女王様とぼく60 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。

浜崎あゆみ似の元女王様の22歳のバースデープレゼントはトイザらスで買うことになった。

彼女は最近バービー集めにハマっているらしい。

ちなみに姉はリカちゃんを集めていて、姉妹でその世界を作り上げて、競いあってるという。

きょうの買い物で姉に差をつけたいと思っている彼女は、商品選びも慎重だ。

ぼくはそれを端で見ていて、バービーのサイズに合う物が意外に多いことを知った。

特に映画「スターウォーズ」の大きいアクションフィギュアや「仮面ライダー」がなかなかしっくりくる。

男の子向けなそのフィギュア達はよく動く間接のおかげで、バービーのお部屋でくつろぐこともできる。

ぼくはバービーと仮面ライダーが交際しているところにダースベイダーが横恋慕する屈折した風景を夢想した。

でも権利関係が難しいからこの交際はうまくいかないだろうなぁとも思う。

そんなぼくを尻目に、彼女は大きなハマーのラジコンカーを見つけ興奮していた。

「ちょっとコレ!乗れるんじゃない?」

そのハマーはサイズ的に申し分なくドアも開き、運転席、助手席もきちんと再現されている。

バービーとライダーがハマーに乗ってドライブすることになった。

買い物の後は、早速それを姉に見せて自慢したいと、彼女は大きなハマーを持って家へ帰って行った。

バービーはマイカーを手に入れご機嫌だったに違いないが、ぼくがその様子を見ることはついになかった。

ぼくは彼女の独り暮らし資金の提供を断っていた。

お金がないわけではなかったけど、払うべきではないていう心の声に従った。

「ごめんね。お部屋借りるお金…やっぱり無理」

「うん、わかったよ」

彼女は素直に引き下がった。

簡単なやりとりだったけど、それが決定的な溝を生んだ。

それ以降、昔みたいに買い物に行ったのが、この22歳のバースデープレゼントのときで、彼女に会ったのはこれが最後だった。