今大会の全米インドア選手権(メンフィス500)は、トップ10選手が参加しないグレード500の大会なので、錦織選手は優勝してポイントを稼ぎ、ランキングをあげたい大会。本人も当然その様子で、チリッチに勝っても笑顔1つ見せずに、勝つのが当然のように小さくガッツポーズしただけだった。
その準々決勝のチリッチ戦の動画をみてください。素晴らしい試合です！世界12位相手に完璧な勝ち方。試合内容の質が違う！
【準々決勝の動画：チリッチ戦ハイライト】
そして迎えた準決勝。今大会はシードダウンが相次ぎ、準決勝の時点でシードは第5シードの錦織のみ。とにかくマトセビッチは、1回戦で日本の添田豪にストレート勝ちし、準々決勝でも23位のドルゴポロフを接戦の末に倒す好調さを見せている。対戦成績は錦織の1勝0敗。今年の開幕戦のブリスベン1回戦で闘ったばかり。その時は錦織が7-5、6-2で完勝している。
この大会は今年トップ10に入るための序章の大会。今大会優勝できるかどうかで、トップ10に入れるか？と占う大会。理由はこの時期でポイントを稼がないと、年末にポイントが多い錦織にとっては、トップ10には厳しくなるし、今年の勢いをどうしてもつけたいからです。
【準決勝の動画：マトセビッチ戦ハイライト】
◆メンフィス500大会(アメリカ)：ハードコート
世界22位 錦織圭 6-4、棄権 世界53位 マトセビッチ(豪州)
[第1セット]
0-1* 強烈な重そうな球威のサーブで難なくキープされる。マトセビッチはフットワークが鈍いので、左右に振り、逆をつけばポイントは量産できる
*0-2 しかし錦織のサーブが走らない。更にマトセビッチのストロークとタイミングが合わない。球威や回転が前日のチリッチとは微妙に違う感じ。ブレイクされる
1-2* ここからが錦織の真骨頂。極端にミスを減らし、無理をせずにバッククロスラリーに。ゲームをコントロールするのが本当に上手い。相手のミスに乗じて難なくブレーク
※ガットのテンション交換を要求
*2-2 マトセビッチは2ndサーブになるとフォアで叩いてくるので、本当に丁寧にプレー。昨日のように強打はせずに、しっかりボールをコントロールしミスを誘い難なくキープ
2-3* マトセビッチも強烈なサーブで0-40とりーどするも、1ポイントも無駄にしない錦織は力を抜いたリラックステニスでコントロールし対抗するが、強烈なサービスエースで何とかキープされる
*3-3 2ndサーブを強打し、マトセビッチが前にでてきても、落ち着いて緩い低いショットで確実に相手の足元に沈め、その返球をしっかり振りぬき、ポイント！しっかりセオリー通りのテニスで、全く無駄がなくキープ
4-3* ちょっと動きが鈍くなりつつあるマトセビッチ、更にサーブに慣れてきた錦織のリターン
が炸裂し、難なくブレーク
*5-3 ミスが激減した錦織。ほとんどミスがないので、マトセビッチが自滅していく。更にサーブで巧みにポイントを重ね、ラブゲームキープ。強い！
5-4* マトセビッチも強烈なサーブ中心にキープ
*6-4 今度は隙を見てネットに出てボレー。更にマトセビッチがスライスを多用するも、錦織はミスらないので、マトセビッチは根負けし、足が動かない。ついにSP！最後もサーブでリターンミスを誘い、6-4で先取！
おっと、マトセビッチがいきなり棄権。マトセビッチは、芸人の坪倉に本当に似てるんだよなあ^^ 足が悪かったのか、何だったんだろう。これで体力を温存し、しっかりと決勝進出！
●この試合動画のハイライトはATPサイトのトップページの錦織のコーナーにあります。
本当に素晴らしい選手です。とにかく「頭がいい」考えるテニスの見本。何かが調子悪ければ、他の技術でカバーする。サーブが悪くても回転量やコースの配分でカバーする。見ていて凄い選手です。
日本のスポーツ選手がどう戦えば、世界に勝ち抜いていけるのか！を見せてくれる教科書のような戦い方。今日はドロップショットを1回も出さずに、70％程度の力で圧勝です。
もう実力はすでにトップ10のテニス。特に今年になってよくなったのは、
・フォアの回り込みでのストレートショット
・フォアのクロスの精度
・バックのストレート
この3点をコントロールではなく、しっかり振りぬいてショットを打っているところが凄い！強い！まさにこの一言が今の錦織に合ってます。メンタルで油断せず、フィジカルを調整できれば、トップ10入りは本当に時間の問題。
この決勝進出で世界ランクも暫定で18位に上昇！
[決勝の相手]
決勝は、世界47位でスペインの貴公子フェリシアーノ・ロペス。俳優のような顔立ちで世界中の女性ファンが多い選手。31歳のベテランながら、サウスポーから200km/h超えのサーブは威力抜群。2012年1月には15位にいた強豪。
しかもバックもスライスで、更にサウスポーなので、錦織の得意のバッククロスは相手のフォアに当たるだけに、どう切り崩していくかどうか。ビッグサーバーに少し弱点のある錦織が今後トップ10に入るためには、とてもいい相手。
過去の対戦も2011年にバルセロナのクレーコートで敗戦。その後は当たってないし、ランキングも大きく違うので実力的には錦織が上ですが、相性の面でどう機能するか。
決勝の時間は、現地13時開始の日本時間6時開始。この模様は、GAORAで生放送されます。
◆2/25(月)5：58～
番組名：全米インドア選手権(メンフィス)
シングルス男子決勝 「錦織圭×フェリシアーノ・ロペス」
放送局：GAORA
2012年のバルセロナの大会ですが、フェレールとの激闘の動画。今はこの時よりもかなりテニスの質は落ちているように見えます。フットワークとショットの精度が今一です。
錦織がトップ10に入るために、得意の「クレバーテニス」でどう戦い方を見せてくれるか、心から楽しみです！
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