
仕事でくたくたで風邪ひいてしんどいけど、観る時間が出来たので観にきました。
それほど観たかった園子温の新作です。
武藤組の姐さん、しずえは家に襲撃してきた敵対する池上組のヒットマンを返り討ちにし、殺人罪で服役となる。
しずえの願いは子役をしていた娘のミツコの主演映画を観ること。
武藤はしずえの出所までに映画を作るべく、知り合いの映画プロデューサーに頼んで娘の主演映画を撮影していたが、撮影終了10日前にミツコが恋人と一緒に逃亡してしまう。
すぐ見つかって父に監禁されていたミツコだが、再び勃発した組の抗争に乗じて逃げ出す。
ミツコは行きずりの男、公次に一日恋人役をお願いし、恋人のふりをして追っ手をまこうとするが、あっさり父の部下たちに捕まり再び映画撮影へ。
しかし、10日で映画を撮影してくれる制作会社はなく、武藤組のヤクザたちが撮影スタッフとなることに。
ミツコは苦し紛れに公次こそ、優れた映画を作れる人間だから、彼に監督させたいから逃げたと言い逃れする。
父は池上組への殴り込みを映画にしろと公次に監督を任せるが、どうしていいかわからない公次は偶然見つけた自主映画集団ファック・ボンバーズを映画作りに誘い・・・
友近演じる極妻が包丁片手に町中を駆け回る姿は明らかにジョン・ウォーターズ監督の「シリアルママ」のキャスリーン・ターナー演じる殺人ママの再現で、アナーキーな映画集団ファック・ボンバーズはジョン・ウォーターズ監督の「セシル・B/ザ・シネマウォーズ」の映画テロ集団まんまでびっくり。
園子温が昔のシナリオを映画化したというこの作品の構想は、彼がジョン・ウォーターズ映画にハマっていた時期に書かれたものなのかも。
でもそんなことよりも重要なのは園子温印なのに、ちゃんと終盤まで普通に面白いことです。
キャラ立ち、テンション、音楽でこの映画は観るものをわくわくさせ続けます。
ずっと終盤まで右肩上がりで面白さを増していきながら最後にワーッてなって終わってしまいます。
ダメなラストも含めて愛すべき園子温映画でした。
ファック・ボンバーズの映画バカ平田を演じる長谷川博己が園子温映画初参加とは思えないハマリ方だし、池上組の組長となる堤真一はSABU映画出演時の輝きを見せるし、國村隼はこんなバカバカしいことを言い出す組長に説得力を持たせる名演です。
園子温映画ファンとしては「紀子の食卓」で堂々たる女優ぶりを見せながら、AVに出てそれ以降見なくなったつぐみがスクリーンに帰ってきたのが嬉しいです。
でも一番言いたいことは二階堂ふみが史上最強に良かったことと、そして成海璃子と園子温がついに出会ったということ。
若さだけで勢いだけで描いた物語も、内容を信じて、スタッフ&キャストが全力で取り組めばその熱はスクリーンから溢れ、観客にも伝わるということがわかりました。
楽しかったし、今後が楽しみになる映画でした。