~ Literacy Bar ~

ここはイマイチ社会性のない自称・のんぽりマスターの管理人が、
時事、徒然、歴史、ドラマ、アニメ、映画、小説、漫画の感想などをスナック感覚の気軽さで書き綴るブログです。
※基本、ネタバレ有となっていますので、ご注意下さい。


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一月の半ば過ぎから、気になっていたDVDが連続リリースされています。来週には『ドラえもん ~STAND BY ME~』もレンタル開始とのこと。『永遠の0』のスタッフが製作を手掛けていたということで、万一のセルフバオテを起こさないように劇場には足を運びませんでしたが、自宅で見る分には内々に始末できるので問題ないでしょう。でも、どんなに頑張っても、今夜地上波初放送になる劇場版ルパンVSコナンには及ばない予感がします。あれはファンサービスという点では傑出した内容でしたからね。
そんな流れで今回は今年に入って観賞した諸作品の簡易感想をUP。以下で紹介する以外では『神撃のバハムート』が予想外に面白かった。ヒロインの声、何処かで聴いた覚えがあったと思ったら、GOTのデナーリス・ターガリエンの人なのね。ダークファンタジーの世界が似あう人なのかも。

1.『楽園追放-Expelled from Paradise-』簡易感想(ネタバレ有)

ディンゴ「人間の定義なんて、結構曖昧なものだろうよ」

諸事情で昨年のベスト10の選考に入れることができなかった『楽園追放』。早くもレンタル解禁ということで早速、観賞しました。うん、普通に面白い。選考対象になっていたら、ランキングはどうなっていたかなぁ。或いは『パトレイバー』の代わりに第10位に収まったかも。ズ抜けたサプライズはないものの、綿密かつ遊び心満載で造り込まれた、実に佳作と呼ぶに相応しい作品でした。取り敢えず、現時点では劇場版『PSYCHO-PASS』を抜いての暫定1位確定。
新人類と旧人類の存在、自我を有したAI、外宇宙への進出という夢、現地諜報員との衝突と交流で祖国の体制に疑問を抱くエージェントとか、古今のSFやらサイバーパンクの定番ネタをこれでもかと、それでいて、矛盾なく埋め込んでくる辺りは虚渕さんの手堅さだよなぁ。作品の雰囲気は私らの年代には『ビバップだよね』の一言で本作の半分くらいは認識を共有しあえるんじゃないかと思います。半分くらいといいましたが、残りの半分を言語化するとビバップはこんなに親切じゃなかったんですね。あんなにいい加減で御都合主義で投げっ放しの作品ではない。ディンゴがディーヴァの嘘(存在ではない)を批判する場面のように、一つ一つの設定や疑問にキチンと作中で答えを出してくれているので、作品を見終わると、

「成程! 全て判った!」

とスッキリした気分で次に切り替えることができる。クセとかアンバランスさとかがない。この辺、ビバップでは製作者側は全ての設定を決めてあるのに、そういうのを敢えて描かないというスタイルを貫いていたので、妙に尾を引いたんですよ。若い頃はビバップのほうにソソラレタでしょうが、ワケの判らん設定に右往左往する喜びを味わうには私は年齢を取り過ぎたので、本作くらいで丁度よかったりします。
ズ抜けたサプライズはないと書きましたが、それはシナリオのほうであって、映像に関してはフルCGでここまでやれるのかという驚きはありましたよ。現在の日本のアニメの最先端の表現技法を際だたせる題材として、ストーリーはSFのスタンダードを選んだのかも知れません。技法の凄さを伝えるには素材はポピュラーなもののほうが適していますからね。勿論、CGの技術におんぶにだっこではなく、これまでに蓄積していたアニメの表現技術もふんだんに盛り込んでくる。序盤は抑え目のアンジェラの表情がラストバトルでは崩れる崩れる&釘宮理恵さんの声がくぎゅうになるなる。完全な萌えアニメになっていました。だが、それがいい。繰り返すようにSFのスタンダードとアニメの最先端の表現技法の融合、それが『楽園追放』という作品なのだと思います。逆にいうと、それらを見慣れている人にはイマイチ物足りなさがあるかも。この作品はSFにもアニメにも興味のない、小学校高学年~中学生くらいにオススメしたい。ストーリーは勿論、適度のエロスとアクションの塩梅の点でも、一般人の世界=理想郷ディーヴァからの追放or脱出を経て、波乱多きオタクの獣道に足を踏み入れる契機にはもってこいの作品でしょう。
不満点はディンゴのキャラクター。本作はスケールの広さの割に登場人物が少なく、殆ど三人芝居と評してもよいので、キャラクターがハッキリしているに越したことはないのですが、幾ら何でも有能過ぎ&カッコよ過ぎ。せめて、拳銃は実用性を重視したオートにして欲しかった。リボルバーは狙い過ぎだろ。

2.『アンダー・ザ・ドーム』簡易感想(ネタバレ有)

手を出しちゃった……。
続編を待っている海外ドラマが両手の指では足りないのに手を出しちゃった……。


でも、しょうがねーじゃん。こういう閉ざされた空間の中で右往左往する群像劇って大好きなんだもの。しかも、本作では物理的に閉じ込められているというのがソソリましたよ。しかし、失策が一つ。

全六巻で完結じゃないの?

パッケージに1stseasonとか書いていないから、てっきり『テラノバ』のように何とかオチをつけているものと思っていました。いや、百歩譲って続くとしても、

あの場面で続くんかい!

今更ですが、海外ドラマのシーズン区切りの収まりの悪さは異常。勿論、次のシリーズのスポンサーを獲得するために必要なことではあるんですが、あまりにもアカラサマな真似をされると見ているほうも興醒め。まぁ、本作はキチンと原作があるので、ちゃんとした結末があると信じたいです。『BONES』とか、完全に終わらせる契機を見失っているからなぁ。
さて、肝心の内容ですが、上記のように原作つきということもあってか、手堅くまとめてきました……結末以外はな。『本作の主題の一つにフシズムがある』と製作スタッフが述べていましたが、この辺の描写も丁寧。ビック・ジムを見ていると『フシストは常に民衆に望まれて登場する』という、ヤン・ウェンリー語録の正しさを再認識できました。まぁ、そりゃあそうです。詐欺師が詐欺師でございという顔で現れても、誰も騙されはしませんからね。もう一つ、つけ加えるとフシストも好き好んでやっているワケじゃない。皆のため、組織のため、共同体のためという責任感が指導者をフシストにする。これもヤン・ウェンリー語録にあった通りですな。ちなみにお気に入りのキャラはジュニア。日本でリメイクするとしたら、キャスティングは城田優さんでお願いします。凄ぇ似あうと思う。

3.『劇場版るろうに剣心~伝説の最期編~』簡易感想(ネタバレ有)

まぁ、ストーリーはいい。出来栄えは如何あれ、京都編を二時間×二本にまとめたことは賞賛に値するでしょう。特にラストバトルの舞台に『煉獄』を選んだのはうまいと思いました。あの尺で地下アジトに乗り込んでいたら、二進も三進もいかんすね。アクションシーンについては、先回の感想記事で述べたので触れません。ラストシーンも結構好きで、

「これ、ひょっとすると『人誅編』あるんじゃね?」

と思わせる絶妙なフリになっていました。宇水が一撃で倒されたのも、安慈が急所攻撃が起点の反撃で敗れたのも、まぁ、よいとしよう。蒼紫が奥義ではなく、剣心の普通の攻撃でボコボコにされたのも、見逃せなくもない。小さい苦情は江口さんは着流しも絶望的に似あわなかったくらいか。途中で警官の制服に着替えてくれてよかったよ。あの恰好のままで牙突をされたら、冗談抜きで笑いのネタになっていたでしょう。

ただし、CCO。
テメーはダメだ。


いや、中の人は頑張っていましたよ。何かと濁点台詞でネタにされる方ですが、今回は素顔は殆ど隠れていたので、そういう印象なかったしさ。でもさ、その行動原理が全然CCO様らしくなかったというか。明治政府に剣心を民衆の前で斬首にしろと要求するとか、そういうことをやるキャラじゃねーだろ。アイツの行動原理はシンプルな弱肉強食だよ。基本、武力による国家転覆だよ。自分が始末されそうになった怨み辛みで動く&民衆をダシにした政治的駆け引きとか弄するキャラクターじゃねーよ。
私は斎藤の次にCCO様が好きですけれども、彼では明治政府を転覆させることはできなかったと思うし、縦しんば、天下を強奪できたとしても、西欧列強に介入されて滅亡したと思っています。だって、CCO様のような単純な弱肉強食理論で当時の世界情勢は動いていないですからね。気に入らない相手をいちいちボコッていたら、幾ら戦力があっても足りません。その辺を補うのが参謀の役割なんですが、覚悟と顔芸は一流でも、肝心の智謀が残念な方治ではなぁ。私の中ではCCO様とラオウはやるべきことをやらないやりたいことしかやらない覇者。ラオウさんは、

「我が生涯に一片の悔いなし!」

とかいって天に還りましたが、そりゃあ、あんだけやりたい放題した人間に悔いを残されたら、こっちの立つ瀬がないというものです。アカラサマに指導者失格。でも、そこが馬鹿な男としては憧憬の対象に為り得るんですよ。それと同じように、剣心の生命をテコに民衆の反感を煽るなどというセセコマシイやり方は、断じてCCO様のポリシーではないと思います。尺の都合とはいえ、もう少し何とかならなかったのか……あ、それと地味に翁を殺すなよ。田中泯さんが演じる陽気な翁とか見たかったのになぁ。

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山田淑子「サイズは……『みでぃ』で」
店員「みでぃ……ですか」
客「「「」」」プークスクス


じゃ、何て読むんだ!(血涙

私もTOKYOで作中っぽい喫茶店に入った時、サイズの読み方が判らなかった人間です。Gをジャイアントと読んでしまったもこっちと殆ど同じ過ちを犯しました。私の場合はグレートでしたが……出てきた実物を見て『デが頼むコーラかよ』と思ってしまった点も完全に一致。『わたモテ』は面白いけれども、色々と古傷を抉り出す漫画なので、今は押入れの段ボール、通称『二軍箱』にしまってあります。嫌な記憶を思い出すことになった今夜の『相棒』。唯一の救いは作中の店員さんが山田俶子の間違いを指摘せずに乗っかってくれたこと。悪意のない客に恥をかかせないのはホストの最低限のマナーですからね。店員さんの何気ない良心が山田俶子の人生最良の日とやらも美しく見えました。
まぁ、そんなワケで今回はストーリーには見るべき点がない内容でした。これ、どうしようか。感想書けないんですけれども……いや、レギュラーやゲストを問わず、キャラクターに対する妙な愛着は感じるんですよ。テルオの乱とか、課長のドロップキックとか、ファンサービスとしては面白かったですし、一発屋ミュージシャンも指紋に弦タコがある=どうしょうもないまでに落ちぶれていても、ギターの練習は怠っていないという設定かも知れません……が、キャラクターへの愛情とストーリーが有効に噛みあっていなかった。何処かで見た感じだと思っていたら、脚本は山本むつみさん。成程、キャラクターやサブ設定に夢中になるあまり、本筋が疎かになる辺りは『平清盛』と同じ構造でした。それでも、前回の『相棒』参戦時はそこそこ見られたんですけれどもねぇ。今回はあきませんでした。次回は頑張って下さい。

※大変申し訳ありません。山本むつみさんは『八重の桜』でした。訂正してお詫び致します。

それでも、上記のようにキャラクターへの妙な愛着は印象に残ったので、その辺を列挙しておきましょう。

1.条件反射

杉下右京「女性のバックを覗くなど、よい趣味とはいえませんがねぇ」

だったら、やらなきゃいいじゃないですか、などと突っ込むのは最早、野暮というものでしょう。謎があれば解きたくなる。ドアがあれば開けたくなる。中身があれば覗きたくなる。これらは電柱を見たらマーキングがしたくなる犬と同じく、杉下の本能なのかも知れません。探偵としては得難い資質なのは間違いないので、一概に批判するつもりはありませんが、しかし、英国紳士を気取るのはやめて下さい。クローリー家の皆さんは他人ばかりか家族のプライバシーにも容易に立ち入ったりしませんよ。

2.出世

銀龍会のトップ……ではないにせよ、事務所を預かる構成員を演じたのは土平ドンペイさん。『探偵はBARにいる』でも、ススキノで同じ稼業に精を出していました。遂に東京進出を果たしたのか。バックには松重豊さんが控えているのでしょう。まぁ、そうなると、組織の最上部には刑事部長がいることになってしまうんですけれども。片桐さんも警察のトップから、筋モンの大親分まで何気にこなすよな。ちなみに土平さんは『平清盛』出演組。鎮西八郎に一撃で屠られた伊藤忠直でした。

3.テルオの乱

内村莞爾「これを糸口に一斉検挙を狙いたい……あ、それk」
中園照生「部長の御言葉通りだ! 暴力団の資金源は徹底的に絶つ! 被疑者の確保を急げ!」
一同「「「「「ハイッ」」」」」


遂に刑事部長の御言葉まで遮るようになった我らがテルオ。元日SPで手柄をあげて以降、何気に調子に乗っています。足元を掬われないといいのですが、しかし、会議に参加していた捜査員もテルオの僭越に誰一人突っ込まなかったので、相当根回しが進んでいるのかも知れません。冗談抜きで今季ラストでテルオの刑事部長昇進、あるかも。まぁ、仕事はできる人なのですが、こせこせした言動が象徴するように、部署のトップの必要条件である程よい鈍感さという点では些か不安が残ります。日本経済崩壊を予言する『XDAY』の日付さえも知らぬ存ぜぬでほっかむりを決め込むことができる刑事部長の性根こそが、善かれ悪しかれ、トップに必要な条件なのかも。

4.引力

月本幸子「……何か御用ですか?」
山田淑子「」


法則発動の瞬間である。

関わった人間全ての目論見を御破算にする魔の引力エリアこと、月本幸子の影響下へようこそ。ここに立つ者、全ての望みを捨てよ。まぁ、今回は別に月本さんの所為で計画が破綻したワケではないのですが、それでも、人生に追い詰められた人を無意識に引き寄せてしまう引力のようなものを持っているのかも知れません。『聴きすぎた男』の時もそんな感じでしたし。今回も『すわ、月本幸子回か』と期待したのですが、残念。

5.ミスチル的な

朝井「このズル剥け! メガネザル! モヒカン!」
角田六郎「」プッツン


『男にとって一番大事なことは、年老いた時にどれだけ髪の毛が残っているかだ』とはジェシーおいたんの名言。朝井は同じ男として、絶対に口にしてはいけないことをいってしまいました。角田課長の暴走も宜なるかな。若い女性が危険ドラグの売人になるという秩序のない現代に食らわせるドロップキックは、藤波辰彌の両足を揃えて正面で飛ぶスタイルに分類されます。この辺も角田課長の年齢を感じさせますな。あの年齢はドラゴン殺法に夢中になった世代ですので。

ここ数回、アレな内容が続いていますが、次回は純粋なミステリタイプっぽい。この辺で巻き返しを期待しています。『相棒』には困った時の切り札があるとはいえ、毎度毎度陣川君頼みというのも困りものですしね。

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年末年始に録画しておいた特番を漸く全て見終えました。海外紀行ものを中心に色々と楽しみましたが、録画しておいた紀行ものの1/3に大沢たかおさんが出ていた気がします。『風に立つライオン』の映画が控えてるので、過去作品から優先的にリストアップされたのかも。『風に立つライオン』リリースから、もう三十年近くになるのか。私も年齢をとる筈ですよ。今でも私の中の名曲リストのトップ10を堅守しています。でも、一番好きなまっさんの曲は『天狼星に』なので、映画は見にいかないかも。
ちなみに一番面白かった特番は後述する『オリエント急行殺人事件』ですが、NHKの『知られざるコミケの世界』もよかったなぁ。年末は諸事情&インフルエンザで上京できませんでしたが、あの独特の空気は一度味わったらやめられないので、今夏は是非ともいってみたい。番組で紹介されていた会場の様子を見ていると、私も一度は出店してみたいと思うのですが、生憎、何も出せるものがないんですよね……定期的に参加&新刊リリースしておられる方は純粋に尊敬してしまいます。今回の話題は3つ。大河ドラマの簡易感想もあるでよ。

1.四千年の語り部

『小説家の陳舜臣さん 死去』

余りにも衝撃があり過ぎて、現在でも感情を処理できていないのですが、何よりもまずは慎んで哀悼の意を表します。作家の訃報でこれほどに衝撃を受けたのは司馬さん以来になるでしょうか。彼岸で共に煎り豆を齧りながら、古今の英雄談義に花を咲かせておられると信じたいです。数多ある氏の作品で何が一番好きかといわれると……やはり、ここは『中国の歴史』かなぁ。これを読めば誰でも理解できる通史を単独で発表するのは偉大なことだと思うのですよ。流石に文字の国の末裔。最近の日本には一般向けの通史を書く作家さんが極めて少ないですからね。日本史でもパッと思い浮かぶのは『風雲児たち』と『逆説の日本史』か。でも、前者は関ヶ原以降ですし、後者は筆者の政治信条が露骨に出過ぎている。それが魅力という方も多いと思いますが、私は氏や司馬さんや七生ちゃんのように、生臭い話になる二歩手前でサラリ&チクリと触れる程度に留める円熟さが好み。その辺、氏への敬愛を込めて氏の弟子を自称していた田中センセもまだまだ生臭い。
さて、田中センセといえば、

『<タイタニア>田中芳樹さんの人気小説27年でついに完結』

との情報が入ってきました。二十七年で単行本五冊は多いのか少ないのかという議論は一先ず措くとしても、昨年のアルスラーン戦記の最新刊といい、田中センセに何があったのか。全くの偶然にせよ、師と仰いだ陳舜臣さんの逝去の直後ということに、何らかの因縁めいたものを感じずにはいられません。二人の間に『好きな中国ものを書くのもいいけれども、取り敢えずは宿題を全部片づけてからにしようね』という時空を超えた無意識下の感応でもあったのかも。

2.『オリエント急行殺人事件』超簡易感想(ネタバレ有)

馬場舞子「勝手なことをされては困りますッ!」

冒頭で記したように、年末年始の特番で一番面白かったのが本作。『ABC殺人事件』を『いろは殺人事件』に、ヒルデガルド・シュミットを昼出川澄子に、アームストロングを剛力に変換した時点で勝ち確定。いや、判るよ! 多分、本作はポアロファンには評判が悪いと思うよ! そもそも、ヒルデガルドは名前であって、苗字じゃねーしさ。でも、私みたいにユルユルな視点で見ている人間は、こうしたお遊びが大好きなんですよ。ドラゴミロフ公爵夫人ならぬ轟公爵夫人を演じたのが、ミス・マープルの吹き替えをしておられる草笛光子さんというのも嬉しい。
本作についてはハカセさんのブログで詳細な分析&感想がUPされていて、本作を御覧になった方には是非、オススメしたい。十二人の登場人物の名前のもじり方は判っていたけれども、探偵役である勝呂武尊の姓名に対する分析や、何故に野村萬斎さんがキャスティングされたかという考察は目から鱗でした。本作の勝呂武尊は兎に角、異形の存在。萬斎さん独特の顔芸に加えて、声は熊倉一雄さんの吹き替えにそっくり。これ、どっちか一本に演技の方向性を絞ったほうがよかったんじゃないのか。一人の俳優から二人分のキャラクターが発生しているような感じで見ていて戸惑った方も多いと思います。まぁ、第一部の終盤には気にならなくなりましたが。
これもハカセさんの記事にあったように三谷さんが本当に描きたかったのは第二部の犯人たちの動向でしょうね。通常のサスペンスものだと終盤の10分くらいで犯人が岸壁近くで話す内容を三時間もかけて描くとか……でも、本作は最終的にポアロが犯人たちを見逃すオチなので、彼らが如何に苦労してきたかを描くのに、やり過ぎということはないと思います。個人的には馬場さんが上記の台詞を口にするシーンがもっとあってもよかった。ほんの小さな綻びで緻密な計画がボロボロになっていくというのは『ラヂオの時間』に代表される三谷コメディの真骨頂なので、第一夜は徹底したシリアス、第二夜はとことんコメディを追求するくらいでもよかったかも。あとは能登大佐の十二人に対する拘りも猛プッシュして欲しかったな。『十三人になるくらいであれば、俺は計画から降りる!』とか放言してもよかった。

3.『花燃ゆ』第2回~第4回超絶簡易感想(ネタバレ有)

取り敢えず、毎回見てはいますが、本作で何を描きたいのかが伝わってこないのが最大の問題点。何なの、この作品? 誰に向かって何を語り掛けようとしているの? それが全く判らない&話の本筋が見えてこない。一月も終わりだという時期に物語の概要が見えないのは危機的状況にも程があります。本編を見ていて、

マジギレ5秒前

と何度思ったことか。歴史の本筋と関係ねーだろという描写が多過ぎ。『八重の桜』の八重ちゃんパートの超絶劣化版を延々と見せられている気分。いや、八重ちゃんパートは時代に取り残されようとしてる会津藩の、更に取り残された人々という構造でしたし、史実パートも残酷なまでの冷厳さで描かれていましたし、何よりも八重ちゃんには『鉄砲撃ちたい』という物騒で確固たる動機があったので、物語がブレなかった(その証拠に鉄砲撃たなくなった第二部がグダグダ化した)のですが、今年の大河ドラマにはブレる芯そのものがないという惨状です。ヒロインの日常描写と歴史の動きを連動させる力量もないのに、何で杉文という題材に手を出してしまったのか。
これほどまでに芯のない物語になってしまった原因の一つは、吉田松陰の脱藩&密航の動機が完全に欠落しているからでしょう。確かに松陰の言動は為人と真逆の過激さがウリですが、じゃあ、何で過激化の方途を辿ったのかが全く描かれていない。異国の脅威という当時の知識人共通の危機感を置き去りにしているから、松陰が単なる空気を読まない放蕩息子にしか見えないんですね。
そして、そんな松陰の言動をヘラヘラと笑いながら何となく許しちゃう家族の描写がダメ過ぎる。いや、判るよ! 松陰を代表とする若者たちへの長州藩のダダ甘さは史実でも尋常じゃないよ! 他所の藩では一回死んだくらいでは償えない大罪を犯しているのに、牢屋にブチ込むくらいで済ませているんですからね。でも、本作ではそうした将来ある若者への藩の寛大さを表す場面が露ほどにもない。そればかりか、ジメッとした村八分にも遭ったりしている。そんな状況下で両親や家族が松陰の言動を許せるとしたら、それは彼が憂国の大望を抱いているという理由が絶対に必要なんですよ。しかし、それも全く描かれていないから、脱藩&密航者を出したという家族と主家の危機的状況にも拘わらず、ヘラヘラと笑っている一家が不気味極まりなく映るんですね。ハッキリいって、本作の主人公一家には近所に住んでいて欲しくない薄ら寒さすら覚えます。キモい。本当にキモい。

『寅兄も、寅兄を庇う家族も旦那も気持ち悪い』
『私は家族と関係なく、自力で子供を育てます』


亭主元気で留守がいいを地でゆくヒロインの姉が一番マトモに見える段階で本作は色々とダメだ。出来得れば、第1回の感想記事も書き直したい……いや、やりませんけどね。

ついでに視聴率も結構マズいことになっているそうですが、これは内容云々というよりも、純粋に主人公の知名度の低さが原因でしょう。まぁ、内容で盛り返す雰囲気が欠片も見えないので、ここから回復するとも思えませんが、毎年恒例のマト外れにも程がある大河批判は現時点では視聴率に目を奪われているのか、鳴りを潜めているようです。尤も、ネットでは吉田松陰はテリスという、なかなかに純朴で直截で個性的な批判も見かけました。剣心=ニートレベルのロジックですね。それをゆうたら、坂本龍馬も高杉晋作も西郷隆盛も桂小五郎も、武力革命を志した歴史上の偉人全員がテリスになってしまいます。ついでに世の中には『白色テロ』という言葉もありまして、その視点でいうと近藤勇も土方歳三もテリスですね。何でもかんでもテロと結びつけて、相手の言い分を封殺するのは控えましょう。便利な言葉を使い過ぎると何れ、己の足元を掬われます。

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