これはフィクションです。
登場するキャラクター、団体、名称については実際のものもあります。
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2月某日
去年のバレンタインは、父にしかチョコを送らなかった。
もう少しで父が亡くなってから一年になる。
今年は、誰にも送っていない。
残念ながら昨日は準備もありバイトは休みだったのでリーダーにもチーフにも渡していない。一応買ってはあるのだが。
早いもので、バイトも慣れて来た感じだ。
ゲームの中身はだいぶ変わって来た。
艦隊戦が高速消化となり上位チームとの戦力格差が増えた。
また、MAの投入により持てる者と持たざる者の格差も出てきた。
キャラクターのインフレはソーシャルゲームの宿命のようなもので、そのままだとマンネリになりインフレし過ぎると既存ユーザーが離れてしまう。
そのバランスが難しいのに加え、こちらは売り上げノルマを抱えている。
ユーザーの利益と運営の利益は短期的には相反するものになる。
というようなことを日々考えていたのだが、今日は大阪に出張になっている。
しばし忘れて楽しみたいと思っていたのだが。。
場所はインテックス大阪。
東京でいうところの国際展示場みたいなところ。
こちらはゆりかもめではなく、ニュートラムという電車に乗る。
なぜ、こういうところは海のそばにあるのだろうか。遠くて仕方がない。
大阪というところもほとんど来たことがなかった。最終日には、さらに一泊してユニバーサルスタジオにでも行ってみたいところだ。
駅に着くと、浜風というか、海の匂いがする。
そんな感傷にひたる暇もなく朝から準備が始まる。既に前入りしているスタッフがブースの設営をしている。
そもそも展示会というものには初めて参加する私は、あちこちのブースが輝いて見えて自分の仕事も忘れそうになる。
とはいえ今日は他部署の応援で来ているのでとっても気が楽である。
ちょっとしたコスチュームに身を着替え、パンフレットとアンケートを笑顔で配る役。
他のブースにも同じような女の子達がいるようだ。ちょっと緊張しつつある。
笑顔でパンフレットを配るが受け取ってくれない人もいる。名刺をくれない人もいる。
少しでも役に立てたらと思って気を張ってこわばっていたのかもしれない。
周りも他部署の方々なので多少気を使いつつも2時間もしたら談笑しながら対応できるようになっていた。
そう。
あんなことが起こるまでは。。
その3へ続く。