女王様とぼく34 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。

ついに浜崎あゆみ似のハタチの彼女は、女王様になってしまった。

焼き肉を食べながら軽やかに話す彼女に対し、ぼくは心底がっかりしていた。

女王様は広い意味でフーゾク嬢だが、あきらかに他のフーゾクとは一線がひかれている。

彼女はカルビクッパまで平らげると、デジカメを取り出して、楽しそうに写真を眺めている。

あんまり見たくなかった。

「いいもん見したげるわ!」

ぼくのリアクションを確かめることなく、彼女は笑いながらデジカメのモニター画面をこちらに向ける。

暗い部屋の中で、立ったまま拘束された男がいる。

彼は目隠しされているから、写真を撮られていることも知らないのかもしれないし、これもプレイの一環なのかもしれない。

体には拘束具のみを身につけているだけで、局部も剥き出しになっている。

男は興奮している。

貧弱でなま白い肉体の中でその部分だけが赤黒くいきり勃っていた。

見ず知らずの男性の全裸写真を見たことがなかった。

特にこういう状態のものは。

彼女がボタンを押し、写真が変わる。

男の目隠しになっていたラバーマスクが剥がされている。

男はわかっていて写真を撮られていたのだ。

意外にもかなりのイケメンだった。

「私と同じハタチだって」

「そんなに若いのにSM!?」

SMと若い男性がイメージ的に結びつかない。

まず料金的に若い客が通える額ではないし、若いときにそんな自分のアブノーマルな性癖に向き合えるのがすごい。

また写真が変わる。

男の身体の数ヶ所に赤いアザのような跡がある。

彼女にボコボコにされたあとだ。

普通にしてればモテモテ人生が歩めるイケメンが同じハタチの女王に高いお金を払ってボコられているなんて。

もったいないとしか言い様がない。



「どう?」

「痛そう。すごく」

「あはははは」

彼女は食後の一服に移っていた。

ぼくの幸せな時間は、またしても終わってしまったのだ。

焼き肉の味もわからぬほどの落ち込んだ。