天知茂の「黄金仮面」に想う | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。

きょう、午後の傑作選でやってた「江戸川乱歩の黄金仮面 妖精の美女 明智小五郎対怪盗ルパン」を今観ました。 

それにしても恐ろしくネタバレなサブタイトル!

1978年に土曜ワイド劇場で放送されたテレフィーチャーですが、30年以上経過した今でも十分楽しめる作品でした。 

天知茂の明智小五郎は本当にハマリ役です。 

原作にある明智探偵にはあまり似てませんが、彼以外に考えられないほどに明智です。 

あのニヒルな眼差しは、始めから終わりまで全てお見通しな感じで、まさに名探偵。

黄金仮面に扮した全身黒タイツの恥ずかしい格好であっても、まるで揺るぎない眼力です。 

天知茂と対照的にコメディリリーフとして登場する荒井注の警部も終始ボケまくる怪演ぶり。 

しかも、そのボケにだれもリアクションせずにドラマは進んでいく。 

これもまたすごい。 

さらに伊吹吾郎があの時代劇顔でフランス人役! 

あの顔でカタコトの日本語を通します。 

なんと彼が劇中、恋に落ちる相手が由美かおる。
「水戸黄門」を先取りした顔合わせです。 

乱歩の原作自体にツッコミ所がいろいろあるわけだけど、それをこのキャスティングでまっすぐ映像化していく。

明らかに妙な場面も照れを排した堂々たる演技と演出でねじ伏せて行きます。

物語以上にこの作品の在り方自体がスリリング。

さすが「嵐を呼ぶ男」を生んだベテラン井上梅次監督です。 

見終わって、なんか最近こういう分かりやすい力技の作品あったなあと考えてみたら、「カイジ」がわりとそんな魅力がある作品だということを思い出しました。