ウクライナ問題・ロシアのクリミア併合(3 / 3)【佐藤 優】 | 太平洋戦争史と心霊世界

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自身の病気(炎症性乳がん)について書いています。


ウクライナのプィーサンカ 


●民族紛争が悪化する懸念も

 

 

佐藤:ところでクリミア・タタール人というのは1960年代終わりから戻り始めて、完全に戻れるようになったのはゴルバチョフが出た1980年代終わりなんです。帰るでしょ?あそこ水が少ないんです。ギリシャみたいな感じなの、土地が乾いてて。

 

そこで既にロシア人、ウクライナ人住んでるんですよ。土地巡る争いがあって凄い関係が悪い。しかもウクライナ人、ロシア人と比べてイスラム教ですから、出生率高いんです。

 

その一部にアルカイダ入っているんです。そうするとそこでロシア軍が変な形で展開すると、イスラムの聖地を犯したみたいな形で、アフガニスタンみたいな形になる危険もあるんです。

 

それからウクライナの東の方の人達はですね、ウクライナ人かロシア人かよく分かんないんです、自分たちで。ところが、戦争になるでしょ?そしたらどっちか決めないといけないんですよ。

 

ウクライナの場合は徴兵制採っていません。ロシア徴兵制採ってますから、ロシア人だって決めた場合には、銃を取らないといけない。そしてウクライナ人を撃たないといけない。

 

そうすると同じ家族・親戚の中でロシア人・ウクライナ人が分かれて殺し合いが始まり、民族紛争や憎悪が急速に進むんですよね。こういう危険な橋を今渡ろうとしている。だから、とにかく紛争を起こしたらいけないわけですよ。


ロシア軍 

 

 

●火中のクリ(ミア)を拾うアメリカ

 

 

佐藤:そういう時に、一方に加担するというような・・・ロシアけしからんです。けしからんからと言って、今のウクライナのこの変な政権ですね。良い物だと言ってテコ入れするのは間違えているわけなんですよ。この当たり前のことが出来ないのがアメリカなんですね。

 

アナウンサー:何でなんですか?

 

佐藤:そういう難しい事分かんないんですよ。私レベルの専門家、私だって大した専門家じゃないですよ。ただ、私レベルの専門家が今までの経験で、アメリカいないですから。こういう総合的な問題になると非常にあの人達弱いです。

 

アメリカの学者たちも宗教、それだけだったら見ている。クリミア情勢だけとか、イスラム原理主義だけ、東ウクライナの軍産複合体だったら見ている。

 

しかしそれが全部総合してどうなってるってことは、一人で見れる人がいないとこういった時は分かんないんです。情けの無い話なんですけどね。でも、日本は頑張ってる。

 

(外務省一部の)しっかりした人が支えていて、それで安倍さんは直観でしょうね。直観でオバマとプーチンだと、どうもプーチンはそんな大嘘つきの感じがしないぞと。今まで5回会った経験からってのがあるんですよ。


バリケードを築くデモ参加者 

 

 

●日本のとるべき方策は

 

 

アナウンサー:今回ソチのパラリンピック、今夜日本時間遅く始まりますけども、もちろん安倍さんは行きませんけども、政府関係者はちゃんと送っているっていう。

 

佐藤:正しいです、これシグナルなんです。要するに切り離してやらないといけないしと。だから、それと同時にロシアに対して軟弱ではないんですよ。

 

クリミアに軍隊入れたのおかしいじゃないかと。「何かあった時にウクライナで軍隊行使する」っていうのはおかしいっていうことは、はっきりと言っている。

 

だから何故おかしいのかというと、今私が言ったように、これじゃ民族戦争になるよと。そしたらロシアの安全保障にもマイナスになるんだと、こういうアドバイスをしてあげるべきだと思いますね。

 

それから、アメリカはちょっとカーッとして訳わかんないことやってますと。これついてこないと思いますよ、ヨーロッパが。

 

どうしてかというと、ロシアからウクライナ経由でパイプラインが流れてますからね。フランス、イタリア、ドイツにしても、このパイプライン失くして経済回らないですから。

 

アナウンサー:さっきドイツの話が出てきましたけども、今週火曜日、エコノミストの吉崎達彦さんが、ドイツの立ち回り方っていうのはロシアとドイツの間で北の方でパイプライン通してるんで、ドイツはそれ程ダメージはない。

 

ドイツで何だかんだ言っても親ロの人も多いという点で見ると、日本とドイツが上手く立ち回ればいいですねっていう話をされていたんです。

 

佐藤:今回どういう風になっているかというとですね、ロシアに一番厳しく出ているのがカナダなんです。それはさっきの(多数のウクライナ)移民の関係です。

 

で、第二次大戦前、カナダってイギリス領でしたよね?ですから今回は、米英仏連合対、日独伊、それとロシア。この戦前の構造がそのまま出ているんですよね。日独伊の利害は共通しているんです。

 

アナウンサー:日本のスタンスとしては、今のまま・・・。

 

佐藤:ただ、やりきれるかですね。アメリカから今までにないような物凄い圧力かかってきますからね。沖縄の辺野古とか慰安婦問題、鯨なんかじゃ目じゃないような圧力がかかってきて、アメリカ人血が頭にカーッと上ってますから、こういう時怖いですからね。

 

するとその怖い物との間でどの辺の折り合いを取るかと。まあその辺は国民の声も大きくなると思いますよ。ここのとこは日本としての立場をきちんと貫くと。

 

ですから一部に言われている、領土問題があるから日本は及び腰だって一部の新聞は書いているんですけど、そういう下品な話じゃないんですよ。領土問題と関係なしにウクライナに起きてることを冷静に見た上で、政府判断していると。

 

ただ結果として、その日本の冷静さをロシアは評価しますからね。領土大幅に動く可能性がある。その意味では領土交渉のチャンスではあります。(終)