~ Literacy Bar ~

ここはイマイチ社会性のない自称・のんぽりマスターの管理人が、
時事、徒然、歴史、ドラマ、アニメ、映画、小説、漫画の感想などをスナック感覚の気軽さで書き綴るブログです。
※基本、ネタバレ有となっていますので、ご注意下さい。

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約一月半ぶりの徒然日記。十月は秋季アニメ&ドラマの感想記事の釣瓶うち、十一月は『修羅の門』の山田さんの爆弾発言で何かと忙しかったからなぁ。今週は『相棒』がお休みで久々に余裕ができたので、今まで溜め込んでいたことをつらつらと。本当は将来起こり得る事態に備えた文章と、今年の頭から私を苦しめてきた案件に対する見解を述べておきたかったのですが、ちょいと勉強中なので次の機会に。選挙の件ではありません、念のため。あ、ちなみに今週の『ガンダムビルドファイターズトライ』はプロレスファンには御褒美満載で楽しかった! フィニッシュでセカイが使った閃光魔術蹴りってシャイニング・ウィザードじゃないですか。ヘタに殴りあうよりも、プロレス技をガンガン出して貰ったほうが燃えたかも。

1.勉強になります

秋季新規番組の感想記事も一段落したので、最近は様々な方のブログを拝見させて頂いております。特に印象に残ったのが次の二つ。

① 『木の仏さま』

私のブログにも度々、足を御運び下さる明石のタコさんことハカセさんのブログ。上記の『木の仏さま』の連載が実に面白い。仏像の記事なのに仏像の紹介からではなく、その材料である森林と日本人の関わりから入る地固めの確かさに脱帽しました。それでいて、日本初の木彫仏像は正規に森林から切り出されたものではなく、流木を用いたものというのも驚き。元々、仏教からして異国の教えなので、その材料には地生えのものよりも、異界からの漂着物、所謂寄り物のほうが適しているという当時の人々の考えが反映されていたんじゃないかとか、考えを巡らせてしまいました。他にも材質に対する専門的・科学的アプローチもしっかりとされておられるワケで……ハカセさんのリアルが気になる。もしかして、私のような文系でも知っている名高い科学者なのかも。HNも博士だし。ブログの記事というよりも研究書類のような緻密な雰囲気があるよね。

② 『「大王」と「天皇」二つのリーダー論』

こちらはヒスペディアさんによる動画企画。実在した人物へのインタビューという形式で当時の情勢を解説されており、これが非常に判りやすかった。詳細は動画に譲るとして『大王』と『天皇』の違いは、どの国の権力機構も辿った道。ローマの王も初めは諸豪族の推戴ありきで天に誓う形式ですが、領土が広がり、機構が複雑化すると必然的に第一人者が天に代わって統治する=諸豪族に分散していた権力を集中しないとやっていけなくなる。『下から上に押しあげる』から『上から下に命ずる』という構造に変化する。日本の権力機構はよくいえば穏健、悪くいえばなぁなぁでズルズルと中世まで来たように思っていたのですが、ちゃんと辿るべき過程を経ていたワケなんですね。勉強になりました。
こうした力作に触れると『俺も歴史記事を頑張らねば!』と燃えてきます。現時点では次回の記事の候補者は二名に絞り込めているので、年明けくらいには決められるかも。候補者は中国史から一人、英国史から一人。栄えある二十番目の歴史記事なので、今まで以上に気合入れないといかんな。

2.大河雑感

大河ドラマ『軍師官兵衛』の総評記事、脱稿しました。最終回の一ヶ月近くも前の完成は自己新記録。最後まで見ないで総評記事が書けるものかという御意見もあるかと存じますが、最終回で主人公が自分の人生に対する大反省会をした『太平記』のような展開を向かえないかぎり、現在の原稿をそのままUPしても何の問題もないと思います。大凡の展開が読めますのでね。でも、今週のようにタイヘーノヨを目指してきた主人公が唐突に己の野心のために天下を狙うという、全く理屈が通らない行動に出ているので、最悪の想定の斜め上をいく展開が待ち受けている可能性もアリ。その辺には油断せずに対処していくつもりです。
しかし、今週は通常に輪をかけて酷かったわ。何で今、官兵衛が天下を狙うのかが全く判らない。今までは『無駄な戦は極力避けるべきです』と馬鹿の一つ覚えのように繰り返してきた主人公が、自分の野心のために天下の大乱を願う。確かに私も関ヶ原の段階で天下を狙う官兵衛が見たかったですけれども、そこに至る動機づけが全然なっていない状態で主人公が唐突に天下取り宣言をするから、視聴者の見ていない場所で影武者と入れ替わったとしか思えないんですよ。そもそも、唐入りを表明した秀吉に『民草が疲弊しているから戦はおやめ下さい』ともいってたよな、コイツ。じゃあ、おまえの天下取りのための戦は何なんだよ。キケロも真っ青の壮大なブーメラン。尤も、以前から本作の主人公は、

クロカン「俺の戦は『太平の世のために必要な戦』。それ以外の戦は『無駄な戦』」(`・ω・´)

という態度で首尾一貫しているので、筋が通っているといえなくもありませんが、そんな筋の通し方はしなくていい。尚、最終回は選挙特番のため、一週順延ですが、Rinkaさんがブログで述べておられるように一緒くたで放送してしまっていいと思います。ワイプ併用でイケるでしょ。勿論、大河ドラマのほうがワイプでね。総評記事も書きあげたので、一刻も早く記憶の隅に押しやって、次に気持ちを切り替えたい大河ドラマですが、来年のは来年ので、

「幕末男子の育て方」

とかいうキャッチコピーを掲げている始末。完全に某ラノベの二番煎じなんですが。こんな『浅井三姉妹に学ぶ婚活』レベルのキャッチコピーを掲げている段階で期待値ゼロ。ゆずさんの『なう』で知った時は『もう、来年はナレーションしか楽しみがないな』との思いを新たにしました。

3.『PSYCHO-PASS2』雑感(ネタバレ有)

感想記事の枠を『相棒』と争っていた『PSYCHO-PASS2』ですが、こちらは断念の運びになりました。予め申しあげておくと、作品のクオリティに問題があるワケではありません……というか、現時点ではどう考えても今季の『相棒』より上。じゃあ、何が原因かというと、

カムイ君が気に食わない

の一点に集約できると思います。いや、これもカムイ君が悪いんじゃないですよ。いや、実際は悪い奴なんですけれども。カムイ君は冲方さんが課せられた役割の擬人化というか、第一期でマキシマム&シビュラシステム≒虚渕さんが構築した世界を如何に説得力のある方法で崩壊させるかという一点のために創造されたキャラなんですね。これがちゃんとできないと第二期を創った意味がなくなってしまうので、マキシマムのように遊び半分で楽しみながら犯罪を犯している余裕はない。マキシマム&シビュラシステム≒虚渕さんが構築した世界を崩壊させるという『目的のために手段を選んでいられない』のがカムイ君&冲方さん。両名共、やることなすこと全てが計画的でスキがない。チェスマスター……というよりも、格闘ゲームのハメ技使いのような雰囲気。でも、私はマキシマムやリチャード獅子心王や上杉謙信のように手段の為に目的を選ばない人間のほうが好きなので、どうしても作風が肌にあわないんでしょうなぁ。真面目に戦争する人よりも趣味でドンパチする奴のほうが面白く感じてしまうので、ムダやスキのないカムイ君が好きになれないんですね。クオリティに問題があるワケではありません。大事なことなので二回言いました。
ちなみにカムイ君が透明人間なのは、シビュラシステムがカムイ君絡みの飛行機事故を何らかの理由(恐らくは不祥事)でカムイ君の存在と共に抹消した=データが残っていないのが原因ではないかと思うようになりました。作中世界ではあらゆる記録媒体はシビュラシステムとリンクしているので、シビュラシステムのデータと照合できない存在は認識できない。人間が目で見ているものは現実ではなく、目と脳が認識した仮想現実でしかないのと同様、一切の記録情報をシビュラシステムに委任している以上、劇中世界で出てくる映像は全てシビュラシステムによって再構築された仮想映像&音声。それゆえ、シビュラシステムのほうに存在を裏づけるデータがない(或いは抹消された)ものは実在していても映像や音声としては記録(認識)されない。ちょいと判りにくいですね。説明がヘタですみません。この辺は『姑獲鳥の夏』をお読み頂けると幸いですが、まぁ、それ以前に推察が外れている可能性のほうが高いでしょう。

4.『リーガルハイSP』雑感(ネタバレ有)

古美門研介「死んだからこそ、意味があるんだよ。死は希望だ。その死の一つ一つが医療を進歩させてきた。現代の医療は、その死屍累々の屍の上に成りたっている。誰しも『医療の進歩のためには犠牲があっても仕方がない』と思っている筈だ。その恩恵を受けたいからね。しかし、その犠牲が自分や家族であると判った途端にこういうんだ。

『話が違う』と! 

『何で自分がこんな目に遭わなければいけないんだ?』
『誰の所為だ?』
『誰が悪いんだ?』
『誰を吊しあげればいいんだ?』

教えてやる。訴えたいなら科学を訴えろ。貴女のご主人を救えなかったのは現代の科学だ」
九条和馬「そんなこと、できるわけないだろう!」
古美門研介「だったら、せめて狂気の世界で戦う者たちの邪魔をするなッ!」


『ポピュリズムの温床』を題材にした第二期が意外にアレな出来で終わった『リーガルハイ』でしたが、先日放送された医療過誤を題材としたSPは面白かった! 凡百の社会派&医療ドラマで語られる理想論をバッサリと斬り捨てるのが痛快でした。患者を救いたくない医者なんかいない。でも、医療の世界では死こそが希望という側面がある。『絆』とか『win-win』とかいう耳障りのいい言葉の裏に潜む誰もが目を背けていたい真実を白昼の元に晒すのが『リーガルハイ』の凄さ。世の中にはどうしようもない理不尽がある。生きていくには理不尽と戦う覚悟とスキルを身につけろ。それを持たない奴が他人の戦いの邪魔をするな。厳しい。実に厳しい。
そのうえ、上記の古美門の言葉も全部が真実というワケじゃないんですよね。今回は病院側に雇われただけで、もしも、被害者の奥さんに雇われていれば、古美門は別の真実を持ち出してきたに決まっています。『リーガルハイ』の台詞は説得力がある反面、全部が全部正しいワケじゃない。それこそ、古美門がいうように真実なんてものは時と場合と人間によって幾らでも捻じ曲げることができる。そして、真実を自分の都合のいいように捻じ曲げられる知恵と力を持った者こそが勝利者。そういう逞しさを持てというのが本作全般を通じた主張だと思います。本当に古沢良太さんはヒネた作品を書くよなぁ。流石は『相棒』の常連さん……と思ったのですが、調べてみると古沢さんが手がけた相棒は構成は込み入っていても、内容そのものは意外とハートフル。『イエスタディ』とか『バベルの塔』とか。最近では『待ちぼうけ』ですね。過酷な現実を引きずり出すという点で杉下の暴走回とか手がけていてもおかしくないのになぁ。以前、杉下と湯川の共闘を見たいと書いたことがありましたが、純粋な対決という点では杉下VS古美門のほうが面白そう。『真実は是が非でも明らかにしなければいけない』という杉下と『真実なんか知ったことかバーカ』という古美門の戦いは見応えあるんじゃないかと。

5.『SAO2』雑感(ネタバレ有)

キリト君の痛過ぎるネーミングセンスとか、完全ハーレム状態が色々と取り沙汰される『SAO』ですが、私は一貫して好きな作品。以前も書いたように仮想空間と現実世界の価値を等価に見做す作品は稀ですし、それがちゃんと作品で機能しているのが凄い。しののんがリアル世界で戦えたのはGGOで使っていた自分のアバターの影響ですしね。大抵は『本当の世界は現実の中にしかない』みたいなありふれた結論になっちゃうんですが、現実世界も個々の脳が構築した仮想空間でしかないのは周知の事実。原作未読なので先の展開は判りませんが、現在の『マザーロザリオ編』も仮想空間と現実世界の価値の等価を描いてくれるんじゃないかと期待しています。
私もネトゲをやっていたので、個々の章の主人公&ヒロインが担う役割について考えるのも楽しい。

SAO編は普通にネットを介して見知らぬ他人と繋がる喜び。
ALO編はネットで知りあった相手が実は身近にいたという驚き。
GGO編はキリトのネカマ疑惑とネトゲ依存症の恐怖。


何れもネトゲ経験者であれば、どれか一つは経験があると思います。ちなみに私はSAO編とGGO編。ネトゲ依存症ではなく、ネカマのほう。しののんに似た種族で一貫して魔導師キャラをやっていましたよ。何だ? 何か文句でもあるのか?(赤面

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ナレーション「秀吉政権の最高機関『五大老』のメンバーは、政宗を除いて石高ベスト5から選ばれている。政宗は新参の所為か、それとも、信用がなかったのか、このメンバーには加えられていなかった」チャーチャラララララーン♪

どう考えても後者です。本当にありがとうございました。

アバンタイトルから主人公の自虐ネタをぶっ込んでくる大河ドラマって、現在では想像できないよね。近年の戦国大河は何かあると『秀吉が信頼した』とか『家康が恐れた』とかいうキャッチフレーズをつけるけれども、本作は『秀吉が信用しなかった』というのが凄ェ。先週の現役大河では秀吉から直々に秀頼の傅役を頼まれた前田利家に向かって、

ぼんくら官兵衛「死に損ないはすっこんでろ!」(これでもマイルドな要約です)

とドヤ顔で宣告した礼儀知らずの主人公がサスガカンベージャと持て囃されるんだぜ。あの場面は見ていて殺意が芽生えました。本気で『おまえが死ねばいいのに』と思った。主人公が登場人物全員に持て囃されるいい人設定の大河ドラマが面白いワケがない。いい人間とは底の知れた未知の魅力を感じさせない男に対する憐れみを向けた表現に過ぎません。結局、自力で魅力に溢れたキャラクターを創造する力がないから、通俗的な正義感を主人公の拠り所にするしかないのでしょう。もうさ、来年の大河もキャッチコピーからして全く期待できないんで、本放送の枠で『太平記』か『風と雲と虹と』でも流そうぜ。今回のポイントは3つ。

1.諱は忌み名

伊達秀宗「ほんじつは、ぶもんのしきたりにならい、げんぷくのぎ、おおせつけられましたるだん、ありがたき、しあわせに、ぞんじたてまつります」
伊達政宗「……上出来じゃ!」


猫御前や政宗は元より、視聴者もハラハラしながら見入ってしまう秀宗の口上。子役だからって甘やかさないよね、この作品。寧ろ、子役に難しい台詞を語らせることで、見ている側も政宗や猫御前と同じ視点にたたせています。口上を述べ終えた秀宗に対する心境は、まさに上記の政宗と同じ。最近の戦国大河だと大人の役者でも秀宗レベルの台詞を喋る機会がないからね。すんげぇ単調で陳腐で現代劇チックな物言いしかしないからね。
さて、秀吉から一文字を賜り、秀宗と名乗る兵五郎。これが如何に誉れ高いことかは現代の価値観からは想像もできないでしょう。主君と同じ名前を名乗るのはタブー中のタブーなんですね。この辺は特に儒教圏で顕著で、中国では主君どころか、親子の間でも子が親と同じ漢字を用いるのは忌避されました。日本では政宗~秀宗のように一文字を取るのが当然ですが、中国では曹操の字は孟徳であるのに対して、その子らの字には孟も徳も用いられていない(曹丕=子桓、曹植=子建)のが典型。それほどに目上の人間と同じ名前を用いるのは畏れ多いことでした。李氏朝鮮では文禄慶長の役で活躍した郭再祐が、国家試験に合格していながら、答案に宗主国の皇帝の諱を用いたという理由で落第させられています。まぁ、郭再祐は凡そ従順と呼べる人物ではなかったので、彼を嫌った試験官が落第させる口実にしたのかも知れませんが、それだけに、主君の諱を賜るというのは非常に名誉なことでした。同じことが鬼庭 ⇒ 茂庭の改名にもいえますね。今回、成実が『先祖代々の姓を改名させられるとは武門の恥辱』と述べていましたが、先週、政宗も秀吉に直訴した家臣に新しい姓を下賜しているんですよ。キラキラネームが幅を利かせている現代社会からは想像もできないほどに、当時の人々にとっての名前とは重要なものでした。まぁ、肝心の主人公が息女に五郎八とかつけているんで、この文章も些か説得力に欠けるんですけれども。
ちなみに綱元に新しい姓を賜った紙に記されていた『天』とは天下人、つまり、秀吉の署名です。秀吉は多くの手紙や文書で自らの署名代わりに『てんか』と記していますので、今回の内容もそれに倣ったものでしょう。

2.生一本

とはいえ、それもこれも、主君が尊敬できる対象であればこそ、賜る名前にも価値が生じるというもの。成実のように伊達家一筋、槍一筋で生きてきた人間にとって、太閤秀吉は成りあがりの権力亡者に過ぎない。そんな男の押しつけがましい好意で先祖代々の姓を改名した綱元も、それを容認した政宗も成実には許せない。これ、今回で秀吉が死ぬまで確認取れなかったので今まで触れませんでしたが、確か>成実は作中で一度も秀吉と対面していないんですね……多分。勝新秀吉の存在感は視聴者には充分過ぎるほどに伝わっていますけれども、実際に会ったことのない成実は、その圧倒感が判らない。秀吉と対面しても尚、このような言動を続けると痛キャラになっちゃうんですけれども、そうならないように配慮されている。細かい所までよう考えてあるよ、この作品。
成実が単なる痛キャラにならない理由がもう一つ。それは、どんなに伊達家の現状が気に食わなくても、それを誰かの所為にしないんですね。出奔に至る動機についても、

伊達成実「俺のような武骨者は御家の役にはたたん……俺は伊達家の厄介者だ! 平時にあっては無用の長物なのだ!」

と現状と己のズレのほうを理由にしている。決して『殿が悪い』とは口にしない。この潔さこそ、成実の成実たる所以でしょう。誰かに騙される度に『アイツが悪い』『コイツが悪い』という態度に終始するぼんくら軍師は、主人公のくせに成実の足元にも及ばない存在といえるでしょう。まぁ、今回の成実の言動をちょいと意地悪く推し測ってみると、

伊達成実「小十郎も綱元の太閤にヘッドハンティングされかけているのに、何で俺にはお呼びがかからんのだ!」

という嫉みもあるんじゃないかと邪推してしまいました。そうなると、

伊達政宗「心配するな、成実。俺もヘッドハンティングされていない」
伊達成実「慰めになっておらん!」
茂庭綱元「太閤の人物眼はアテにならないということさ」
片倉小十郎「いやいや、秀吉の目利きは鋭いという証左かも知れん、なぁ、梵天丸」


という『蒼天航路』的なアレを想像してしまいました。ちなみに成実の出奔は史実ですが、その動機は文禄慶長の役の論功行賞に対する不満というのが通説。そして、綱元も同時期に出奔していますが、本作では成実追跡の密命のため、表向きの暇乞いという形になっていました。うまいなー。このホントかも知れないと思えるウソこそがドラマの存在意義ですよ。

3.勝新秀吉

明の使節団と会見している秀吉がどう見ても朱元璋な件について。

スタッフも狙っているよね。完全に確信犯です。しかし、逆にいうとスタッフの端々まで、秀吉≒朱元璋というイメージが共有されている証左でしょう。確固たる価値観を全員が共有していると、物語の整合性も取りやすくなるものです。
さて、今回で退場となった勝新秀吉。圧巻でしたわ。もう、初登場から退場まで完全なる勝新劇場。臨終の場面は秀吉が息を引き取るまで全くBGMがかからないんだぜ。お拾逝去の時もそうでしたが、BGM抜きで場の雰囲気を視聴者に伝えられる俳優さんて凄いわ。現在でもいないワケじゃないと思いたいですが、俳優が頑張ろうとしても、製作者が『BGM流さないと場面の意味を理解しないだろう』という視聴者をナメ腐った姿勢で作品を作っているので、なかなかお目にかかれない。もう少し、俳優さんと視聴者を信用してくれてもいいんじゃないかと思います。
あとは先回の感想でも書いたように、演じる側のテンションが殆ど落ちていないんですね。流石に臨終の場面は弱弱しさを漂わせていましたが、そこまでは言動の是非はどうあれ、勝新オーラ満載。その分、それまでの落差で臨終の場面では駒姫の一件が忘れられないにも拘わらず、秀吉への憐憫の情が湧いてしまいました。ここを見越しての勝新のテンション維持だったんじゃないかと。尤も、テンションは維持されていても、言動のそこかしこに弱さが見え隠れしていました。上記の綱元の改名も、暴君の気まぐれという他にも単なる陪臣に恩を売らなければならないほどに秀頼の行く末を心配しているということでしょうし、茶席の場で二人きりの時に政宗の若さを羨む(でも、決して直接的な表現ではない)言葉は言わずもがな。ヘタに媚びればつけ入られる。しかし、恩を売らなければ子供が心配。このアンビヴァレンツこそが天下人の孤独でしょう。今年の秀吉のように憐れなほどに『御頼み申します』というよりも、遥かに天下人の孤独が伝わります。
臨終の場面は勝新の存在感は元より、他の面々が随所で印象に残る行動をしているんですね。まずは家康。太閤に後事を託されて泣いているんですよ。実際の家康も泣いたんじゃないかと思います。ここで泣かなかったら、評判に関わるし、三成たちに揚げ足を取られないともかぎらない。勿論、同じ時代を生きた相手への敬意もあるでしょう。秀吉が死にました ⇒ 次は家康の時代です、という結果からしか歴史を見ない人では思いつかない場面。今年なんて太閤の訃報を聞いた家康が邪鬼眼開眼するだぜ。何だよ、あの演出。
三成も実に三成というか。他の面々が挙って言葉にならない状況にも拘わらず、杓子定規な物言いで秀吉の言葉に応じていました……が、一番印象に残ったのは茶々の反応。他のメンツの時は非常に礼儀正しい、或いは距離を置いた対応をしているのですが、三成の番になると明らかに目の輝きが違うのな。のちのちの回で三成にぱい揉ませるシーンがあるので、タダならぬ関係なのは確かなんですが、でも、それを押してこないんですよ。両者が視線を交わすような画像は全くない。あくまでも主役は勝新で、茶々の変化も画面の隅でさり気なく……というか、全くメインで映す気がない。言葉は悪いですけれども添え物でしかない。これはもう、製作者の余裕ですな。格の違いとでも言いますか。

いやぁ、今回も面白かった。勝新秀吉の退場は残念ですが、物語は更なる盛りあがり、つまり、マー君の自重しない行動はこれからが本番なので、そちらを楽しみに次回を待とうと思います。

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甲斐享「ママ友も色々と大変ですね」

大変じゃないのは特命係だけですからね。

ママ友にかぎらず、人間関係とは何処にいってもついて回るものです。腹の底には含む所があっても表面上は調子をあわせたり、家族のために感情を殺したりするという、今回のママ友たちの関係性も、職場に置き換えると特殊でも何でもないですよね。相手が誰であっても我が道を征く杉下や、親子関係がどうであれ、警察庁次長の息子であるカイト君には判らないかなぁ。そもそも、ママ友という言い方がアレなだけで、これを『御近所づきあい』と考えると、大変なのは『よくあること』なんじゃないでしょうか。勿論、職場や御近所づきあいやママ友の間でのイジメや囲い込みを肯定しているワケではありません、念のため。
今回は出だしは結構興味を惹いたのですが、途中から尻すぼみ。アリバイに関しても、遠景&子供が証言にした目撃情報はアテにならないという二時間サスペンスもののレベルでした。まぁ、犯人も自ら偽装メールでトリックを施していたので、一応、恰好はつきましたけれども、見ている側は『陸君が見たのは犯人の変装』=『その時間にアリバイがある人間が犯人』というロジックでスルッと犯人が判っちゃったからなぁ。如何に作中の杉下やカイト君が知る術がないこととはいえ、見ている側としては些か興醒め。佐々木さんが生きていたから何とか変化をつけて終わらせられたとはいえ、奇を衒った感がある割にベタ過ぎるオチ。コーヒーポッド越しの課長とか、カメラのアングルでは色々と面白い技があったのに残念。今回のポイントは1つ。

1.疑心暗鬼

結局、誰も彼も勝手に相手の思惑を忖度して、勝手に委縮して、勝手に絶望して、勝手に犯行に及んでいました。人間関係ではよくある構図とはいえ、もう一言二言つけ足したり、確認をしておけば、こんな悲劇(というほどのことでもないか)に至らずにすんだ筈です。日本人の信条は察しと思いやりとはいえ、直接に言葉を交わしたほうが遥かに多くの情報を交換できるのは確か。言葉の選択は慎重を期すに越したことがありませんが、意味もなく黙り込んでいるよりも遥かに有益でしょう。それが子供のためであれば猶更です。まずは『子供のため』という杉下の総括に珍しく首肯できました。
ちなみに謎の佐々木さんを演じた三輪ひとみさんは『7人の容疑者』以来の御出演。懐かしい。佐々木さんが生きていたのはちょっと驚きでしたが、芹沢君絡みの事件も被害者(今回のは加害者でもありましたが)は生きていたからなぁ。それを思い出してしまいました。

次週は特番でお休み。何かカイト君がエラい目に遭いそうですが、カイト君のピンチに見せかけて、実は杉下がカイト君の力を欲するという構図になると嬉しいです。相棒あっての杉下であることを示せますからね。
今夜も『名探偵モンク』を見て寝ます。ゲストキャラの吹き替えが田中敦子さんなんですよね。耳福耳福。

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