十字架とキリスト | れぽれろのブログ

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西洋美術と切っても切れなのが、キリスト教です。
その中でも、十字架の上のキリスト像というのは、
様々な画家によって描かれているテーマですね。

十字架とキリスト、有名なもの、特徴的なもの、
個人的に面白いと思うものをいくつか並べてみます。
皆様はどのキリスト像がお気に入りでしょうか?


・イーゼンハイム祭壇画(抜粋)/グリューネヴァルト

イーゼンハイム祭壇画

16世紀ドイツ、北方ルネサンスの画家グリューネヴァルトの
有名な「イーゼンハイム祭壇画」からの抜粋です。
少し小さくて見にくいですが、自分はこの絵が美術史上
最も痛々しいキリスト像だと思います。
手足の釘、頭部の茨、痩せた身体、苦痛にゆがむ表情、
キリストの肌はなぜかガサガサ・・・なかなかショッキングな図像です。
い、痛々しい・・・。


・キリストの磔刑/クラーナハ

キリストの磔刑

続いてもドイツ、北方ルネサンスの画家クラーナハの作品。
斜め方向から磔刑が描かれているのは、なんとなく珍しい気がします。
右側がキリストですが、左の方にもはりつけになっている人たちがいます。
お弟子さんでしょうか?
クラーナハの絵は、キリスト以外の人物や背景にも力が入っていますね。


・キリストの磔刑と2人の寄進者/エル・グレコ

キリストの磔刑と2人の寄進者

マニエリスムの画家エル・グレコ。
上記のお二人と違って、何とものびやかなキリスト像です。
キリストさん、全然苦しそうにありません(笑)。
エル・グレコならではの引き伸ばされた身体がなかなか魅力的です。
クラーナハとグリューネヴァルトは、一人の人間としてのキリストの苦しみを
描いているように見えますが、エル・グレコの磔刑図の方は
何だか神々しい感じがしますね。


・黄色いキリスト/ゴーギャン

黄色いキリスト

一気に時代は下り、19世紀末のポスト印象派の画家ゴーギャンの作品です。
ゴーギャンの作品は色使いが独特で楽しいのですが、
この作品も黄・橙・赤が主体の明るい作品になっています。
キリストは・・・眠っているように見えます(笑)。痛々しさは感じません。
黄系の画面の中、左下に青や黒の衣装の人物が配置されており。
彼女たちの方がぱっと目につきます。
この女の子たちはゴーギャンと同時代のフランスの農夫なのだそうです。
過去と現在の不思議な出会い。
個人的に好きなキリスト像です。


・白い磔刑/シャガール

白い磔刑

続いては20世紀ロシアの画家シャガールの作品。
シャガール自身はユダヤ系なのですが、どういうわけかキリストを
描いた絵をたくさん残しています。
この作品は30年代の作品で、後の時代のような原色のカラフルな
作品ではなく、色は抑え気味。
しかし空間上に自由に配置され、浮遊しているように見える人物や
アイテムなど、如何にもシャガールといった作品になっており、面白いです。
こちらのキリストも穏やかな表情。
キリスト像はどうも時代が下るにつれ、どぎつさがなくなっていくような気もします。


・十字架の聖ヨハネのキリスト/ダリ

十字架の聖ヨハネのキリスト

最後は20世紀シュルレアリスムの画家、ダリの作品。
ありえない場所に設置された十字架を、意外な方向から描いた作品。
どういう状況なのはよく分かりませんが、劇的でかっこいい作品ですね。
ダリは中期以降、幾何学的な構図の作品をたくさん製作するようになりますが、
この作品も大胆な構図の不思議な作品になっています。


以上、磔刑図をいくつか並べてみました。



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さて、唐突ですが、しばらく入院することになりました。
といっても簡単な手術のための数日レベルの入院で、
問題なければ週明けには退院できる見込みです。
病状の詳細などは、また気が向いたらひょっとしたら記事化するかもしれません。

なので、今日の記事は困ったときの神頼み、
キリストさん頼み(?)という趣旨のテーマ選定でもあります。
というとキリスト者の皆様に怒られそうですが、
困ったときには神仏関係なくお祈りするという、
ご利益信仰丸出しの日本人なので、お許しください(笑)。


ということで、次の更新は来週以降の予定です。