教科書に「先人から 伝わる防災の教訓」 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 






【都道府県 伝統の教え】和歌山県



150年前に安政南海大地震で津波から住民を救った物語『稲むらの火』のモデル、浜口梧陵(ごりょう)(儀兵衛)の話が、今春から小学校の国語の教科書に六十余年ぶりに復活する。東日本大震災が起き、この話が取り上げられることが多くなっている。改めて紹介したい。

 『稲むらの火』は、祭りの準備で津波に気づかない海辺の村人のため、刈り取ったばかりの稲束(稲むら)に火を放つ機転で、高台に消火にかけつけさせることで津波から救う。

 小泉八雲の小説にあるほか、戦前の教科書に載っていた。「消えた偉人・物語」でも今年1月に占部賢志先生が紹介したが、戦前教科書の『稲むらの火』は、当時の文部省が全国の小学校教員らから国語や修身の教材を公募。和歌山県の小学校青年教師、中井常蔵が郷土史を改めて調べ物語にしたものだ。

 今春から小学5年生向けの国語教科書(光村図書出版)に掲載されるのは、「人と防災未来センター」(神戸市)の河田恵昭センター長が書いた浜口の伝記「百年後のふるさとを守る」。

 ヤマサ醤油(しょうゆ)の7代目当主にあたる浜口は、住民救援に尽力、私財を投じて今も残る大堤防をつくった。「稲むらの火」を知らない若い世代が多くなるなか、再び教科書に載る。