『JTの新世代バレーの強さ』と『真逆の岡山のデータに現れない強さ』 | バレー・テニス中心のスポーツブログ

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現在首位の岡山シーガルズと2位のJTマーヴェラス。なぜこの2チームが好調なのかを見ていきたいと思います。

[1位:岡山シーガルズ 6勝2敗]
岡山は昨季のエース栗原を故障で欠き、エース不在のチームですが、独自のフロアディフェンスの技術の高さで、完全に相手の攻撃を封じ込め、トランジションで勝ち上がっているチームに見えます。

本当に不思議なチーム。データを見るととても首位には思えない岡山。

試合を見ないままデータだけをみると、岡山のチームスタッツは
レセプション:7位 53.8%  
スパイク:4位 35.8%(BSは8試合31セットでわずか28本の打数)
サーブ:8位 10.3%
ブロック:5位 2.35点/set

総合順位で5~8位かなと思うくらいのデータ。こんなにチームスタッツが下位でも首位をキープできる実力はどこにあるだろうと思います。でもこれが日本バレーの特殊さなのかなと思わせるチームです。

非常にわかりやすいのが、第2レグの初戦の日立戦。両チームのスタッツを比較すると、
レセプション:岡山 64.3%、日立 74.3%
スパイク:岡山 37.7%(17.33点/set)、日立 32.6%(14.67点/set)
サーブ:岡山 8.6%、日立 10.9%
ブロック:岡山 2点/3set、日立 8点/3set

このスタッツを見ると、レセプション、サーブ、ブロックで上回る日立が勝ってるように思えます。しかし、岡山の3-0(25-23、25-19、25-18)の圧勝なんです。

やはりこれはスタッツに表れないフロアディフェンスの凄さとトランジション攻撃の上手さだと感じます。日立戦のスタッツを見ても、何とブロック計わずか2点で3-0勝利という、全日本女子が欧州国に勝つような勝ち方。

更にスパイクでは岡山約17点/setに対し、日立は14点/set。このスパイクでの3点差をブロック本数やサーブを考慮しても、3-0勝ちというより、3-2勝ちか2-3負けのようなスタッツ。でもそれを3-0勝ちにしているのが『ミスの少なさ』

スパイク失点:岡山3点、日立9点
サーブ失点:岡山0点、日立5点
結局、2つの失点だけでも岡山3点に対し、日立は14点も。その11点もの差がそのままスコアに表れているように思えます。

岡山の強さは、
・失点が少ない
・B、Cパスでも宮下の強引な速めのトスにアタッカーが合わせるテン
 ポを持ち、相手ブロックがふられ、トランジションが決まりやすい
・驚異的なフロアディフェンス技術

岡山の選手は笑顔も見せずに淡々と高校バレーのようにゲームが進むチーム。ネットにトスが近く、タッチや押し込み、更にはブロックアウト、ブロックの間をねらったりとスパイク技術が多彩であること。

そしてそれを可能にする相手のスパイクの動作や癖をよんだ駆け引きに優れたフロアディフェンスの凄さでしょうか。それが今季の岡山バレーの強さにつながってるように思えます。

これに栗原などのパワーの決定率が加わると、4強はまちがいなく入るのかなという印象。ただ岡山の弱点は、逆にその決定力がない部分。久光、東レにはファイナルまでいくけれども、全日本組の決定率の高い選手に最後は打ち負けてしまうこと。これが栗原加入によってどう変わってくるかが見物だと感じます。

久光、東レ、JTに比べて失セットが少ない理由は、久光の4連続スパイクミスなどような失点の少なさが勝ち方に非常に大きく影響していると思います。ただ岡山はBSは31セットで未だに28本。東レの137本のわずか1/5。前衛だけの攻撃でどこまで通用するかがキーになりそうです。

[2位:JTマーヴェラス 6勝2敗]

JTは本当にいいバレーを展開してます。全日本女子がやっていることに近いバレー。しかしJTはけが人が毎年多い。誰かが怪我をしている状態。今季も11名で戦ってるとか。となるとリベロ2名なので、9名でアタッカーとセッターを回している。良くやってると思います。

おそらく基本的な食事と基礎トレに何らかの課題があるような気がします。それが何かをみつけてほしいです。リベロの井上、MBの芥川、OPの中村、トルコ出身の助っ人ディララなど。

●攻撃
シンクロ(アタッカーの助走開始が皆同じ)でながらも、1stテンポの攻撃をレセプションアタックができていること。橋本にAパスが返るとブロックがほとんど1枚か1枚半になってます。橋本のトスが低くなりすぎなければですけど。

だから170㎝強のサイドアタッカーでも十分に決めきれる攻撃になってます。これが今季JTの好調の要因でしょうか。

特にリベロが第2セッターとしてアンダートスながらBSや効果的なライトなどを使い、得点につながっていることが非常に大きく見えます。

橋本のゲームの組み立て方が非常にいいです。トスの低さは相変わらずですが、JTの170㎝クラスの選手にはちょうどいいようです。MBとミドルのBSの使い方が非常にいいので、サイドが非常に使いやすくなり、マークが外れやすくもなって負担を軽減している効果的なトスワークです。

特にミドルのBSの使い方がいい。Bパスであっても効果的にミドルBSを使うので、これが効いてます。基本的に他チームのBSは東レの迫田のようにほとんどがOP枠の選手。でも驚くのはJTはOP早坂はセッターでもあるので、打たない。

となるとレセプションアタッカーの石井美、高橋昌が打ってるんです。それでいて、チーム打数が106本/36set、約3本/setも打っているので、驚異的な数字です。このチームシステムの積極性が、攻撃の的を絞らせない効果的な攻撃になってます。パイオニアなどはこのBSのテンポにまったくディフェンスがついていけてません。

●ディフェンス
サーブを絡めたシステムからのMBのブロックが本当にいい。奥村、石川が女子のカニ歩きのサイドステップの移動でなく、体を進行方向に向き、スパイクジャンプのようなフォームで大きく移動してます。だから弾かれにくく、更に2歩助走でサイドまで行ってる部分が非常に大きいので、対応が他チームより速いように見えます。

だからこそ個人成績でも奥村が177㎝ながら0.83点/setで2位、石川が0.56点/setで6位につけてます。

このMBのブロックがあるので、フロアディフェンスがしやすく、トランジションにつながっています。パイオニア戦の第4セットの20点以降は5点の全てをMB奥村選手が取っている点などは、今のJTの特徴が出ている面です。

JTの弱点は、レセプションが乱れたときに、特にCパスの時の得点力がないこと。どうしてもサイドの3人が小さいので、レセプションが乱れたとき、サーブの積極性の反面、ミスが多くなっていること。

では第1レグの東レ×JT戦でのMB石川選手と東レのMB伊藤選手のブロック移動で比較してみましょう。



※JTのMB石川のブロック移動(開始10:49~)
(画像1)
石川はリードブロックでミドルから動かず、セッターのボールを見て、進行方向にダッシュするように移動

(画像2)
わずか2歩助走でサイドに跳びつき、しっかりとしたジャンプからペーニャのスパイクをリバウンド取る

※東レのMB伊藤のブロック移動(開始10:58~)
(画像1)
一方、リバンドとられた東レは伊藤がすでにレフトに1歩移動した状態から、サイドステップ(カニ歩き)でやっと移動開始

(画像2)
移動が遅いので、サイドに1歩移動した状態から助走開始しても、JT石井美のスパイクには間に合わずに間チャンを抜かれ、ストレートに決められる
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というように、今季のJTは基本からすべて見直し、基本に忠実な攻め方やディフェンスをしています。更にテンポが非常に速いので、対戦相手のMB陣が対応できない状態。更にはMBとミドルのBSを効果的に使い、『ミドル域』を上手く多用しているので、非常にいいバレーができてます。

個人的には時代に合った、素晴らしいバレーを展開していると思うので、おもわず応援したくなります。最近では久光がようやくMBなどで『ミドル域』を使い始めたので、相手チームのディフェンスが悩むようになり、攻撃が通用しています。ただミスがあまりにも多いので、接戦になる試合もあるようですが、『ミドル域』を制するチームが優勝していくと思います。

久光も悪いなりに勝ち、東レも必死に食らいついてるので、今季リーグはおもしろそうです。江畑がいない日立が少し気になります。NECはMB陣がいいだけに、OPのハナにもっと決定力があればと思いますが、WSの2人がどこまで奮起するかだと感じます。両肩の秋山も画面で見る限り、半月板か膝前十字靭帯に関わる怪我のようなので、もう一度復帰してほしいと切に願います。

パイオニアはサーブが機能していかないと厳しいチーム。日立もディフェンスに難があるだけに、サーブとブロックで何とかチームを牽引していかないといけない。トヨタ車体は久光、東レに勝ったように全員で粘って勝負強さを発揮していくしかない。

第2レグ終了後に、ある程度4強に入るチームも見えてくると思います。これからでも成長できる期待の新人、即戦力を待ちたいと思います。


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※画像は山陽新聞社、JTHPより