デイキャッチャーズボイス by宮台真司 | れぽれろのブログ

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何度か書いていますが、自分は宮台真司さん
(首都大学東京 社会学部教授)のファンです。
大学生のころより宮台さんの著作を読んでおり、
ファン歴は15年を越えます。
宮台さんの著作・思想がどんなものなのかは、
過去にも何度か書いたと思います。

そんな宮台さんのトークが聴けるのがこちら。
TVSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」という番組の解説コーナー、
「デイキャッチャーズボイス」の金曜日版です。
http://www.tbs.co.jp/radio/dc/fri/

宮台さんのことをご存じない方でも、このトークをなんとなく聞いていると
どういう方なのか、だいたい分かるのではないかと思います。
情報が多くて衒学的に感じる部分もありますが、これも宮台さんの持ち味。
おそらく好き嫌いが分かれる論者なのだと思います。(自分は好きです。)

上記のリンク先は4週で消えてしまうようですが、
一部のバックナンバーはyoutubeにアップされており、
現在でも聞くことができます。


ということで、最近のデイキャッチャーズボイスの中から
個人的に好きなお話を3つ並べてみます。
お暇な方は聴いてみても面白いかもしれません。


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・セゾン文化がもたらしたもの(2013年11月22日)


昨年11月に亡くなられた堤清二さんがもたらしたセゾン文化に関連して、
70年代~80年代の文化の変質について話されています。

ポイントは、70年代前半に「シャレ」(戯れ)であったものが
70年代後半以降「オシャレ」になってしまったという歴史的事実。
なので、所詮「シャレ」(戯れ)であるはずの「オシャレ」的なるものに
真剣にコミットしたり、「オシャレ」的なるものから過剰に逃避したりするのは
馬鹿げている、というお話です。すごくいいお話だと思います。

自分なりに意訳すると、例えば、
「クリスマスに彼氏彼女とオシャレに過ごす」ことに真剣にコミットするのも
「クリスマスに彼氏彼女とオシャレに過ごす」ことを真剣に否定するのも
馬鹿げた振舞いである、とこういうことなのだと思います。
クリスマスなんてシャレ(戯れ)、それをネタに楽しめればOK、
もちろん所詮シャレなので無視しても構わない、
それがセゾン文化的なるものの、本来の意図だということなのだと思います。

自分は美術だとかクラシック音楽だとか、
アカデミックと言われそうなことを記事にしていますが、
ここだけの話、これらの芸術作品が過剰に崇高だとか尊いものだとは考えず
半ば戯れとして、どこか「シャレ」として取り上げている部分もあります。
人生を豊かなものにするためには、どこかにシャレが必要なのです。

余談ですが、自分は大阪に住んでいますが、大阪の人はどこかこの
「所詮シャレだから」という捉え方に長けている人が多い気がします。
(単に自分の印象だけかもしれませんが。)



・天皇と政治(2013年11月1日)


山本太郎議員の天皇陛下への直訴事件を受けて、
天皇の政治利用ということについて解説されています。

2分25秒~7分あたりにかけて、
非常に重要な歴史のお話が語られてると思います。
明治初期の岩倉使節団系政治家は、天皇制を利用して
日本の近代化を成し遂げ、戦後のアメリカもまた、
天皇制を利用して日本の再近代化の道筋をつけた、というお話です。
天皇制の政治利用なくしては、我々は、明治の近代化も、
戦後の再近代化も成し得なかったということ。

このことは非常に重要なことだと思います。
近代天皇制は天皇というものは、天皇陛下ご自身の意志に関わらず、
天皇陛下であらねばならないというシステムです。
思想信条身体の自由を伴うことができない、憲法上の特異点です。
このことだけでも、現行憲法下において、
現在も我々は天皇陛下を利用し続けているということになるのだと思います。
日本というシステムを考えるときに、
これは絶対に避けては考えることができないことです。
果たして我々は「12歳の子供」から脱し、
1人前の大人になることができるのか・・・?

なお、宮台さんご自身は、天皇主義者を自認しておられます。
なので、7分以降の「天皇陛下だけがすごい」は、
少し割り引いて聞いても良いかもしれません。



・積極的にナンパしていこう!(2014年1月3日)


個人的にナンパの話はどうでもいいです(笑)。

このお話で好きなポイント。
見ず知らずの赤の他人は、この世界にはほとんどいない。(3分あたり)
ゆっくり観察すれば、街の人が匿名者の群れではなくなる。(5分30秒あたり)

ほとんどの人とは、何らかの共通前提が見いだせる。
我々には共感能力が備わっているので、融和に至ることができる。
7分20秒あたりからの、右翼国際主義の話も好きです。

ナンパだとかフックだとかはまあどうでもいいと思いますが、
全体的にはいいお話だと思います。



ということで、もし気に入られた方がおられたなら、
他にも興味深いトークはありますので、探してみても面白いかもしれません。