入り乱れる災害時の情報。 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







【from Editor】3・11大地震




地震直後、地方部の席に走った。部員と手分けして一斉に東京管内18総支局に電話、情報収集と安否確認を始めた。何度かけ直しても通じない。運よく連絡が取れても記者の大半は外出中。「まだ連絡が取れない」「全員大丈夫」…こんなやりとりが続き、最後の1人を確認するまでに数時間かかった。

 11日の発生から数日間、東北6総支局との連絡は困難を極めた。紙面は取材拠点の仙台と調整しながら作り上げるものの、情報は錯綜(さくそう)する。さまざまな経路で情報が入り混乱を招いた。他総支局から仙台に向かった記者とは連絡が取りづらく、十数時間かけたどり着いた記者もいた。改めて正確な情報の共有の難しさを実感した。

 「100年に1度の災害規模」は、日常を奪い取った。死者・行方不明者は日々増え続け、避難民は数十万人にのぼる。波にのみ込まれた広範な被災地域、数多くの安否不明者。多くの地域で物資輸送ルートは確保されていない。二千数百カ所に及ぶ避難所には、十分な食糧もなく、防寒具も少ない。被災者は寒さに凍えて過酷な生活を送っている。

 いつまで続くか分からない避難所生活。彼らは口々に「正確な情報がほしい」と訴える。地震発生後、編集局長から改めて生活情報の重要性を指摘された。平成20年の岩手・宮城内陸地震の時、避難所のお年寄りが、被害状況を伝える記事とともに生活情報を食い入るように読んでいた姿を思い出した。被災者にとってもっとも重要な情報なのだ。

過去最大級の自然災害が、福島第1原発の水素爆発を“誘発”。格納容器が損傷して放射能が漏れ、深刻な事態に陥った。菅首相は東京電力の事故連絡が遅れたことに対し「どうなっているのか」と東電幹部を批判したというが、それはこちらの言いたい言葉だ。毎日、いや数時間ごとに目まぐるしく状況が一変する。不安をあおることなく、速やかで正確な情報が求められる。

 一方、実施前日に発表された東京電力の計画停電。市民は訳が分からず右往左往するばかり。初日は夕方に一部エリアで行われた。しかし、早朝からの実施を想定した鉄道の運休や運行本数の削減で、首都圏は大混乱。ずさんな計画の情報に踊らされたといえる。

 入り乱れる災害時の情報。読者が求めるもの、知らせなくてはいけないものを、確実に届けなくてはいけない。(地方部長 楠崎正人)