マウリッツハイス美術館展 | れぽれろのブログ

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芸術の秋。
いろんな展覧会が目白押し。
ということで、必然的に展覧会の記事ばかりが増えてしまうのですが、
気にせず我が道を行きます。

今日(10/6)はお休みを利用して、マウリッツハイス美術館展
(副題:オランダ・フランドル絵画の至宝)を見に、
三宮の神戸市立博物館まで行ってきました。

マウリッツハイス美術館はオランダの美術館。
17世紀オランダ・フランドル地方の絵画をたくさん所蔵しているようです。
この時代のこの地方で活躍した、フェルメール、レンブラント、ルーベンス、
ヤン・ブリューゲル、ヴァン・ダイクといったお馴染みの人たちの
作品が並ぶこの展覧会。
目玉はフェルメールの「青いターバンの少女(真珠の耳飾りの少女)」
人気の絵なので、会期末には大混雑が予想されます。
今日は開催からまだ1週間。
まだそんなに混雑していないはず!
行くなら早い目がいいと思い、時間をとって行ってきました。

チケット売場の前に軽い列ができていましたが、
入口までの行列・入場制限は無し。
待ち時間なしで入場できました。
が、館内はそれなりに人がいています。
自分は人ごみが嫌いなので、人が多い展覧会は実は苦手・・・。
鑑賞の集中力が低下します。

展示は、風景画、歴史画、人物画、静物画、風俗画、
という風にカテゴリ分けされています。

以下、いくつかの作家・作品についてのコメント。

まずはフェルメール。
「ディアナとニンフたち」
フェルメールにしては珍しい歴史画(物語画)です。
が、なぜか全然歴史画のように見えない・・・。
普通にお姉さんが足を洗っている絵。
フェルメールが描くと普通の風俗画のように見えるのがおもしろいです。

「青いターバンの少女(真珠の耳飾りの少女)」
この展覧会の目玉です。
広いお部屋に小さな絵が一枚。
人が多いので絵にたどり着くまで並ぶ必要があり、
絵の前に行列用スペースが確保されています。
列に沿ってゾロゾロと歩いていく・・・。
で、絵の前で立ち止まって鑑賞していると、
「止まらず歩きながら見てください」と会場の係員の方に怒られます。
・・・どうも鑑賞した気がしません(笑)
絵に対する感想・・・「唇がエロい」

ルーベンス、レンブラント、ヤン・ブリューゲルといった
お馴染みの人たちが続きます。
ルーベンスは有名な「聖母被昇天」の下絵などが展示されていました。
ルーベンス、レンブラントの2人はやはり別格ですね。
ヤン・ブリューゲルはお馴染みの花の絵に加えて、
天使が出てくるような絵も展示されていました。

ライスダールの風景画も良いです。
風景といいつつお空の雲が画面全体の7割くらいを占める。
これがまた良い感じ。

名前を知らない方がい多いですが、静物画も良い感じの作品が多いです。
ヴィレム・ヘーダという方の「ワイングラスと懐中時計のある静物」
など良いですね。静物のすごい質感。
ピーテル・クラースゾーン「燃えるろうそくのある静物」
これもいい質感です。何だか高島野十郎のような蝋燭です。

さて、最後に個人的に好きな3人について。
「フェルメールと一緒にやってくる素敵な3人組」
と自分が勝手に呼んでいる人たちです。

フランス・ハルス
自分はこの人の描き方がものすごく好きです。
すごく大胆な筆遣いで素敵な人物画を描きます。
デカルトの肖像画が有名でしょうか。
人物の表情もとても良い。

「笑う少年」
フェルメールと並んで展覧会場の入り口に掲示されていた絵。
ハルスがメインになる展覧会は珍しいので、何やら嬉しい。
少年の笑顔が良い!大胆な筆遣いが楽しい。
近くで見ると大胆ですが、離れてみるとしっかりしたリアルな形状に見える。
何やら魔術的です。

「ヤーコブ・オリーカンの肖像」「アレッタ・ハーネマンスの肖像」
この2枚は「笑う少年」とは対照的な丁寧な描き方。
服の異常な細密描写が楽しいです。服をじーっと見てしまう。
白レースの質感。金色キラキラの描き込み。
ハルスは面白いです。

ピーテル・デ・ホーホ
この人は風俗画を主に描く人ですが、この人の描く絵は
なんとなく幾何学的な感じがしてすごく好きです。
「デルフトの中庭」という作品が展示されていました。
中央に縦長の四角の入口、右手に四角の窓。
中央に左向きの女の人、右側にそれより小さな子供。二人は相似形。
画面右上から左下に、いくつかの線が走る。
床の石畳(?)の四角。壁の煉瓦の四角。
これらの組み合わせが妙に気持ちいいです。

ヤン・ステーン
意味のかたまりのような風俗画・風刺画をたくさん描いた人。
会場には3点展示されていました。

「親に倣って子も歌う」
お酒を飲んで歌い騒ぐ大人たち。子供たとも一緒に楽器を弾いたりしています。
そして、子供にタバコを吸わせようとするおっちゃん、この人の表情がよい!
風刺的な要素よりも、楽しい猥雑さが画面を包みます。

「牡蠣を食べる娘」
牡蠣は当時は媚薬的な意味があったとか。
亜鉛を多く含むので、現在でも精力に良いなどとされていますね。
そんな牡蠣をむさぼり食う女の子。
後ろにはちらっとベッドが見えています。
彼女は今夜何を致すのか。
小さい作品で、緻密な描き込みも楽しい絵です。

「恋わずらい」
怪しい医者が恋に患う女の子を診察。
胡散臭さが画面からあふれる。
女の子の黒子(付け黒子?)がまた妙な感じ。
ホガース「当世風結婚」の3枚めも怪しい医者が出てくる絵ですが、
この「当世風結婚」3枚めに出てくる女の人にも似たような黒子があります。
何か関連性があるのかな・・・?

ということで、混雑必死の展覧会です。
ご興味のある方はお早めに。