雨の絵画 | れぽれろのブログ

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もう6月です。
早くも各地で梅雨入りが始まっていますね。例年になく早い気がします。
じとじとジメジメの雨降り、鬱陶しい季節ですね。

季節ネタ。雨の絵を並べてみます。


・大はしあたけの夕立/歌川広重

大はしあたけの夕立

名所江戸百景からの1枚。
雨の絵といえば、真っ先にこの絵を思い出します。
斜めに降り注ぐ、ダイナミックな線が印象的ですね。
構図もかっこいいです。
近世末期の浮世絵の風景画は楽しいです。


・雨中縁先傘さし菖蒲折二美人/鈴木春信

雨中縁先傘さし菖蒲折二美人

鈴木春信の美人画です。
春信は雨の絵を割とたくさん残しています。
女の子+傘というのは、絵になるからでしょうか・・・?
春信は広重より半世紀ほど前の人。
雨を線で現わすというのは、既に春信の時代から見られた表現のようです。
ちなみに、自分は近世浮世絵の美人画の中では、鈴木春信が一番好きです。
触れれば折れそうな華奢な人物が、なんとなく幻想的な雰囲気の中、
絶妙な構図で画面上に配置されるのが良いですね。


・雨・蒸気・スピード/ターナー

雨・蒸気・スピード

イギリスの画家、ターナーの雨の絵です。
ヨーロッパでは雨を線で現わすという表現方法がなかったのか、
雨はなんとなく煙っぽい形で表現されています。
雨の日のモヤモヤした空気感が、何ともいえず良い雰囲気。


・パリの通り、雨/カイユボット

パリの通り、雨

ギュスターヴ・カイユボットはフランスの画家。
19世紀後半の画家で、印象派のカテゴリで登場することが多いですが、
必ずしも印象派の描き方ではない作品もたくさんあります。
この絵もどちらかというと古典的な描き方ですね。
そしてこの絵、「雨」が具体的に表現されていません。
地面の水滴の具合などは、しっかりと表現されていますが、
空気中の雨は表現されていない。
「雨を線で現わす」のような単純化・デフォルメは、
西洋絵画の描き方からは生まれてこなかったのかもしれません。


・雨/福田平八郎

雨

福田平八郎は20世紀の画家。
カテゴリは日本画ですが、対象をクローズアップしたり
単純化したり、なんとなくモダンアートのような雰囲気の
面白い作品を残された方です。
この絵も、大胆にズームアップされた瓦と水滴のシンプルな組み合わせが
何だか抽象絵画のようで面白いですね。


以上、雨の絵画でしたが、もうひとつオマケ。


・金魚づくし/歌川国芳

金魚づくし

江戸時代末期の画家、歌川国芳の描いた
金魚の擬人化作品のうちの一枚です。
池の中ですが、画面上部にはアメンボウ。
このアメンボウが雨に例えられています。
雨を線で表現するという浮世絵の手法を利用した表現。
そして、とにかく金魚たちが可愛らしすぎますね。
好きな作品なので、つい貼りたくなりました(笑)。