愉悦の時 ミステリー | 前立腺がん闘病封じ込め記

前立腺がん闘病封じ込め記

前立腺がんの診断を2020年1月に受けた。PSA値640超、Gスコア8、多発的骨転移ありだった。手術・放射線は適応にならない。それでもあわてない、あせらない、あきらめない日々を送る。

お風呂に入りながら、あるいは寝る前のひと時、アガサクリスティーを聴く、私の愉悦の時間だ。


アガサクリスティーの「アクロイド殺し」を味わった。


「ABC殺人事件」に続いて「アクロイド殺し」、エルキュール・ポアロの人間観察と洞察力、天才的な推理能力は感動的だ。

大富豪の老人ロジャー・アクロイドが刺殺された。犯人は家族、執事など使用人の中にいるのか。

情景の描写、登場人物の特徴と人間関係、数々の固有名詞、聴いていて忘れないようにメモしたり、図式したりしながら物語世界に浸るのは楽しい。




例によって最後まで真相はわからないが、途中で犯人はひょっとしたらこの人か、思うことはある。ポアロの関係者を集めた上での犯人特定の場面はいつも感動的だ。そして、すべての伏線が回収される。殺人の動機、背景、犯行の詳細が霧が晴れるように明らかになる。

ナレーションの前田弘喜氏の朗読も素晴らしい。適度に重みがあって落ち着いていながら、登場人物を鮮やかに一人一人を表現できるものだと感心させられる。さすがプロのナレーターだ。

よい作品とともによい読み手に出会うとますます愉悦の時が広がる。