重力ピエロ | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。

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「フィッシュストーリー」にはただイライラし続けながらも、江口のりこ見たさに我慢した苦い思い出を持つ私が、また伊坂高太郎作品の映画に臨むのはただただ吉高由里子がスクリーンで観たいからだ。

いきなり学校でレイプから始まり、正直またかよ!と思う。

でもこの冒頭のレイプはジャブに過ぎず、後で連続レイプ事件が物語に大きく影響してきます。

「フィッシュ・ストーリー」もレイプ事件が後の展開に大きく関わっていたことを思い出さずにいられませんでした。

しかし、この物語は現在の連続放火事件を中心に進行していきます。

大学院で遺伝子の研究をしている兄泉水と街の落書き消しの仕事をしている弟春。

ある日、春が連続放火と落書きの関連性を見つけ、兄に相談。

兄はその落書きに遺伝子にまつわる暗号を見つけ…とまるで仙台市を舞台にした「天使と悪魔」になりそうな勢い。

でもここから春の出生に関わる母のレイプ事件が描かれ様相が変わってきます。

なんか仙台市の「天使と悪魔」のままの方が個人的には良かったんですが、ここから世に出てきた元レイプ魔渡部篤郎がいい味を出してきます。

そして、息子春にひどいことをいいます。

篤郎節炸裂です。

あと謎ときは春のストーカー役の吉高由里子さんがいきなりネタバラシしちゃいます。

泉水の加瀬亮くん、春の岡田将生くん、渡部、吉高と役者達がみんなすごくいい味だしてます。

それだけで料金分楽しめます。

でも内容は好きになれません。レイプとか放火とか管理売春とかそういうのをああいう道具だてに使う安易さが嫌いです。

ガンジーの言葉を好んで引用するくせに何かとバットでケリをつけようとする人物を描くセンスが嫌です。

あとなぜ父親がレイプ犯の子を妻に生ませることを選んだのかが最後まで謎でした。

みんなが苦しむことが目に見えてるのに。

あれだけ痕跡を残す放火魔を逮捕できない仙台市の警察(物語の中のことだけど)はどんだけ無能なんでしょう。

とはいえいろいろひっかかりながらも役者たちのキャラクターショーとしては楽しめる作品でした。

仙台市はすごく協力してるけど、この内容は街のイメージダウンにしかならないような。

また方言がない世界だったのも気になりました。