『相棒15』最終回SP(第18回)『悪魔の証明』感想(ネタバレ有) | ~ Literacy Bar ~

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ここはイマイチ社会性のない自称・のんぽりマスターの管理人が、
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※基本、ネタバレ有となっていますので、ご注意下さい。

杉下右京「このプリキュア、二〇一〇年には、まだ登場していません」

角田六郎「はぁ? 警部殿の守備範囲の広さには驚かされるな! え? 少女アニメも得意か?」

杉下右京「とんでもない! 今、ネットで調べたんですよ! これは二〇一三年に登場したものです!(キリッ

 

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与力「しかし、杉下警部の仰ることは本当なのでしょうか?」

 

角田六郎「おいおい、学生時代に古畑の二番煎じの倒叙ミステリを書いていたくらいの実績で、警部殿の推理にケチをつけようってのかい?」

 

与力「いえ、この写真に何らかの矛盾や作為を覚えるという、杉下警部の推理に異論はありません……問題は杉下警部の『プリキュアは今、ネットで調べて初めて知った』という発言のほうです」

 

杉下右京「君、僕が嘘をついているというのですか?」

 

与力「ええ。記事には、このキャラクターが『プリキュア』であると記されている箇所は見受けられません。女の子向けのアニメとなると『アイカツ』かも知れませんし、或いは『プリパラ』の可能性もある。しかし、杉下警部は社課長の記事に不審を感じて、パソコンで検索をかけてから、ものの1分もかからずに『ドキドキ! プリキュア』であることを特定しました」

 

角田六郎「そういわれりゃあ、確かに早かったな」

 

与力「冠城君、君のパソコン……は没収されていましたから、スマホで『女の子 アニメ』で画像検索をかけてみて下さい。二〇一七年三月二十四日現在、最初に出てくる作品は何ですか?」

 

冠城亘「『うたの☆プリンスさま』ですね。次が『ごちうさ』。プリキュアは……かなり下のほうまでいかないとあがってこないようです」スッスッ

 

与力「どうもありがとう。よしんば、他の検索ワードで『プリキュア』がヒットしたとしても、全く予備知識のない人間が十年以上の歴史を誇るプリキュアの、それも、総勢五十人にも及ぶメンバーから放送された年を一分足らずで絞り込むのは時間的に難しいでしょう」

 

杉下右京「…………」

 

与力「そればかりではありません。杉下警部は真っ先に写真の中のキュアハートを指さしました。何故、キュアハートが主人公であることを御存じなのでしょうか? これは最初から杉下警部が『ドキドキ! プリキュア』を知っていたからと考えるほかありません」

 

角田六郎「警部殿。アンタ、まさか……」

 

与力「黙っていても、青木君にパソコンの検索履歴を調べてもらえば、すぐに判ることなんですよ………………杉下警部!」プルプルプルプル

 

杉下右京「…………何時、僕が嘘をついていると気づいたのですか?」

 

冠城亘「右京さん!」

 

与力「CMです。劇場版『相棒』が封切られて一月以上も経過しているのに、CMの杉下警部は今でも映画を見忘れているという設定になっていました。しかし、杉下警部ほどの御方が御自身の出演された映画を見忘れる訳がない。その不自然さが、僕の中に一つの仮説を生じさせたのです」

 

角田六郎「何だよ、仮説って?」

 

与力「三月十八日、つまり、先週の土曜日から『映画プリキュアドリームスターズ』が公開されています。杉下警部は、どうしてもこの作品を見たかった。しかし、理由もなく、映画館にいては誰かに妙な勘ぐりをされるかも知れない。それゆえ、劇場版『相棒』を見ていないフリをすることで、自分が映画館にいるのは自然のことと周囲に思わせようとしたのではないでしょうか」

 

冠城亘「つ、つまり、右京さんは『相棒』を見るフリをして『プリキュア』を見に行くつもりだったということですか!」

 

与力「ええ、僕のようにね。杉下警部はどうしても、今月映画館に行く口実が欲しかったのですよ」

 

杉下右京「……僕としたことが、迂闊でした」

 

与力「貴方ほどの頭脳の持ち主が、御自身のプリキュア好きを隠すために、その才能を浪費したとは……残念です」

 

伊丹憲一「はいはい、あとは捜査一課が引き継ぎますよっと」

 

芹沢慶二「しっかし、まさか、杉下警部がプリキュア好きとはねぇ~」

 

与力「いかんのか?(ギロッ

 

芹沢慶二「あ、いえ、別に」

 

与力「あぁ、最後にもう一つだけ。杉下警部、貴方の推しプリキュアを教えて頂けませんか?」

 

杉下右京「決まっているでしょう。東せつなさんですよ(キリッ

 

与力「成程。悪の幹部から正義のプリキュアに生まれ変わったキュアパッション……犯人の贖罪と更生を願ってやまない杉下警部らしい選択です。私の愛するりんちゃんさんの魅力には遠く及びませんが」

 

杉下右京「その言葉、そっくりそのままお返ししますよ」

 

 

ルールルルールールールー♪ ルールルルルルールルー♪ ルルルルールルルルルール♪ ルルルルルルルルールー♪ ルールー♪

 

 

杉下の口からプリキュアという単語が出た段階で、もう本編の内容なんか半分も頭に入ってきませんでした。そのうえ、杉下によるプリキュアの特定が早過ぎたのが気になって、辛抱たまらず、拙劣なSSもどきを書いてしまった次第です。まるで反省していない。でも、実際、あの速度でキャラクターから放送時期を特定するのは不可能だよね。『相棒』で例えると、全く予備知識のない視聴者が名前も知らない瀬戸内米蔵の画像を見て、第クールの作品かを一分で突きとめられるか甚だ疑問です。何気に不可能犯罪を成し遂げてしまった杉下警部。やはり、プリキュアを知っていたと考えるのが妥当です。いや、それでドーダコーダいうつもりはありませんが。本編以外の話題で一部ネット民を騒然とさせることに成功した今季の『相棒』最終回。ある意味でダークカイトに勝るとも劣らない衝撃でした。ちなみに上記SSにおける杉下の推しプリキュアは私の妄想です、念のため。

 

衝撃度でいうと、もう一つ驚いたのは『相棒』の最終回SPなのに殺人事件が起きなかったことですね。プリキュアを殺人事件の推理のカギにするのは東アニの企業イメージが許さないんじゃあないかと思っていましたが、その予想が当たってよかったのか悪かったのか、誰一人死なない内容でした。そのくせ、最後まで妙な緊張感を途切れさせなかったのは凄い。カメラワークやアングルといった映像の見せ方にも独特なリズムがあって、退屈しませんでした。しかも、今回のは煎じ詰めると、

 

社美彌子の娘は誰の子か

 

という本当に下世話な話じゃあないですか。それ一本で二時間強も保たせた手腕には素直に頭が下がりましたよ。しかし、一方で事件(?)そのものの真相は結局、明かされないままというか……少なくとも、社美彌子の言葉を素直に受け入れるには話に含みが多過ぎます……という発想自体が刑事部長と同レベルの下種の勘繰りといわれてしまえばそれまでですが、次期シリーズに回答を先送りされた感は否めません。回答といえば、今季第一話ラストで映った謎の死体遺棄事件や、神戸から冠城に送られたメールの一件も回収されないままでした。幾ら何でも引っ張り過ぎだろ。

 

さて、今回の主題は『悪魔の証明』。これは私が拙劣な解説をするよりも、現在、本邦の政界を騒がせている問題を見たほうが早い事案ですね。立証責任は検察側にあるといいますか。やっていないことを証明する義務はないと考えればよいでしょう。尤も、世間では『やっていないというのであれば、その証拠を出せ』と宣う方々が結構いるのが現状で、実際、ネットに『コイツは殺人事件の犯人だ』と書き込まれた有名人が、記事の削除を求めた際に犯行を否定する証拠がないと削除できませんと断られたことがあったそうです。ひどい話だよ。そういや、元・ダークカイトが何かをやったとかやらないとかいう一件で、ワイドショーのコメンテーターが『やっていないであれば、素直に出てきて説明して欲しい』とか寝言をほざいたこともありましたな。今回、こうした題材でカイト君が回想シーンとはいえ、出演を果たしたことは、そうした風潮に対する製作者側の何らかの返答ではないかと思った次第です。