~ Literacy Bar ~

ここはイマイチ社会性のない自称・のんぽりマスターの管理人が、
時事、徒然、歴史、ドラマ、アニメ、映画、小説、漫画の感想などをスナック感覚の気軽さで書き綴るブログです。
※基本、ネタバレ有となっていますので、ご注意下さい。


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先週の週末までは『独眼竜政宗』の感想記事を書いていたんだよなぁ。ちなみに今日の当該時間は『心旅』の特番が放送されていたそうです。あれはあれでいい番組。火野さん好きだし。『グレートトラバース』や『坂の上の雲』といい、最近のNHKBSの『いい仕事感』は異常。ちなみに『独眼竜政宗』の総評は遅れます。内容も年末恒例の大河総評ほどのボリュームではなく、簡易感想ですませる予定。本作は私如きが『何処が面白いのか』をいちいち解説しなくても、充分に内容が伝わる作品ですからね。それなのに何故、UPが遅れているかの答えは簡単でベストキャラクター10の選出に難儀しているから。輝宗や家康を外す代わりに長海や芦名義広を入れようとか不届きなことを考えているくらいなので……早くても来週後半になると思います。
そういう重要な記事をホッポッテまで書く今回の徒然日記。題材は3つ。

1.今出ました

歴史記事の題材、確定しました。

いやぁ、決定までが長かった。まぁ、書き終わるまではもっと長いんですが、はじめの一歩を踏み出したのは確かです。今回も気長にお待ち頂けると幸いです。尤も、あんまりユーチョーなこともいっていられないかも知れません。今回の題材に決めた理由の一つは今書かないと将来書けなくなるんじゃないかという些かネガティヴな動機。私個人の問題ではなく、世界情勢への危惧とでもいいますか。いや、別に私個人が何か書いて世界がよくなったり悪くなったりすると思い込むほどに残念な子じゃありませんが、記事をUPしたあとで登場人物に関連する事件が勃発して、

「このタイミングでトンデモない不謹慎な記事を書いていやがった奴がいる」

とかいわれるリスクを極力避けたいという実にしみったれた動機。そんなワケで題材に関する固有名詞を挙げるのは発表直前まで差し控えさせて頂きます。ヒントは参考文献の一冊が北斗の拳ということくらい。余計に判らないかも。
ちなみにノミネートされていた他の候補者は明の英宗と李氏朝鮮の李舜臣。特に李舜臣は『独眼竜政宗』のアバンタイトルで紹介されていたので、結構心が動いたのですが、基本的に真面目な為人なのでネタにしにくいんですよね。英宗も彼にまつわる事件はトンデモなく面白いんですけれども、彼個人は善良で単純で特徴のない奴だしなぁ。尚、上記の杞憂が現実のものとなった場合は、これも以前予告していたように初期の歴史記事の改訂版を手掛ける予定。『足利尊氏』か『福沢諭吉』か『侯景』か、ですね。

2.『太秦ライムライト』簡易感想(ネタバレ有)

香美山清一「何処かで誰かが見ていてくれる」

『五万回斬られた男』という某猫の童話を想起させる異名を持つ斬られ役の達人の福本清三さん初主演映画。いやぁ、実に私好みの作品でした。勿論、好きなことと評価の高さは必ずしも一致しないもので、映画の出来は極めて平凡だと思います。だって、パッケージを見ただけでストーリーの九割が想像つきましたからね。タイトルの元ネタを知っていれば尚更。主人公が実際に死ぬか、それとも劇中で斬られて死ぬかで差異をつけるであろうことは容易に想像できました。それと男の願望120%濃縮還元の展開も判りやすい。老いたる達人に修行を懇願する美少女弟子とか……まさに男の『夢』であり、そのヒロインと全く『関係』が発生しないのは男の『浪漫』ですが、あまりにもベタでした。
じゃあ、何が好きであったかというと作品の主題。上記のように本作の主演は斬られ役の達人と呼ばれる福本さんが主演なワケですよ。斬られ役は斬る役を巧く見せなくてはいけない。自分のリアクションで相手を光らせる。文字通り、自分を殺して相手を立てる。それが斬られ役の存在意義。それを福本さんは五万回も繰り返してきたワケですけれども、今回は真逆なんですね。俳優人生五十余年にして初主演の福本さんを松方弘樹、萬田久子、小林稔侍、本田博太郎、栗塚旭といった豪華俳優陣が自分を殺して光らせようとするワケですよ。斬る側と斬られる側が殺陣と逆転している。そこにニヤリとさせられる。実際、福本さんの演技は朴訥そのもの。謹慎を命じられた主人公が自宅で一人晩飯を食うシーンとか、悲哀が漂い過ぎて見ていて切なくなるのよ。そういう特殊な主演俳優の朴訥な『太刀』に名優たちが巧みに『斬られる』様子が面白い。
あとは純粋に殺陣の美しさ。勿論、斬る側も上記のように時代劇の名優ばかりですが、今回は斬られる側の巧さが際立ちました。福本さんが一人で斬られる稽古をするシーンは相手がいないのに太刀筋が目に浮かぶんですよ。リアクションで福本さんが何処を如何斬られたかが判る。

刃牙のリアルシャドー

ってこんなんなんだ……と思いましたよ。リアルタイムで読んだ時は笑っちゃいましたけれども、この作品を見た今では断言できる。リアルシャドーはリアル。間違いない。

3.やれやれだぜ

今月、JE市に無事に北陸新幹線が開通しました。まさか、自宅の近所に新幹線の駅が開通するとは夢にも思いませんでしたよ。ちなみに自宅から走行中の車両も見えます。いや、私が生まれる前から隣町の駅には『WKNDに新幹線を!』という誘致の垂れ幕が掲げられていましたが、子供心に『来るワケないよなぁ』と考えていたので……本当にすみませんでした。そんなワケでオラが町に新幹線がやってきたという、ちょっとしたメジャーデビューの気分に浸っている現在ですが、そんな本日、JE市に更なるメジャーフレーズが到来しました。

『上越市議会:ヘイトスピーチ規制意見書可決 /新潟』

『JE市』と『ヘイトスピーチ』! この二つの単語が結ばれる日が来るとは思いませんでした。『JE市』と『新幹線』よりも違和感があるな。感覚としてはJE南厚生会館でプロレス興行にやってきたハンセンやベイダーを見た時の衝撃に近いものがある。まさにオラが町にヘイトスピーチがやってきたというノリ。
しかし、居住する市町村レベルの話になると対岸の火事ともいっていられないので、一応、本件に対する私なりの意見を述べておきたいと思います。結論からいうとヘイトスピーチへの規制には反対です。誤解のないように申しあげておくとヘイトスピーチそのものにも反対です。人種・国籍・宗教・職業を一括りにして論う言動に賛意を示すことはできません。年末年始の記事でも書いたように、特定の人々を叩き出せば自分たちの共同体が簡単によくなるなんて考えは、用いる武器が刀から言論に変わっただけで、異人を斬れば日本を守れると考えた幕末の攘夷志士のメンタリティと変わりません。世の中、そんなに甘くない。政治的、経済的、国際的、長期的視野からも、そのテの活動は控えるべきだと考えます。
ですが、そうした表現活動を規制するのもいかがなモノかとも思います。このテの規制は罰則規定を設けるのが凄く難しい。表現の自由との折り合い、前後の文脈の解釈、言った言わないの水掛け論、ハトは『そういう意味で申しあげたのではない』という言い逃れの余地など、確固たる判断基準を何処に置くのかでモメるのは目に見えている。そうなると有識者による委員会を設けて、その都度、彼らの判断を仰ぐという形態に落ち着くのが最もアリガチなパターン。実際、大阪市ではそういう構想が進んでいるようですが表現に対する明確な基準がない状況下で運営される委員会がマトモな判断を下せるワケがないんです。どうして断言できるのかって? 当然でしょう。

『東京都青少年問題協議会』

という前例が存在するのですからね。別に彼らの人品をトヤカクいっているワケではありません、念のため。討議のバックボーンとなる基準が定められていないから、彼らは自分たちの恣意で善悪を決めてしまうのです、多分。ともあれ、こうした委員会方式では表現の判断基準が法律に拠らない、委員個人の価値観で決められるという状況になる可能性が極めて高い。そうなると犯罪の意図のない人までもが、明確な規定がないゆえに自分たちの言動を徒に慎んでしまうようになる。実際、漫画やアニメの現場は既にそういう事案が腐るほど転がっていますね。例えば、これ。

花京院涙目

この学生は誘拐犯でも〒□○○卜でもありません。スタッフが動画を焦がしたワケでもありません。未成年者の喫煙を地上波で放送したら罰則やクレームがくるんじゃあないかなぁという自主規制の賜です。ちなみに当該キャラクターは喧嘩の相手を必要以上にブチのめしたり、威張るだけの能なし教師に気合を入れて学校に出勤できないようにしたり、料金以下のマズイめしを食わせるレストランで無銭飲食を繰り返したり、追手の正体が判らないからという理由で居あわせた一般人を全員ボコろうとしたり、大型トレーラーとの正面衝突をもガードできる超能力で敵を撲殺したり、負けたら魂を奪われる勝負に療養中の友人を同意なく巻き込んだりと、喫煙が可愛く思える所業を何度も仕出かしているにも拘わらず、そちらは問題なく放送されています。まぁ、本編が面白いので文句をいう気にはなれないんですけれども、実にチグハグな話なのは確かですね。
今までは幸か不幸か、こうしたチグハグさは二次元の世界に留まっていたのですが、ヘイトスピーチ規制という概念にブチ壊された次元の壁を越えて、現実世界を浸食する可能性は少なからずあると思います。先述のように私個人はヘイトスピーチにもヘイトスピーチ規制にも反対ですが、諸外国への手前、どうしても導入が必要という事態に至った場合は是非、個々の基準を明確にして頂きたい。最もポピュラーな事例を引用すると、

ド低能=× 腐れ脳ミソ=○

こんな感じで全ての単語を分別して頂けるとブログを書く際に非常に参考になりますので、宜しくお願い致します。

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佐々木杏奈「この世には目に見えない魔法の輪がある。輪には内側と外側があって……この人たちは内側の人間。そして、私は外側の人間。でも、そんなのはどうでもいいの。私は、私がキライ」

痛い、痛い、心が痛い。

これ、本当にスタジオジブリの作品なの? 『わたモテ』じゃないの? 超恥ずかしい。いや、作品が恥ずかしいんじゃないのよ。杏奈と似たようなことを考えていた昔の自分が恥ずかしいのよ。ちょっと内向的な思春期を過ごした人であれば、程度の差こそあれ、杏奈と同じように考えたことがあるんじゃないでしょうか。この台詞の前後で自分の得意としている画を『内側の人間』である先生に見て貰えそうになって、嬉し気な表情を浮かべる。直後に子供が転んだ所為で先生との接点が切れて、そこでストレス性の喘息の発作を起こすのですが、この流れが最高にイタイ。本当は他人に画を見て貰いたいという欲求と、自分が定義した世界観との齟齬。『内側の人間』に媚びようとした自分に対する嫌気がストレスの原因なんですよ。この辺も『ほれ見ろ。他人に甘い期待をするから痛い目に遭う』というもこっちの声が聞こえてくるようでした。

そんなワケで冒頭から鋭い鉤爪でガッチリと心を鷲掴みにされた『思い出のマーニー』。都合三回は見直したかな。感想書くための分析という動機もありますが、それ以上に本作には繰り返しの視聴に耐え得る構造の強さがありました。寧ろ、初見よりも二度目の視聴のほうが面白い。理由としては本作が『ファンタジーの皮を被ったミステリ』であるからでしょう。作中では不思議なコトなんて何一つ起きていないんですよ。殆ど理論上説明できる現象ばかりです。マーニーとのダンスシーンで杏奈は大岩のおばちゃんに抱っこされているし、サイロで上着をかけあうシーンは助けに来た少年に上着をかけられている。幻想とリアルがキチンとリンクしている。
偶然の不思議はあっても、ファンタジーの不思議はない。
本作は偶然に端を発したリアルな謎解きの物語なんですね。ジュヴナイルと新本格ミステリの融合とでもいいますか。マーニーの存在一つとっても、いるように見せかけて実はいない……と思わせておいて、本当は存在するという罠が仕掛けられていましたからね。やはり、ミステリの文法です。それゆえ、二度目のほうが全体の構造を把握しやすいし、マーニーの台詞の真意に涙することもできます。本作は絶対に二度見がオススメ。
しかし、謎解きという形式ゆえか、本作の構成は複雑怪奇で今でも整理できていない事象が多過ぎるので、今回は一番気になった点に私なりの解釈を施すに留めようと思います。

『杏奈はマーニーの正体に何時気づいたのか?』

素直に受け取るとラストシーン直前の写真で気づいたワケですが、もっと前から杏奈はマーニーの正体に無意識で気づいていたと私は思います。
結局、杏奈の鬱屈は自分の出自に端を発している。自分が養子であること、正確には養母が自分を養うために自治体から補助金を受け取っていることを知った所為で、養母の自分に対する愛情に疑念を抱いてしまっている。更に遡ると、その基底には自分を置いて他界してしまった両親や祖母への怨み辛みがあるのも作中で描かれていた通りです。
さて、上記の補助金の件の直後、頼子さんは杏奈に色鉛筆をプレゼントしています。でも、本編で描かれているように、作中の杏奈の画はデッサンが殆ど。これは『自分を育てるために養母が他人から受け取った金銭で買った色鉛筆なんか使いたくない』という鬱屈の表れなのでしょう。それでも、杏奈がマーニーの正体を知ったあと、EDロールで登場するマーニーの画は綺麗にペインティングしてありました。これは『自分は養母にも祖母にも愛されていた』と理解したゆえの変化に見えますが、実は杏奈がペインティングをしたのは、マーニーの画が最初ではありません。キチンとした理由があるとはいえ、杏奈の存在ガン無視&サイロに置き去りというトラウマ級の仕打ちを仕出かしたマーニーを杏奈が許した直後、頼子さん宛に出そうとしていた手紙の画もキチンと彩色されていました。
つまり、この時点で杏奈は己の鬱屈の源である自分を置き去りにした人間への蟠りを昇華しているのです。勿論、自分を置き去りにした人間の第一戦犯とは祖母であり、同時にマーニーなので、マーニーを許したということは祖母も許したということになる。逆にいうと祖母を許さないかぎり、杏奈は己の鬱屈を解消したとはいえない=自分の画をペインティングする理由がないんですね。この辺、杏奈が自分の意識と記憶を何処まで把握しているのかという線引きがない……というか、そんなものがあったら本作は成立しないのですが、杏奈がマーニーの正体を無意識に自覚していなければ、色鉛筆を使ったりしないと思うので、やはり、写真を見るより先に杏奈はマーニーが誰かに気づいていたのだと考えるのが筋ではないかと。

この他にも様々な謎や仕掛けが随所に盛り込まれているので、この先、何度も見返す作品だと思います。特に今でも結論が出ていないのは大岩さん夫婦の扱いかなぁ。マーニーに大岩さん家の生活を尋ねられた杏奈が急にいなくなるという場面は、私の中で解釈が多過ぎるのよ。一番有力なのは、大岩さん夫婦は杏奈に過度の介入をしない代わりに特に気に掛けてもくれないことに杏奈が気づいたのではないかと思うのですが……何方か、解釈プリーズ。

あ、吹き替え陣は可もなく不可もなし。ジブリの作品はあれくらいで丁度いいのかも知れません。個人的にはマーニーを演じた有村架純さんの声が微妙に老けて聞こえたのがツボ。勿論、マーニーの正体を考えるとプラスの作用です。ちなみにマーニーの母親は甲斐田裕子さん。『ダウントン・アビー』で聴き慣れている所為か、一発で判ったよ。逆に全く気づかなかったのは大泉洋。いや、知ってしまうと善くも悪くも大泉さんにしか聞こえないんですが、何で気づかなかったのか。そして、一言しか台詞がない十一を演じたのは安田顕氏。『アオイホノオ』で庵野ヒデアキを演じていたことを思うとアイツに台詞を喋らせるなという『風立ちぬ』に対する批判に思えてならない。まぁ、米林さんがジブリ在籍中の作品なので、流石にそんなワケはないでしょうが。

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遂に最終回を迎えた『独眼竜政宗』。『相棒』もトンデモない結末で今季の放送が終了したので、暫くは週間のドラマの感想記事の題材がなくなってしまいます。今思うと自分でも驚きですが、ブログを始めた当初はドラマの感想は殆ど書いていなかったので、ある意味、本来の形式に戻ったといえなくもありません。当分は『修羅の門』と『アルスラーン戦記』の他は単発の感想や徒然日記、歴史記事の準備に邁進しようと思っています。『修羅の門』も最終回が近そうなので、ちょっとヤバい。早く『ブラックラグーン』の連載再開しないかなぁ。取り敢えず、現時点で予定しているのは『思い出のマーニー』&『太秦ライムライト』の感想記事。そういえば、先日の『相棒』最終回の翌日のアクセス数がブログを初めて以来、最高の数値を弾き出しました。ガチで通常の三倍の数値。あれで内容が伴っていれば万々歳であったのですがねぇ。
何やら、何時も以上に本編と全く関係のない話題から入りましたが、実は今回、記事を書くためのメモが珍しく白紙で終わったんですよ。いや、つまらないとか内容がないとかではなく、今回は今までの『独眼竜政宗』で積みあげてきた手法と全く真逆の概念が物語の中心に据えられていたからでしょう。それこそが今回のポイントです。

1.真心

今回の内容を頭から終わりまで見返すと、本作にしては珍しいことに誰も何も騙していないんですね。自分や他人の立場を慮った社交辞令も殆ど使われていない。冒頭で語られたソテロが好例。世間に膝を屈することなく、己の信仰を貫いたソテロの言動が、奇しくも今回の内容の象徴として用いられていたのだと思います。即ち、赤心。

まずは政宗と保春院のやり取り。
今までは先回が象徴するようにお互いのことを思いあっていても、双方の立場や過去の蟠りが邪魔をして、肝心の場面で角突きあわせる間柄に終始した両名ですが、今回は保春院の年齢ゆえの繰り言があったとはいえ、お互いに詩歌を介して、母子の心境をキチンと交換しあっている。詩歌というのがポイントですな。特に和歌は他の詩歌に比べて、厳しい字数制限ゆえに無駄なロジックを極力排するのに適しているので、ありのままの思いを伝えやすい。尤も、政宗の気持ちは保春院に届いたものの、政宗のほうには僅かに蟠りが残っている様子。これは大往生シーンで回収されます。

次に秀忠&家光。
秀忠が家光に将軍職を譲るに際して、政宗を天下の副将軍と思うべしと申しつける場面ですが、これ、先回までのこやつめハハハ感がいい塩梅に削げ落ちているんですね。勿論、秀忠も政宗もお互いを無条件に信頼しているワケはないのですが、相手を刺激しない距離感は把握しているのでしょう。昔のように面倒臭い腹の探りあいをしなくても、お互いのテリトリーを犯さないという落ち着いた大人の関係が構築されているようでした。

徳川家光「余は生まれながらの将軍である」キリッ

という有名な言葉にも、政宗は素直に感銘を受けた様子。秀吉や家康相手の阿諛追従とは異なる反応でした。『若いのになかなか見所のある奴だ』という感じ? ここにも必要以上の嘘や腹の探りあいはなし。

それから、忠宗の御国入りの場面。
五郎八姫の人はパンのみにて生きるにあらずという、空気を読まない(祖母&父親似の)発言に対しても、通り一遍の正論や手練手管のロジック、或いは立場を嵩に着た叱責を口にしない。『五郎八姫の言い分は尤もであるが、俺にはそういう生き方しかできなかった』という、慚愧とも悔恨ともとれる衷心からの言葉で息女を黙らせている。この時、政宗が口にしたのは間違いなく、彼の本心なのでしょう。自分の選択が間違っていたとは思わないが、時に人倫に外れた生き方をしてきたのは紛れもない事実。その言葉の重さが判ったからこそ、五郎八姫も反論をしなかったのだと思います。

更には愛姫との別離。
ここでは天下取りという、愛妻との約束を果たせなかったことへの謝罪が出てきます。夫婦の間に嘘もロジックもない……と思うのは現代劇、及び、それに毒された近年の大河ドラマの影響でしょう。何せ、本作の政宗は愛姫を秀吉の人質に送り出した途端に葛西大崎一揆を扇動しましたからね。夫婦の間でも嘘や隠し事もあるんだよ。そんな主人公が心の底から妻に詫びた場面でした。

このように、今回は何から何まで見栄で生きてきた主人公(褒め言葉です)が初めて、徹頭徹尾、真心を晒す内容なんですね。つまり、言葉の裏を読む必要がない。視聴者は主人公のありのままの姿を受け入れればいい。それゆえにメモる内容もなかったのだと思います。逆にいうと、ここまで嘘を重ねてきて、初めて、登場人物の真心を描くことができる。だいたい、戦国武将なんて他人を騙してナンボの人生なワケですからね。

そして、遂に政宗の大往生シーン。
一代の梟雄の今際の際に浮かんだのは本作のラスボスたるお東の方。ここで母子の和解が成立して、晴れて、主人公は彼岸に旅立つのですが、ここでも何気に政宗の意地っ張りなんですよ。『母を許してくれるのか』というお東の方の問い掛けに応えるのは梵天丸藤次郎なんですからね。流石に政宗本人(いや、三人とも同一人物ですが)が答えるのは気恥ずかしいのでしょう。或いは、あの頃の自分がもっと素直に母に接していれば……という願望の投影なのかも知れません。

ラストシーンは第1回のアバンタイトルでも紹介された伊達政宗の御真骨の映像で〆。これは単純にインパクトの強さを狙っただけでなく、歴史劇はドラマという名の複顔作業であることの象徴なのでしょうね。実在した人物の姿をあらんかぎりの技術と才覚で現代に広く知らしめる。それこそが歴史劇の使命であるという主張ではないかと思います。或いは『これ、第1話のアバンタイトルでも見たでしょう? じゃあ、もう一回最初から見直しましょうか』というフリかも知れません。実際、来週の土曜日は今までDVDに全話焼いておいた本作をもう一度見直そうかと考え中です。00年代に流行したループものの走りは『独眼竜政宗』だったんだよ!

余談ですが、このように真心重視で運んだ今回の内容の中で一点、政宗のアカラサマな嘘というか、悪戯として有名な場面が一つ。自らの墓所を満海上人の入寂の地に指定した政宗でしたが、彼の死後、家臣が墓所建設のために当該地を掘り起こすと、満海上人のものと思われる数珠だの袈裟だの錫杖だのが出てきたそうです。これを見た家臣たちは『まさに大殿は満海上人の生まれ変わりだ』と驚嘆したそうですが、普通に考えると政宗が予め埋めておいたと考えるのが自然でしょう。自分の死後の神格化を狙った……というよりも、家臣たちの驚く顔を想像しながら、ニヤニヤと笑みを浮かべつつ、カラクリを施しておいたと思われます。本当にタチが悪いぜ、政宗。

これにて、大河ドラマ『独眼竜政宗』の感想は終了。予想外の再放送でしたが、この一年、本当に楽しませて頂きました。現役の大河ドラマの感想を諦めてまで視聴&感想を書いてきた甲斐があった作品でした。総評記事は現時点では完全に白紙ですが、どのみち、冒頭で述べたように週次定期感想記事がなくなったので、毎年年末にやるようなガッツリしたものではなく、気軽な気持ちでサラサラッとまとめる程度の内容で書くかも知れません。しかし、書くとしても、恒例のキャラクターベスト10の選出は至難の技になりそう。本作の登場人物から10人しか選べないなんて……国分盛重とか鈴木重信とか大内定綱とかも入れたいですが、流石にナベケンや勝新は外せないしなぁ。

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