【都道府県 伝統の教え】岩手県
新渡戸稲造(にとべ・いなぞう)、石川啄木、宮沢賢治、金田一京助(きんだいち・きょうすけ)、原敬、斎藤実(まこと)、米内光政(よない・みつまさ)…岩手県は歴史に名を残した文人や政治家など多くの偉人を生んできた。厳しい自然環境を含め郷土を愛し、活躍してきた先人たちが目立つ。
『岩手県の教育史』(長岡高人編著、思文閣出版)などによると、厳しい気候、風土が木訥(ぼくとつ)でじっくり思索する気風を生み、学者などに向いていたのではないかという。また、戊辰戦争で盛岡藩(南部藩)は旧幕府側にたって戦ったため、薩摩や長州閥が重用された明治の新政府で、藩閥に頼らず実力次第で活躍できる学者や軍人などの道で励んだ人たちが多かったという。
藩校「明義堂」は幕末に「作人館」と改称し、和漢学や武芸、医学に力を入れ、日本初の平民宰相・原敬ら多くの人材を輩出した。
盛岡市では市の小学校校長会が副読本「盛岡の先人たち」をつくるなど、次代を担う子供たちに郷土の偉人らの生き方を学び「夢」「志」をはぐくむ教育に取り組んでいる。
「盛岡市先人記念館」では明治期以降に政治、経済、文化など各分野で活躍した130人の先人たちの遺品や資料を展示、生き様を紹介している。