしまうのが残念ですが、映画が伝説になるのもわかる仕上がりです。

公開当時は全く話題にならず、この映画に関して誰かと話したことすらありませんでしたが、この作品がDVD化されたことに胸熱です。

こういう男のためのエンターテインメントが海外なら「マッドマックス怒りのデス・ロード」とかが出てきているけど、日本ではなかなか作られないのが現状。

こんなに熱い作品を作りあげたきうちかずひろが最近監督を出来ていないことがその証拠です。

エロ要素のないときの石井隆映画といい映画自体良くても日本ではハードボイルド映画はヒットにつながらないのが残念すぎます。