宮崎あおい出演作品のつまらなさは異常(良い意味で)「ペタルダンス」 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。



予告を観る限り、自分の好みに合わなさそう映画と思いつつも、女優にひかれて観に来ました。

図書館で働くジンコは自殺の本を借りていった原木が駅のホームで助走をつけそうになっているのを見て思わずタックル。

原木は自殺するつもりはなかったが、働いていたお店の店長が夜逃げして無職になり、落ち込みそうな気持ちを切り替えるために助走をつけようとしていた。

ジンコは素子の元夫の車を借りて、素子と大学時代の友達ミキに会いに行く予定だった。ミキは自殺未遂して青森の病院にいた。

でもジンコはタックルで勢い余って手を怪我して運転が出来ない。

無職になって暇な原木がジンコに代わって運転することになり、ミキのいる病院へ4人で向かうことに。

原木にも消息のわからない友達キョウコがいて、ミキのことは他人事とは思えなかった。

あっけなく病院で再会。

そして翌日にはミキの希望で海を見に行くことに・・・

ジンコが宮崎あおいで素子が安藤サクラでミキが吹石一恵で原木が忽那汐里です。

あと原木の消えた親友キョウコを韓英恵が演じています。

みんな注目に値する女優たちです。

でもこの映画は淡々と彼女たちを女優ライトのない自然光の中でぼんやりと切り取るだけです。

あっと驚く出来事は店長の夜逃げくらいで、あとは地味にゆったりと物語が進みます。

だいたいのシーンが薄暗くて目が疲れます。

ただ台詞や風の音だけは普通の映画なみに聞こえます。

旅に出てからはさらに何も起こらず、通り沿いに木が曲がって生えているだけで、この映画では大事です。

そういう映画です。

宮崎あおいはこういうリアクションに困るインディペンデント臭い映画によく出ているイメージ。

いや、テレビ局製作の予算がそこそこの作品でも、こういう自然主義的なあおいワールドにしてしまっている気がします。

「きいろいゾウ」とかこの作品とか、映画は洋画の吹替版しか観ない十代の中高生とかが観たらほぼ苦行だと思います。

宮崎あおいは作家性の強い監督の作品に多く出ていると思われますが、監督の色以上にあおいワールドが勝っている作品のなんと多いことでしょう。

テレビでは朝ドラの「純情きらり」、大河の「篤姫」で大評判となりましたが、映画では人気マンガを実写化した「NANA」くらいしか大ヒットした印象がないです。

それほど作品に恵まれていない印象(でも実際はあえてそういう作品ばかり選んでいるのだと思う)の彼女ですが、女優オーラは同世代の女優に比べて抜きん出ています。

そんな彼女に何故かひかれて、毎回彼女の出演作品が楽しめていないにもかかわらず、また観に来てしまうという有り様です。(そのおかげで「舟を編む」という当りにも出会えた)

普通ならつまんないだろうからって観るのをやめるもんですが、今度こそはという期待に負けて観てしまいます。

もはやこれはルパンが何度も不二子ちゃんにだまされるようなものと思い諦めています。

宮崎あおいはなんとも不思議な存在です。