知情意のバランスある教育 | 地球は暑くなり沈む

知情意のバランスある教育

 頑健な意志はどのようにして形創られるのか? このテーマは人類の永遠の課題であります。 古今東西の偉人・学者はこのテーマを追い求めてきたといっても過言でありません。 強い意志はどこから生まれるのでしょうか?
 子どもに言って聞かすことによって育成はできません。ここに意志教育の難しさがあります。
 その育成の仕方のヒントは世に名をなした偉人は全て、苦難と闘い、自己の不幸をバネとして大成長し、境涯を広げたという事実にあるのではないでしょうか。
 「一度も不幸な目に会わなかった者ほど不幸なものはない。このような者は、かって自分自身を試練することが許されなかったからである」これは帝政ローマの哲学者・セネカの言葉です。
 自己の中に埋没していると言っても過言でない強い意志を現実の中に解き放つ唯一の方法は当面の課題に果敢に挑戦して、その課題から逃避しないで頑張るところから生まれると言ってよいと思います。
 艱難辛苦が人間を鍛える。試練は不幸ではなく、幸福であると確信することです。
 そのための誘発材になる考えが、中村天風の「消極的な言葉は使わない」「寝際に鏡に写る自分に向かって将来像を言う」であります。
 また、茂木健一郎さんは自分の将来の希望を「書く」ことを推奨し、書くことによって、大脳内ドーパミンが増加し、やる気を生むとしています。
 それらの実践的方法がまず自己の意識を目覚めさせ、強い意志教育の誘発材になっていきます。
 しかし、これだけでは強い意志は育成されません。 実際に「苦難、不幸に果敢に挑戦する行為」そして、勝ち超えて行くところに「強い意志」が創造されるといえます。
 つまり苦難、不幸をバネとして、決して逃げないで粘り強く挑戦する行為の中に、人間に内在している「人智の鉱脈」を掘り当てる方法であり、この事が意志教育の中核なのです。
現在の日本社会が便利快適な環境的整備を完成させているところに、意志教育の難しさがあります。子どもたちに課題を与え、実践する場を提供していく工夫を親、学校、地域社会が考えていかなければ、ますますの日本の子どもはダメになっていくのではないかと心配しています。