
「電人サボーガー」や「ウルトラゾーン」で特撮ファンに注目を浴びている井口昇監督の新作と聞くと、特撮があるバカ映画かと思いがちですが、今回は井口監督のもうひとつの顔・スカトロAV監督という側面が融合したゾンビ映画です。
ダイエットに効果的といわれる寄生虫を捕まえに田舎にやってきた男二人、女三人の若者グループ。彼らが山の川辺で寄生虫を宿しているマスを獲っているとゾンビ化した男に襲われる。
助けを求めてやってきた民家では、くみとり式の便所の中から次々とゾンビたちが現れ彼らを民家の中に追い詰める。
その窮地を救ったのは1人の医者。
しかし、彼こそがこの村に寄生虫を蔓延させ人々をゾンビ化させた張本人だった…
寄生虫によりゾンビ化した村人と、その黒幕だった医者を相手に最後まで戦うのは1人の女子高生。
彼女はいじめにあう妹を助けられず、目の前で死なせてしまったことがトラウマとなっており、二度といじめに屈しないようにと、何やらカンフーのようなものを修得している。
そんな彼女が寄生虫ゾンビたちと戦いを繰り広げるというのが大筋ですが、ゲロやおならや流血や切り株が満載で、子供じみた好奇心を大いに刺激する場面にみちみちています。隣のおっさんはずっと爆笑していました。
くみとり便所からゾンビが出てくる時点で大いに悪ふざけですが、ヒロインの女子高生を演じる中村有沙はいたって真面目にこの役に取り組んでいます。
血肉や汚物飛びかう中で、彼女は外見は汚れても凜とした演技をキープし、あまりにも幼児体型な身体まで大胆に曝します。
後半は左πを出しっぱなしです。
この映画には他にも護あさなというダイナマイトバディなグラドルが出演していて、彼女は生尻を曝します。
しかし、本来なら彼女はπ要員であるべきなのに。
逆にいうと中村のそれはあかんやつにしか見えず、こちらが罪悪感を覚えるほど。
このスレスレの感覚は狙いなんでしょうか。
頭が潰れたり、胴体が真っ二つになったり、モンスター化した寄生虫ゾンビが空を飛ぶなど、特殊効果を使ったシーンがふんだんに盛り込まれていても、ヒロインの少女の痛々しい肉体の方がはるかに衝撃的。
監督はヒロインの子と数年前に仕事をしており、彼女の本当の少女時代を知っています。
そんな彼女に対し、監督はただただ悪ふざけなゾンビ映画で身体を張ることを要求し、彼女はそれに応える。
愛情を確かめあうのを表現するような情交シーンは一切なく、サービスという意味だけの衣装の裂け目から、左πの大切な部分をきっちり露出させられ、その恥ずかしい格好のままおならで空を飛ばされる。
これは本来軽く笑うべきシーンだけど、彼女の真剣さがなんだか心をひっかく。
アカデミー賞だ、なんとか映画賞だと言われる立派な映画を観ても、感動じゃなくて、あくびのおまけの涙しか出ないような大人だけど、たまにわけのわかんないところでツボる。
ザ・50回転ズのダニーがこの映画にふさわしい大仰な演技をドンピシャで披露しているのにも感心するけど、ヒロインの中村さんは井口監督っ最初に仕事をしたときのピュアさのまま、ヒロインを演じ切っている。
そのまっすぐさが時折挿入される回想シーンのリリカルさを高め、井口監督の本性はやはりこっち(少女の心の葛藤を描く内的世界)にあるんじゃないかと思わせる。
なんなんだろう。
なんでこんな悪ふざけ(大好きだけど)の映画に心を持っていかれるのだろう。
心のどこかでずっと護あさなは尻よりπを見せろ!って思いがあるのも確かだけど。