BABYMETALとコレオグラフ

Perfume World Tour3 NY公演 LIVE VIEWING （以下LV）@新宿バルト9
LVについては会場によって評価が大いに分かれるところなので総論で語るのは難しいですが私は大満足でした。
何しろ大画面のドUPで細部が見られて、しかもリアルタイムなのだからこんな見方は他では出来ません。
映画の様に重低音が出ていた訳ではないですが、音圧はソコソコ出ていたし、現地の歓声と会場の歓声が入り混じって独特な雰囲気がありました。それにも増してPerfume姐さん達のシンクロダンスといったら凄味すら感じる程の完成度。TVも含めて最近はPerfumeの撮り方を解っているカメラマンさんとスイッチャーさんが増えたのか、シンクロを際立たせるアングルとスイッチングが増えてきてので安心して観ていられます。本音を言えば、私にとっては裏方さんの見せ場は一切なくても良く、三定点ぐらいで常に三人の足元まで映っている映像であればもっと良いと思っているのではありますが^^;
開演前のツイッター情報では、フォロワーのメイトさんが何人か各地のLV会場で初Perfumeを楽しんだようでP.T.A会員としては嬉しい限りでした。


さて、海外のライター諸氏も含めてメタルヘッズは総じてBABYMETALのダンスをみてシンクロが凄いと仰ります。一部YUI／MOAのダンス体力不足でバラバラだったとちゃんと見ていた人もいるようですが、P.T.Aな私から見るとシンクロはPerfumeレベルで見てしまうのでBABYMETALのは「シンクロもする」程度にしか見えてないのです。その意味でLVが初Perfumeだったメイトさんの目にどう映ったのか興味津々ではあります。
とは言ってもBABYMETALもMIKIKO門下生である事に間違いはなく、SU-METALのボーカルと共にコレオグラフ（振付）がBABYMETALをBABYMETALたらしめる重要なファクターである事に異論はありません。
では数多いるアイドルのコレオグラフと、BABYMETAL（Perfume）のコレオグラフひいてはMIKIKOMETALコレオグラフとの違いは何でしょう？
Perfumeファンには有名な話なのですが、MIKIKO先生のコレオグラフは歌詞の世界観を表現する事に重きを置いています。更にキャッチーなのは、リズムの取り方を歌詞（歌割り）と演奏、裏拍はおろか、時にはない音にまで割り当てをコロコロと変えて複雑怪奇なリズムパターンで振り付けている事です。
そして最も気を使っているのは「いつ切り取っても絵になるポージング」
MIKIKO先生の振付の特徴はどこで止めてもワンカットの絵になる事。言わばアニメのように一枚一枚の絵をつなげて動画にした様な振付を心掛けている事です。Perfumeの凄味は、三人共がこの振付を完璧にこなして平然としているところにその一端があります。ダナさんの写真に秀作が沢山あるのは彼女の腕もさる事ながらコレオグラフが元々ワンカットを意識しているので写真家魂に火をつけている事も一因してると私は思っています。

BABYMETALが三人で踊っているシーンは数多の動画が溢れているので、今回はLegend1999のソロシーンから検証しましょう。
基本的にサポートするレディーボーンは当然MIKIKO門下生と考えるのが当然で、仮にそうで無くとも彼女達はリズムカウントで踊れるプロダンサーである事は一目瞭然です。
まず、MOAMETALは、三人の中では正統なMIKIKOイズムの継承者であると言えるかもしれません。

LoveマシーンのMOAMETALはレディーボーンとほぼシンクロしてます。

 対してYUIMETALはと言うと…微妙にズレています。

分かるでしょうか？
YUIMETALは止まっているのにバックは動いている。
このズレはYUIMETALの動き出しが微妙に早い事を意味しています。思うに由緒ちゃんは、MIKIKO門下生となっても身近なすぅちゃんのダンスに大きく影響を受けていると思われます。
「ヘドバン創刊号」のインタビューでmikikoMETALは「SU-METALのダンスは外人的・良い意味で感性が先に立ってカウントで踊っていない」「BABYMETALにはあえてシンクロを求めないで指導している、合わない事で生まれるグルーヴがある」と言った趣旨の発言をしていますのでシンクロしてなくても当然なのです。皆さんも三人で踊るシーンをよく見るとMOAMETALだけズレてる事が多いと感じることでしょう。
実はPerfumeもあ～ちゃん・かしゆかとのっちは微妙にグルーヴが違います。おしゃれイズムであ～ちゃんが語った「ダンスは始めに習った先生の違いが影響する」事に起因すると考えられ、BABYMETALに関してはSU-METALが個性的で普通と違うので影響を受けているだけでYUIMETALが悪いと言う事ではありません。

とはいえ三人もプロですからシンクロに気を使っている事は時代を追って観れば一目瞭然。更にはPerfumeで鍛えられたカメラマンさんとスイッチャーさん達のトリオのシンクロダンスの撮り方・観せ方が上手くなっている点も見逃せないでしょう。

シンクロを余りにも強調して褒められるとちょっとこばゆい私は例えば BABYMETAL DEATH の頭、お立ち台の上で折りたたみの膝を曲げるMOAMETALと曲げないSU-METALとYUIMETALとかの違いを見つけるのが楽しみの一つだったりします。
『BABYMETALのダンスはシンクロしているようで案外ずれている事が多く、でもそれも魅力の一つとコレグラファーのmikikoMETALも考えている、でも三人はシンクロを意識している』と言うことを知っていると映像の楽しみ方の幅が広がります。