ウクライナ問題・ロシアのクリミア併合(2 / 3)【佐藤 優】 | 太平洋戦争史と心霊世界

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自身の病気(炎症性乳がん)について書いています。



ウクライナのロシア語比率 ウクライナ西部:カトリック、ウクライナ語、反ユダヤ主義

ウクライナ東部:ロシア正教、ロシア語、親ロシア

クリミア自治共和国:タタール人、イスラム教


  

●言語問題は食い扶持の問題

 

 

佐藤:今回、何で東ウクライナを刺激したかっていうと、これも1日だけだったんですけど、権力を取った連中が、ロシア語を一部地域で公用語になってるけど、それを廃止すると言った途端、すごいデモが起きたでしょ?

 

日本から見ると、何で言葉の事でデモが起きるのかなと思うんですけど、これは米びつの話になるわけなんです。東ウクライナの公務員はみんなウクライナ語できないんですよ、ロシア語できるんです。全員クビですよ、ウクライナ語だけが公用語になると。

 

公用語できない人間は公務員になれない。あと民間企業でも管理部門は全員ウクライナ語義務付けられるようになりますから、全員クビになる。そうすると俺たち職失うってことわかってるから2万人、3万人が街頭に繰り出してくるわけです。

 

こういう所に手を出している民族学の専門語で「自民族中心主義」、要するにコソボとかボスニアとか、民族浄化をやろうとする、とんでもない勢力なんです。この影響がクリミアに及んじゃって、ロシア軍の(黒海沿岸の)部隊取られたら困ると、こういう風にロシアは思っている。


キャンドル 

 

 

●ウクライナ問題の解決策は

 

 

佐藤:しかしロシアのやっていることもけしからんわけなんですね。要するに1968年の「プラハの春」っていうのがかつてあったんですけど、チェコスロバキア民主化しようとする時に、社会主義共同体の利益が脅かされる時は、個別国家の主権は制限されるっていう理屈で、ソ連軍を中心にワルシャワ条約、5か国軍-東ドイツ、ポーランド、ハンガリー、ブルガリアが入ってくるわけですね、ソ連と共に。

 

あれと同じようにロシアは、ロシアの国家の死活的に重要な国益が脅かされる時は、近隣諸国の主権なんてのは制限されるんだと言って今回クリミアに入っている。こういうやり方、これ絶対認められないんです。ロシアがやっている事はおかしいんです。

 

それに関してはG7諸国はロシアはおかしいぞって非難したのは正しくて、日本が入ってきたのは、それはそれで正しいんです。

 

他方ですね、あのウクライナに今できている政権なんか支持する必要ないんですよ。とんでもない政権ですから。毒ヘビ(ロシア)と毒サソリ(ウクライナの暫定政権)の戦いだから。

 

要するにとにかく、毒ヘビ(ロシア)は隔離すると。サソリ(暫定政権)の駆除は、ウクライナ人の力でやらせればいい。とにかく外国勢力は一切干渉しないと、どの勢力にも。それでウクライナの問題はウクライナ人が解決しなさいと、こういう風にやるのが筋じゃないかなと思うんですよ。

 

比較的今の時点で日本政府は、私の言ってる所に近いラインで動いていると思いますね。これはよくやってます。


ガリツィアの農村教会 

 

アナウンサー:ウクライナはウクライナで決めなさいってことなんですけど、最終的には毒ヘビと毒サソリなわけなんですよね?

 

佐藤:いや、毒ヘビ(ロシア)は入ってこないようにするんです、毒サソリ(ウクライナ)の所に。ウクライナの人間たちに良識ありますからね。こういう激しい民族主義者たちっていうのは、ウクライナ人が自然淘汰していきます。

 

だからまず毒ヘビ(ロシア)が入ってきて毒サソリ(暫定政権)を食うぞって今鎌首上げているわけですよ、プーチンが。だからプーチンさん鎌首下げてくださいと。それで国境より向こうにヘビは行かないようにと。これは国際社会でやらないとけないんです。

 

だからクリミアに今ヘビ(ロシア)入っちゃってるからどうするかってことなんだけども、クリミアは元々協定があって、ロシア軍の基地の中にはロシア人いていいわけですからね。ロシア人の基地の中に毒ヘビを閉じ込めておいて、あとは本当にクリミア人の自治でやりなさいと。



ロシア艦艇 

セバストポリ港に入港するロシア艦艇(クリミア自治共和国)


 

20世紀のクリミア、歴史的背景

 

 

佐藤:これから怖い事2つあるんですよ。クリミアをロシアに強制併合するでしょ?クリミアっていうのは先住民族がクリミア・タタール人なんですね。普段タタール人っていうのはボルガ川沿岸のタタール人ですが、全く別民族です。

 

クリミアにナチス・ドイツが入ってきた時に一部の人が協力するんですよ。それでスターリンが対ナチス・ドイツ協力民族ってことで中央アジアに追放するんです。その跡地の所にロシア人入れちゃうんですね。

 

なんでウクライナ人じゃなくてロシア人かっていうと、1944年の時点でクリミアはロシア領なんです。1654年にウクライナのコサック、屯田兵ですね、それのお頭(かしら)が、当時のお頭国家っていうのを持ってたんです。それがモスクワの家来になりますっていう約束をしたペレヤスラフ協定っていうのがあるんです。

 

それの締結300年を記念してフルシチョフ・ソ連共産党第一書記が、ロシアからウクライナへ(クリミア半島を)プレゼントしちゃったわけなんですね。ウクライナは戦争で大変だったから少しロシアもサービスしようってことなんですよ。

 

しかしその時、ソ連が解体することを考えてなかったですから。領土変更になると思わなかった。だからあそこはロシア人が非常に多いし、ロシア人が血を流してクリミア戦争では得た所だからロシア人の思いが強い所なんですよ。普通に住民投票やってもロシア寄りになるんです、あんな軍隊なんか入れなくても。