~ Literacy Bar ~

ここはイマイチ社会性のない自称・のんぽりマスターの管理人が、
時事、徒然、歴史、ドラマ、アニメ、映画、小説、漫画の感想などをスナック感覚の気軽さで書き綴るブログです。
※基本、ネタバレ有となっていますので、ご注意下さい。


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好調の波に乗るチームの特徴は日替わりのMVP選手が出ることだと思います。最近でいうと某横浜の球団。今永、山口、石田、倉本、ロペス……と特定の選手に依存しない勝利が続いています。特に梶谷復帰以降はポジポジがとまらないんだ(*^◯^*)という試合の連続で、主砲225の不調も気になりません。まぁ、もうすぐ昨年の悪夢の発端となった交流戦が始まるので、遅かれ早かれ定位置から動かなくなるものと覚悟はしています……というか、ここ一ヵ月は勝率六割前後という数字を叩き出しているに、現時点でほぼ定位置というのが色々とおかしい。でも、そんなことを気にしていたら、このチームの応援なんかしていられないんだ(*^◯^*)
さて、話を戻すと『真田丸』も常にMVPが登場している作品です。それも、スズムシ、佐助、景勝、兼続、家康、刑部、治部……と毎回異なるキャラクターが物語を引っ張るというのは、上記のように作品に勢いがある証拠でしょう。意外にも主人公の信繁がMVPを獲得したことはありませんが、それは本作の構成上、已むを得ません。恐らく、信繁は最終回に最高のMVPになるように逆算して物語を進めているものと思われます……が、今回は私の中では本作初のMVP不在の内容でした。おこうさんとか治部とか寧々とか佐助とか、いい味出しているキャラクターはいたものの、物語全体のモニョッと感を覆すには至らず。早い話が負け試合。負け試合と感じた理由は後述するとして、まずは本編の感想に入りましょう。ポイントは4つ。やはり、負け試合なので少な目。


1.『里に帰るといったな? あれは嘘だ!』

真田信幸「……おい! おいおいおいおいおいおい! おまえ!」
こう「薫さまのお情けにより、こちらでご厄介になることに……」
真田信幸「無理だ! 無理だ無理だ無理だ無理だ!」
こう「若殿さま、遠慮なく、何でも御申しつけ下さいませ」
真田信幸「できるワケないだろぉ!」


お兄ちゃんの台詞を抜き書きすると紛うことなきどうでしょう劇場となった今回の上田パート。大泉さんの口から出る『無理だ』とか『できるワケない』とかいう台詞のリアリティが半端ない。実際、昨日までの嫁が侍女として仕える屋敷での生活とか、ブンブンブラウで夜明かしするよりもキツいと思います。しかも、それが毎晩続く。うん、地獄。一種のハーレムエンドと思えなくもありませんが、肝心のヒロインがおこうさんと小松殿という、地味子と桐乃レベルの相性の悪さを考えると、気苦労のほうが遥かに勝るシチュエーション。お兄ちゃんの寿命を家族総出で全方位から削り取っていくスタイル、ほんとすこ。
さて、おこうさんと共にお兄ちゃんを巡るダブルヒロインの稲姫。輿から出てきた時点で花婿の二~三十人は血祭りにあげているようにしか見えない迫力がありましたが、実際は単純に緊張と寒さで強張っていた模様。上田の冬は底冷えするからね、仕方ないね(体験者は語る)。尤も、このシーンは稲姫の可愛気を表すものかも知れません。世に鬼嫁と名高き稲姫ですが、嫁ぎ先とはいえ、よくいっても仮想敵国に等しい真田の中では随分と心細く、はじめのうちは何かを求めるのさえもオドオドビクビクしていたというのはリアリティあります。お兄ちゃんも床入りした花嫁が寒がっているのに羽織を持ってこさせるとか……本当に無粋な男だよな。
そんな稲姫を誰よりも心配しているのが、

本多忠勝「…………………(号泣
「新しい嫁は随分と家来衆に慕われているのですねぇ」
真田昌幸「あれは父親じゃ」
「え? お呼びしなくてよろしいんですか?」
真田昌幸「折角、化けているのじゃ。そっとしておこう」



四男

お前のような従者がいるか。

家康の手下だな。化けるんなら仮面ライダーにでも化けるんだな。しかし、娘を持つ父親同士の情けでしょうか、スズムシは関知せず。なかなかに粋な計らいです。尤も、前後の場面で、稲姫の輿入れを『わしは反対したが、源三郎がどうしてもというから』とか、おこうさんが侍女になることを『初耳だ。おこうの件はわしも心を痛めていた』とか、どう考えても嘘の発言を連発していたので、差し引きゼロ。ありゃあ、佐助でなくてもサボタージュしたくなるよ。


2.『ペロッ! これは消し炭!』


真田信繁「今夜は曇り空で月は出ていません。梯子に登って、一人で松明を持ちながら落書きするのは、まず無理です」
平野長泰「何だか……おまえ、凄いな」


『CV:高山みなみ』といわれても違和感ない信繁の名推理。チョコチョコと合いの手を入れる長泰とのコンビはコナンとおっちゃん(覚醒前)のやりとりを見ているようで、妙なデジャヴを覚えてしまいます。尤も、作中では真相は闇の中。二時間サスペンスではないのですから、真相解明に拘られても困るのですが、それでも、犯人には辿り着くんじゃないかと思っていたので些か肩透かし。史実通りに尾藤道休という男が捜査線上に浮かんだとはいえ、本人は犯行を否認したうえ、複数犯という信繁の推理が正しいとしたら、共犯がいるとは思えないキャラクターでしたからねぇ。一応、犯人像をまとめてみると、

・犯行の状況から見て複数犯
・落首の内容を鑑みるに相応の教養の持ち主
・警備体制の穴を知っている内部事情に詳しい人物


ですが、作中で描かれた中に合致する人物は……あれ、治部と刑部がピッタリ? 何だ、これは……たまげたなぁ。ラストで語っていた民の仕業という三成の発言は捜査の攪乱を狙っていたのでしょうか。でも、三成には手段はあっても動機がないので、犯人ではあり得ませんね。それこそ、犯罪捜査の最大の鉄則である事件で誰が一番得をしたかを考えると、作中で秀吉の後継者問題を指摘していた家康か? 或いはもっと捻って考えると秀吉の自作自演という可能性も。秀吉自身、茶々の子が自分の胤か疑っていたワケですから、今回の事件を仕組んで、茶々の口から真実を聞き出そうとした可能性も微レ存。『エヴァ』でゲンドウがユイを甦らせようとする動機と同じですね。


3.今週の三賞

負け試合ゆえにMVPは不在でしたが、その代わりに三賞に値するキャラクターを挙げていきましょう。
まずは石田三成。常識人の割に意外と空気が読めない刑部が秀吉への直言を辞さない構えを見せると、それを全力で阻止。同様のシチュエーションで信繁が秀吉の勘気に触れそうになると『差出口を叩くな!』という叱責を装って、これを救助。そして、己は秀吉に切腹を申しつけられるほどの諫言を堂々と展開。やだ……カッコイイ。ここ数年の大河ドラマで一番男らしい治部でした。
三成と同じくらいの見せ場があったのが寧々。秀吉は本来、信長よりも怖い男という意外にして、実は適切な人物評をキチンと語ってくれたのはありがたいかぎり……というか、信長が性格面で過大評価され過ぎなんだよなぁ。信長は親族や家臣のダダ甘だぞ。そして、そんな秀吉の暴走を諫めることができるのも彼女一人という終盤のシーンもよかった。何気に三成とも仲良さそうですし、この辺、尾張派と近江派という従来の括りから脱却しようという本作の姿勢が窺えます。
もう一人は我らがきりちゃん。いや、今回は特に手柄をあげたワケではありませんが、使い方がうまかったといいますか。門番が連帯責任で処刑されようとするのを秀次に取り成して貰う場面。どうやって説得したらいいか尋ねられた時の、

きり「『バカなことはやめろ!』でよろしいのでは?」

の台詞ですね。如何にもきりちゃんらしい、スカッとする物言いですが、勿論、そんな言葉で秀吉が意思を覆す筈がない。しかし、残念なことにここ数年の大河ドラマの主人公は概ねきりちゃんと同レベルの頭脳の持ち主であったのは否めません。この場面できりちゃんに上記の台詞をいわせたのは『こういうのは主人公が口にする台詞じゃありませんよ』という、GOや官兵衛に対する強烈な反論の意図ではないかと思います。


4.敗因

さて、以降は今週の不満点。うーん、何でしょうね、このモニョッと感の正体。一つには落首に対する秀吉の対応がベタ過ぎたといいますか。三谷さんらしい捻りがない。勿論、落首の内容に私人としての秀吉が激怒するのは当然ですが、それと同じくらいに公人としての秀吉の立場でも見逃せない動機があったと思うのですよ。
作中で家康が指摘した通り、秀吉政権の弱点は後継者難ですから、鶴松の存在は貴重極まりない。しかし、その鶴松が秀吉の胤でないとしたら、彼が豊臣家を継いでも諸大名がついてこない可能性があります。そんな危険な噂は政権を維持する側は絶対に放置できない。この落首の危険性は、血統が社会秩序を維持する政権を古代の遺物と見なす現代の感覚で考えては理解できないでしょう。門番の大量処刑も酷な処断ではありますが、門番は戦時では哨戒兵も同然なワケで、敵兵が自軍の陣地に何か細工するのを見逃していたら、ガチで首級が飛びます。『へうげもの』の寧々が語ったように『それで落ちた城は幾らでもある』ワケで、厳罰処置&連帯責任は決して珍しくない。この辺の事情は治部辺りに語らせて欲しかったかなぁ。じゃあ、秀吉の何がいけなかったかというと、犯人や警備責任者のみならず、その御近所さんや落首を見たに過ぎない人たちまでをも処罰の対象にしたことです。

俺の可愛い子供がバカにされた! ←判る
こんな落首を放置していたら、政権の威信が失われて世が乱れる! ←判る
こんなものをおめおめと書かれた門番も犯人同様に罪がある! ←まぁ判る
犯人を匿った本願寺も同罪だ! 治外法権を認めてはいけない! ←判らんでもない
犯人の隣近所に住んでいた奴も、落首を見た奴も生かしちゃおけねぇ! ←……えぇ(ドンびき


これが今回の事件の概要ですが、乱世に幕を下ろすための恐怖政治が己の政権の致命傷になったのが秀吉の悲哀といいますか、この辺の事情をやってくれないと秀吉の大きさと恐ろしさが伝わらないと思うのですよね。
もう一つの不満は死せる尾藤道休に濡れ衣を着せた主人公に報いがなかったことでしょうか。作中では秀吉は思いとどまったことになっていましたが、史実で道休の妻子は刑殺されているので、作中の信繁の責任は重い。更にいうと、それで信繁が懊悩するオチであれば、何とか許容できたのですが、作中では道休の妻子の刑殺は【なかったこと】にされているのですよ。それでしたら、最初から信繁と道休を絡ませなきゃいいじゃないかと思ってしまいます。まぁ、そんなことをいっていると『実は道休の妻子は殺されていなかった』とかいう新史料が出てきそうなのが『真田丸』の恐ろしさではあるのですが。もしも、そういう解釈に基いている作劇でしたら、事前に謝っておきます、ごめんなさい。


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久しぶりに全く意味も意図もないことを描き綴ろうと思う。
過日、いきつけの店で客と店員のトラブルに遭遇した。下世話な野次馬根性で耳を欹てて様子を窺ってみる。どうやら、会計の際に提示されたクレジットカードにサインが書かれていなかったのが発端らしい。店員曰く、

「サインのないカードは御利用頂けないのですよ」

正論である。本人のサインがないカードは第三者による不正利用の可能性がある以上、店舗には取引を拒む義務と権利がある。本人確認が取れないクレジットカードは何処の国が発行したかも判らない紙幣も同然で、その価値はジンバブエドルの足元にも及ばない。私が若い頃に勤めていた書店でも『サインのないクレジットカードの決済はお断りするように』と指導された覚えがある。しかし、客のほうは余程の論理的飛躍と不屈の精神に富んだ為人であったようで、

「ここにサインがあったとして、それが本人のものか、無記名のカードを拾った人間が書いたものか、その区別が君にはつくのか?」

と切り返していた。成程、これも正論である。確かにカードには押し並べて所有者の名前がローマ字で刻印されており、無記名のカードを拾った人間が本人に成りすますのは赤子の関節を極めるほどに造作もない。記名のあるカードでも、筆跡を模倣するのは必ずしも不可能ではない。カードのサインの信憑性はその程度の薄っぺらい存在であり、そんなものの有無で決済を拒むのはナンセンスだ、サインなどはあろうとなかろうと無意味ではないか、というのが客の論旨である。しかし、人間社会とは概ね薄っぺらい信頼を幾万、幾億と積み重ねた果てに成立する分厚い堆積層のようなものであり、大して意味があるとは思えないことに基準点を置くことで世の中がコンパスのように滑らかな円を描いている事例は、一定の年齢を越えた人間であれば、一度は経験していることであろう。
結局、客はレジのボールペンでカードにサインをすると、そのカードで清算を済ませた。勝負は勝っていたのに試合に負けたと言いたげな表情が印象的であった。一方の店員は人好きのする笑みを絶やさなかった。これがプロというものかと感心したが、或いはもっと深い笑みであったかも知れない。童話に登場する狐の母子でさえ、手袋を購う時には真物の銀貨を用意するのに、条件を満たさない抵当で金品を得ようとする人間の姿は万物の霊長とは何かと問い掛ける寓話のようであり、それを絵本の中ではなく、現実社会で体験した店員が世間の面白さに満悦していた可能性もなくはない。


サインは日本では花押(かおう)とも呼ばれている。日本では平安貴族の頃に始まる風習であるが、好んで用いたのは武士のほうであった。自然、武士の黄金期ともいうべき戦国時代には花押に纏わる逸話が多い。
豊臣秀吉の朝鮮出兵の頃の話である。在韓諸将が本国にいる秀吉に宛てた連盟の報告書を送ることになった。居並ぶ諸将がサラサラと花押を記す中、加藤清正一人が念入りに時間をかけて、自らの花押をしたためた。それをからかったのが同じ秀吉子飼いの市松である。

福島正則「花押如きにテレテレと時間を掛けるなよ。それじゃあ、遺言書を書く時に花押を書ききらないうちに死んでしまうぜ(藁

戦国SLGでは押し並べて知力が低目に設定されている市松に馬鹿にされるという、なかなかの恥辱を蒙った清正は、しかし、落ち着き払って返答した。

加藤清正「え? 市松さんは武士のくせに畳の上で死ぬつもりなの? 俺は戦場に斃れる覚悟で生きているから、そんな心配したことなかったよ? いやぁ、市松さんは実に太平楽な御仁ですなぁ(藁

この意識高い系の返答に正則は一言もなかったという。尤も、正則のみならず、清正本人も(暗殺説が囁かれているとはいえ)畳の上で亡くなったばかりか、彼の孫が余興で諸大名の花押を偽造した謀叛の連判状を作成するというホームラン級の馬鹿か、或いは幕府によるミエミエのデッチあげか、何れにせよ、実にしまらない理由で加藤家は改易されてしまった。あの世で市松と再会した清正は一言もなかったであろう。

花押と遺言状という点では加賀の前田利家の逸話も秀逸である。
秀吉から豊家の将来を託された又左も病魔には勝てず、余命幾許もない状況にあった。そんな最中、利家が己の寿命を削るように取り組んだのが、松を巡る前田慶次とのボコボコの殴りあい……ではなく、何と未決済書類の整理であった。

前田利家「何時の時代も御家騒動は先代の不始末が原因になる。わしの死後、息子や役人があらぬ嫌疑をかけられては、御家の存続は危うい」

そう宣言した利家は、遺産の分配や遺品の管理といった無数の書類の山を相手に人生最期のガチバトルを展開した。病魔に冒されながらも、利家の経理判断は些かも曇ることなく、全ての書類にチェックの証となる花押をしたため終えると、慶長四年閏三月三日に世を去った。関ケ原の戦いの一年半前である。彼が長命していたら、豊臣政権の分裂が防げたか否かについては歴史家の意見が分かれるところであるが、利家の息女・豪が嫁した宇喜多秀家のように秀吉没後の御家騒動が滅亡の遠因となった実例を慮ると、加賀前田家が維新まで存続し得たのは利家の遺産整理が奏功したといえるかも知れない。花押で滅んだ加藤家と花押で家を守った前田家の対比として、実に興味深いエピソードである。

しかし、戦国武将と花押の逸話といえば、何といっても伊達政宗の鶺鴒の花押であろう。詳細は大河ドラマ『独眼竜政宗』でも描かれていたが、政宗は鶺鴒の花押に針の穴を開けたものと、そうでないものを使い分けることで秀吉の追及を逃れたという有名な逸話である。尤も、政宗も大崎・葛西一揆の扇動のみを目的に、斯くも煩雑な『保険』を掛けるほどに暇ではあるまい。第一、これが事実としたら、政宗の書状の花押には全て鶺鴒の目が開いていなければならない。これに矛盾を感じたのか、本作で豊臣秀吉を演じた勝新太郎氏は、

『本当に鶺鴒の目が開いているか否かは、秀吉と政宗しか知らない秘密にしよう』

という解釈で撮影を推し進めたという。もしかすると当時は『政宗の花押は信用できない』という共通認識があったのかも知れない。そうでなければ、このような創作じみた逸話が残る筈もなく、事実、政宗は生涯で二十種類もの花押を使い分けており、

伊達政宗「この手紙、ちょっと花押の書き方をしくじっちゃったけれども、間違いなく俺が書いたものだから(テヘペロ

という本末転倒も甚だしい手紙さえ残されている。花押を記した書状が信用されないから新しいデザインにする~相変わらずのロクでもない謀略を巡らす~現在の花押の信頼度が落ちる~仕方ないので新しいデザインを考案するという無限ループはインフレ国家が新規紙幣を大量に乱発する構図と何ら変わらない。政宗は軍事や行政、外交といった使途に応じて、異なる花押の使い分けていたともいわれるが、本質的に謀の多い為人であったのであろう。花押が江戸期に差し掛かると、主に庶民階級で印鑑に取って代わられることになったのも、戦国期に多くの偽の花押が用いられたためともいわれている。


尤も、現在でも花押が信を得ている世界がある。政権の中枢たる閣議である。内閣の意思決定を取り決める閣議は、閣僚の署名を集めるという形式で行われるが、その際に記される署名は花押を用いるのが慣習である。歴代内閣総理大臣の花押は首相官邸のHPで自由に閲覧可能で、圧倒されるほどの見事な筆跡(て)に『政治家よりも書家を志したほうがよかったのではないか』と思える方も幾人か存在するが、それは兎も角、如何に筆跡鑑定の技術が発展した現代とはいえ、印鑑のような物的存在と異なる花押が、内閣の意思決定の保証になるというのは実に頼もしい話である。厳密には同じ筆跡が存在し得ない花押に国政レベルの判断が託されているのは、政治機構が証拠に依存せずともいいほどの高い信頼に裏打ちされている証明といえる。皮肉や御世辞抜きで誠にありがたい話である。

冒頭で触れた騒動を目撃したあと、店を出た私は以上のようなことを考えながら帰宅の途に着いた。そして、自室に戻ると更新以来、無記名のままになっていたクレジットカードを取り出して、自分の名前を書いた。相変わらずの悪筆であった。


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「松本幸四郎『真田丸』で再び呂宋助左衛門に!38年ぶり異例の同じ役」

『黄金の日日』世代には堪らないゲストキャラクター投入が決まった『真田丸』。私は直撃世代ではありませんが、この作品は『太平記』『独眼竜政宗』に次ぐ私的大河ドラマベスト3にノミネートされているので、喜ばしいかぎり。そういえば、三谷さんも『黄金の日日』大好きでしたね。『黄金の日日』は細かい史実よりも壮大なデッチあげが物語を面白くしている作品の典型で、三谷さんが好きというのも納得。助左の登場が今から楽しみです。
尤も、これも以前から述べているように、キャスティングよりもストーリー重視で作品を鑑賞したいという思いは変わりません。もっと極端な物言いをすると俳優が作品の外で何を仕出かそうが知ったこっちゃない。古くは『独眼竜政宗』の豊臣秀吉、直近では『武田信玄』の武田晴信(若)&武田勝頼の中の人が色々とやらかしちゃいましたけれども、それと作品は別に評価するべきでしょう。こんなことをいうのも、再放送中の『武田信玄』で四郎勝頼の場面に、妙な規制とかモザイクとか編集とか入ったりしないかという不安があるからです。もしかすると、平岳大さんによる勝頼の新規撮り下ろしシーンが挿入されるかも……いや、それはそれで見たい。
さて、今回の『真田丸』は恋愛パートが多めなので、実の両親から『おまえは人の心が判らない人間だ』といわれた私に男女の機微が判るワケがないから、自然と感想は短くなる……と思いきや、意外と恋愛シーンは少なかった。軽いサブタイ詐欺(いい意味で)。ポイントは5つ。


1.『蔵』

茶々「『その蔵には決して入ってはならぬ』と殿下にいわれておるのです。でも、そんなことをいわれたら、余計に覗いてみたくなるでしょ?」

おまえは江頭2:50か。

恐らく、大坂落城の際に茶々が最期を迎える場所と思われる蔵。先回、秀吉に対する執り成しへの見返りとして、信繁は茶々の蔵探索に同道させられます。徳川の寄騎に組み入れられた結果を考えると、茶々に執り成しを頼んだことがマイナスに働いたワケですから、律儀に契約を履行せずともいいように思えますが、信繁はキチンと約束を守ります。尤も、約束を反故にしたら、茶々が『源二郎がねー、殿下のいない時に私に会いにきたのー』と無邪気な笑みを浮かべながら、秀吉の耳に蜜の如き毒を垂らし込む危険があるので、ここは素直にいうことを聞くのがベターかも知れません。
前半パートは茶々の独壇場。正味5分に満たないシーンにも拘わらず、本作における茶々の為人が伝わってきた『蔵の中』でした。大坂パートの登場人物らしく、茶々もいい塩梅にブッ壊れていますが、完全にイッちゃっているワケでもなさそう。ブッ壊れた人間を演じることで辛うじて精神の均衡を保っている感じですね。何れにせよ、それに巻き込まれる人間はいい迷惑です。権佐とか。
殆ど『生き地獄ツアー』ともいうべき蔵探索から解放された信繁の前に現れたのがきりちゃん。最近のきりちゃんは信繁が茶々にヒドイ目に遭わされた直後に登場するパターンが多いです。危機が去り、ホッとした瞬間に現れるきりちゃんに覚える安堵感。それが恋愛感情に発展するという逆吊り橋効果が両名を結びつける可能性アリ。


2.奥様は市

豊臣秀吉「茶々に惚れてしもうた……」
寧々「……誰の膝の上か、判っていますか?」
豊臣秀吉「あれの母親にも惚れていた……母子二代じゃ」


茶々の口説き方を寧々に訊く秀吉。本作の寧々の前世は茶々の母親なので、呆れてモノもいえません、二重の意味で。一応、旦那には『真正面からぶつかるしかない』といいますが、要するに玉砕してしまえという意図でしょう。
一方、大坂城に信繁と茶々の『不適切な関係』の噂が広まります。それを聞きつけたラスボスに『茶々を蔵に連れ込んだのか?』と問われますが、蔵に連れ込んだのは茶々のほうなので、信繁は根も葉もない噂とシラをきります。嘘はつかないけれども、本当のことはいわない辺り、流石はスズムシの息子です。この場面、且元側の証人として、妬心に駆られたきりちゃんが出てきそうな予感がしましたが、流石に信繁に『見なかったことにしてくれ』と頼まれたことをピーチクパーチクと囀る真似はしませんでした。それどころか、秀次に執り成しを頼んでくれるという有能ぶり。きりちゃん、ぐう聖女。そして、実際には役には立たなかったけれども、最終的に解決してくれた治部に渡りをつけた秀次は今週も技能賞確定。これで三週連続の技能賞。尤も、治部に恋愛絡みの問題の解決を依頼したのは、結果オーライというだけで相当ピント外れの判断だと思う。


3.今週の徳川パート

真田信尹「徳川の下につくのは、真田にとって決して悪いことではない」

越後の方角から『そうだそうだ』という兼続の合いの手が聞こえてきそうな信尹叔父さんの台詞。次の場面ではスズムシと共に駿府城の攻略法を練っていましたが、蒼々と月代を剃った風貌から察するに、徳川に潜り込んだ真田のスパイというよりも、真田と徳川双方のパイプ役として己を規定するようになったと思われます。尤も、家康は信尹には信用が措けないのか、平八郎の娘の稲姫をお兄ちゃんの嫁にすることに。あまりに唐突な話に、

真田昌幸「でも、陪臣の娘でしょう?」

とか空気を読まないことを言い出しそうでしたが、徳川から人質が取れるとか、稲姫を通じて徳川に逆情報を流せるとか、相変わらずのロクでもないことを考えたスズムシは『使えるな!』と大喜び。

真田昌幸「源三郎、おこうは里に返そう。ここは泣いてくれ」
真田信幸「冗談じゃないよ! ぼかぁねぇ、今回にかぎらず、毎度毎度アンタに泣かされているんだよ! そんなに徳川の人質が欲しかったら、アンタが貰いなさいよ! 母上を京に追い返して、アンタが嫁を貰いなさいよ! 馬鹿馬鹿しい、全く!」


といいたいに違いないお兄ちゃんですが、ヘタをするとスズムシは『それもいいな!』とか考えかねないので、迂闊なことは口にできません。
それにしても、政略結婚という悲劇の象徴として描かれるシチュエーションがコメディになるとは……迎える側もですが、送り出す側も悲しいのに笑える場面の連続です。特に平八郎。泣くほど嫌か。厠のシーンでも殺気が漏れ過ぎて、お兄ちゃんの用足しが途中で止まっちゃったじゃないですか。まぁ、現実でもトイレで藤岡さんに並ばれたら、止まるか、余計にチビるかのどちらかだと思います。ついでに平八郎に『好きな殿御でもおるのか?』と問われた稲姫のリアクションが意味深でタイムリー。羨まけしからん。


4.ファム・ファタール

茶々「蔵ですって! また一緒に見に行きましょう!」
真田信繁「」

豊臣秀吉「」
石田三成「」
大蔵卿局「」


遂に露見した信繁と茶々の密会(冤罪)。恐らく、信繁は女を本気で殴りたいと思ったのは生まれて初めてだとか考えていたでしょう。『とばっちりは御免』とばかりに真っ先に退場する治部。先の場面では『殿下の周辺で不可解な死が連続するのは好ましくない(`・ω・´)』とか宣っていましたが、自分が巻き込まれかねないシチュエーションは例外のようです。治部も人の子だからね、仕方ないね。他人の色恋の巻き添えになって死ぬなんて、この世で二番目に嫌な死に方だからね。勿論、同じ価値観の持ち主である信繁も人払いを命じられた大蔵卿局と共にドサマギで退出しようとしますが、

豊臣秀吉「何でおまえも行こうとしているんだ?」

そらそうよ。当事者が出ていってどうする。この辺の件は信繁が死なないと判りきっているのに異様な緊迫感がありました。第一次上田合戦よりもハラハラドキドキした。それはそれで大河ドラマとして如何なのかという疑問もありますが、そのくせ、呼びとめたにも拘わらず、秀吉は信繁の存在をガン無視しての茶々口説き開始。この場面、ヘタにいい言葉や終盤の伏線になりそうな台詞のオンパレードな分、立ち合いを強要させられた信繁の存在が可笑しかった。社長と愛人の特殊なプレイを見せつけられた社員の心境とでもいいますか。笑いたいのに絶対に笑ってはいけないシチュエーション。『何で俺は此処にいるんだろう?』という感情を、笑顔がディフォの堺さんには珍しい真顔の演技が物語っていました。
斯くして秀吉の側室になると決めた茶々ですが、それでも、気になった男に粉をかけておくことは忘れない模様。『私と貴方は同じ日に死ぬ予感がする』と思わせぶりな言葉を口にします。これ、大坂の陣の伏線のようです(実際にそうなるでしょう)が、本作の茶々の為人を考えると出会った男には全員に同じことをいっていると思います。権佐は勿論のこと、信繁と茶々の『関係』に憤る様子からすると且元や清正も同様でしょう。男を破滅させる女、ファム・ファタールの呪縛。そして、トドメの呪いのアイテムとばかりに山吹の押し花を渡します。これで殆どの男はイチコロです。実際、信繁もほぼイキかけていました。
そんな主人公を救ったのは我らがきりちゃんですよ。

きり「」ムシャムシャゴックン
真田信繁「出せ! 出せぇー!」

まさかのコマンド『食べる』。

全く、これ以上の呪いの解除方法はありません。棄てれば必死に探される。燃やせば灰を大事にされる。思い出の品の処分は意外とハードルが高いのです。しかし、食って排出してしまえば話は別。これによって、信繁は茶々の呪縛から解放されたのです。主人公に対する貢献度でいえば、今回のMVPはきりちゃんの他にはあり得ません!


5.今週のMVP 大蔵卿局

尚、実際の受賞者はきりちゃんではない模様。いや、凄く悩んだよ。上記のように主人公への貢献度ではきりちゃんがナンバーワンでした……が、ここは敢えて茶々の元を去る信繁に頭を下げた大蔵卿局を推したい。きりちゃんの場面には信繁を茶々の呪縛から解き放つという大きな意味があった。今回、なくてはならないシーンでした。逆に大蔵卿局が信繁に頭を下げるシーンは必ずしも必要ではない。茶々のことしか考えられない、高慢で視野の狭い乳母という通俗的なキャラクターとして大蔵卿局を描くのであれば、全く用のないシーンです。実際、そう描いたところで然したる文句も出ないでしょう。しかし、本作ではそうではなかった。年齢や身分や立場に拘わらず、迷惑をかけた相手には主君のメンツを潰さない範囲で頭を下げる大蔵卿局にキャラクターへの愛情、そして、

人間としての美しさ

を感じました。本作のキャラクター描写に関しては賛否両論ありますけれども、こうした美しい人物像が描けないワケではないのだと思います。序盤の武田勝頼や滝川一益や春日信達のように、視聴者に美を感じさせるキャラクターは何人もいました。それこそ、春日信達の最期はガッツ星人に磔にされたウルトラセブンに通ずるエロスすら漂わせる美しさがあった。そのうえで本作は主人公周辺の人物は敢えて美しく描かないという選択をしているのでしょう。何故ならば、これも拙ブログで何度も述べているように美しいとは悲しいことであるから。そして、戦国の世の生き残りを描こうとする本作には滅びの美学は似合わないから、判りやすい形での美は描かれない。でも、それらは随所に仕込まれている。

描けないんじゃない。敢えて描かないんだ。

そういう製作者サイドのメッセージを感じさせた大蔵卿局が今回のMVP。
こうして、先回同様に今回もMVPを逃したきりちゃん。いや、ワザと避けているワケじゃあないよ? 別にアンチきりちゃんじゃあないし。きりちゃんにはアンチも含めた万人が認めざるを得ないMVP回が用意されていると思うのですよ。それを信じて、この先の視聴を楽しみましょう。


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