【皇太子さまドイツご訪問前会見 詳報】 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 





(上)震災支援「世界各国にお礼」



【問1】

 東日本大震災では、殿下が訪問されるドイツをはじめ世界各国からさまざまな支援が寄せられ、国際親善の重みを再認識する機会となりました。

 一方、震災から3カ月が過ぎても、被災地の復興にはなお時間がかかり、福島第一原発事故の今後も不透明な状況で、殿下ご自身もドイツ訪問の日程を短縮する配慮をされました。

 平成7年の阪神淡路大震災後、中東を訪問される際、殿下は「このような状況で外国に行くことは忍びない」という趣旨の発言をされました。今回、日独交流150周年の名誉総裁として、長年交流を重ねてこられたドイツを訪問されるに当たっての抱負とともに、ご訪問がこのような時期に重なったことについてのお気持ちをお聞かせください。

 


【皇太子さま】

 まず最初に、このたびの東日本大震災で亡くなられた多くの方々に心から哀悼の意を表します。

 極めて大きな被害をもたらした震災から3カ月あまりがたちましたが、いまなお、避難所などで不自由な生活を送っておられる方が数多くおられます。改めて、ご遺族と被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。

 そして被災された方々には、今後も多くの方から温かい支援の手が十分に差し伸べられることを願うと共に、この災害からの復旧や復興が、1日も早く進むことを祈っております。

 また被災地で日夜、復旧、復興活動に献身的に取り組んでおられる方々のご苦労もいかばかりかと思います。

わたくしたちも、特に今回の東日本大震災で不自由な思いをされておられる方々のことには常に思いを寄せており、これからも長く、心を寄せ、復興への道のりを見守り続けたいと思っております。

 被災地との関係では、今申し上げた考えの下、今後とも、受け入れ先のご都合を十分に配慮した上で、お見舞いや現地の事情を伺う機会を、持っていかれればと思っております。

 今回の震災に関しましては、世界各国からお見舞いの気持ちを寄せていただくと共に、さまざまな支援を頂きました。この場をお借りして心からお礼を申し上げます。

 このたび、ウルフ・ドイツ国大統領よりのご招待を受けて、日独交流150周年名誉総裁としてドイツ国を公式訪問することになりました。

 ウルフ大統領を始めとする、ドイツ国政府に感謝致します。今年は日独交流150周年にあたり、ドイツにおいてはウルフ大統領が、また、日本においては、わたくしがそれぞれ名誉総裁を務め、両国でさまざまな計画が組まれております。

 わたくし自身、この1月以来、いくつかの150周年関連行事に出席いたしました。

 そして、その一環として、わたくしの名誉総裁としてのドイツ訪問が、日本政府とドイツ政府の調整の結果、この時期に実現する運びになっておりました。

今回の訪問については、当初は地方訪問を含めた日程での公式訪問が検討されておりましたが、3月11日に起こった東日本大震災の被害の大きさに鑑みて、日本側より首都ベルリンに限った日程短縮の検討をお願いしたところ、ドイツ側からもご理解を頂き、ベルリンにおいてすべての公式日程をこなすこととなりました。ドイツ政府のご配慮にも感謝したいと思います。

 今回のわたくしの訪問が、日独双方の国民が、長い交流の歴史に思いをはせる機会となり、今後の良好な日独関係の更なる関係強化の契機となれば幸いです。

 東日本大震災に際しては、ドイツからも震災発生以来、今回お招き頂いたウルフ大統領を始め、政府関係者はもとより、多くのドイツの一般市民の方々からお見舞いの気持ちを寄せて頂き、また、さまざまな支援を頂いたと伺っております。

 こうした背景の下、今回のドイツ訪問で、お目にかかるドイツの方々には機会を捉えて、わたくしよりこれまで寄せていただいたお見舞いのお気持ちと、さまざまな支援にお礼を申し上げたいと思っております。

 わたくしとドイツとの関わりについてひと言お話すれば、そもそも、わたくし自身ドイツの文化には幼少のころより音楽や文学などを通じ、親しみを持っておりました。

 その後、日本の中世の交通史を研究する過程で、ドイツの交通の歴史や都市の発達などにも関心を持つようになりました。

英国留学時代の昭和60年に、初めて当時の西ドイツの諸都市を訪問した際には、ライン川を船で下る経験をしたり、中世のハンザ同盟の代表的都市であったハンブルク、リューベック、リューデブルクなどを訪ねることができたことはとても良い思い出になりました。

 なお、音楽に関して言えば、当時の首都であったボンにあるベートーベンハウスを訪れることができたことも、うれしいことでした。

 次にドイツを訪問したのは、まだベルリンの壁のある昭和62年でしたが、

公式訪問として、西ベルリンを訪れ、現在は在ドイツ日本大使館の建物となっているベルリン日独センターの開所式に出席する機会を得ました。

 わたくしが1歳のころに造られた冷戦時代を象徴する東西を隔てるベルリンの壁を初めて見たときは、国際政治の厳しい現実に正直、ショックを受けたことを記憶しています。

 なお、この時はベルリン滞在後、ミュンヘン、ローテンブルクといった南ドイツにも足を運び、北ドイツとはまた違った趣のある南ドイツの風情に触れることもできました。

 皇太子となってからは、ドイツへの公式訪問の機会はありませんでしたが1999年から2000年にかけてのドイツにおける日本年、2005年から2006年にかけての日本におけるドイツ年の名誉総裁を務めるなどドイツとの関係について関わりを持ってきました。

 今回、公式訪問としては24年ぶりになり、統一後のドイツは初めて訪れることになります。

平成5年に両陛下がご訪問になっておられ、その際のお話は両陛下よりいろいろと伺っておりますが、今回、ベルリンの壁がなくなり、新しいドイツの首都となったベルリンを訪れ、昭和62年当時と、どう変わったか、この目で確かめてみたいと思っています。

 それとともに、多くのドイツの方々とお話ができますことを楽しみにしています。

 今回のドイツ訪問では、ちょうど日独の交流150周年の機会に当たりますので、150年前に両国の友好と交流を始める基礎となった日・プロイセン修好通商条約の原本を拝見したり、明治期のわが国を代表する作家の1人である森鴎外のゆかりの記念館を訪問する中で、ドイツがわが国の近代化の時期に示した友好の歴史に思いをはせたいと思います。

 また、未来に向けた日独関係という観点から、予定されている日程の中で日本に関心を持ち、日本のことを学ぶドイツ人大学生などと話す機会や、ベルリン日本人国際学校や、同校に併設されているドイツの小学校の訪問を楽しみにしています。

 そして、かつて開所式に出席したベルリン日独センターにおけるシンポジウムへの出席も楽しみにしています。

 ベルリン日独センターは、開所以来、約4半世紀の年月を経て学術、文化などさまざまな分野での日独間の交流、協力を推進する場として貢献してきました。

 今回は、日独両国が、狭い意味での2国間関係にとどまらず、広く、世界の利益のために、今後、協力していく分野として環境、防災などを取り上げて議論すると伺っております。

 両国が過去を踏まえ、現在の協力関係を基礎として、未来に向けて協力関係を進化させ、発展させていくことを期待しています。








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