『真田丸』第20回『前兆』感想(ネタバレ有) | ~ Literacy Bar ~

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※基本、ネタバレ有となっていますので、ご注意下さい。

好調の波に乗るチームの特徴は日替わりのMVP選手が出ることだと思います。最近でいうと某横浜の球団。今永、山口、石田、倉本、ロペス……と特定の選手に依存しない勝利が続いています。特に梶谷復帰以降はポジポジがとまらないんだ(*^◯^*)という試合の連続で、主砲225の不調も気になりません。まぁ、もうすぐ昨年の悪夢の発端となった交流戦が始まるので、遅かれ早かれ定位置から動かなくなるものと覚悟はしています……というか、ここ一ヵ月は勝率六割前後という数字を叩き出しているに、現時点でほぼ定位置というのが色々とおかしい。でも、そんなことを気にしていたら、このチームの応援なんかしていられないんだ(*^◯^*)
さて、話を戻すと『真田丸』も常にMVPが登場している作品です。それも、スズムシ、佐助、景勝、兼続、家康、刑部、治部……と毎回異なるキャラクターが物語を引っ張るというのは、上記のように作品に勢いがある証拠でしょう。意外にも主人公の信繁がMVPを獲得したことはありませんが、それは本作の構成上、已むを得ません。恐らく、信繁は最終回に最高のMVPになるように逆算して物語を進めているものと思われます……が、今回は私の中では本作初のMVP不在の内容でした。おこうさんとか治部とか寧々とか佐助とか、いい味出しているキャラクターはいたものの、物語全体のモニョッと感を覆すには至らず。早い話が負け試合。負け試合と感じた理由は後述するとして、まずは本編の感想に入りましょう。ポイントは4つ。やはり、負け試合なので少な目。


1.『里に帰るといったな? あれは嘘だ!』

真田信幸「……おい! おいおいおいおいおいおい! おまえ!」
こう「薫さまのお情けにより、こちらでご厄介になることに……」
真田信幸「無理だ! 無理だ無理だ無理だ無理だ!」
こう「若殿さま、遠慮なく、何でも御申しつけ下さいませ」
真田信幸「できるワケないだろぉ!」


お兄ちゃんの台詞を抜き書きすると紛うことなきどうでしょう劇場となった今回の上田パート。大泉さんの口から出る『無理だ』とか『できるワケない』とかいう台詞のリアリティが半端ない。実際、昨日までの嫁が侍女として仕える屋敷での生活とか、ブンブンブラウで夜明かしするよりもキツいと思います。しかも、それが毎晩続く。うん、地獄。一種のハーレムエンドと思えなくもありませんが、肝心のヒロインがおこうさんと小松殿という、地味子と桐乃レベルの相性の悪さを考えると、気苦労のほうが遥かに勝るシチュエーション。お兄ちゃんの寿命を家族総出で全方位から削り取っていくスタイル、ほんとすこ。
さて、おこうさんと共にお兄ちゃんを巡るダブルヒロインの稲姫。輿から出てきた時点で花婿の二~三十人は血祭りにあげているようにしか見えない迫力がありましたが、実際は単純に緊張と寒さで強張っていた模様。上田の冬は底冷えするからね、仕方ないね(体験者は語る)。尤も、このシーンは稲姫の可愛気を表すものかも知れません。世に鬼嫁と名高き稲姫ですが、嫁ぎ先とはいえ、よくいっても仮想敵国に等しい真田の中では随分と心細く、はじめのうちは何かを求めるのさえもオドオドビクビクしていたというのはリアリティあります。お兄ちゃんも床入りした花嫁が寒がっているのに羽織を持ってこさせるとか……本当に無粋な男だよな。
そんな稲姫を誰よりも心配しているのが、

本多忠勝「…………………(号泣
「新しい嫁は随分と家来衆に慕われているのですねぇ」
真田昌幸「あれは父親じゃ」
「え? お呼びしなくてよろしいんですか?」
真田昌幸「折角、化けているのじゃ。そっとしておこう」



四男

お前のような従者がいるか。

家康の手下だな。化けるんなら仮面ライダーにでも化けるんだな。しかし、娘を持つ父親同士の情けでしょうか、スズムシは関知せず。なかなかに粋な計らいです。尤も、前後の場面で、稲姫の輿入れを『わしは反対したが、源三郎がどうしてもというから』とか、おこうさんが侍女になることを『初耳だ。おこうの件はわしも心を痛めていた』とか、どう考えても嘘の発言を連発していたので、差し引きゼロ。ありゃあ、佐助でなくてもサボタージュしたくなるよ。


2.『ペロッ! これは消し炭!』


真田信繁「今夜は曇り空で月は出ていません。梯子に登って、一人で松明を持ちながら落書きするのは、まず無理です」
平野長泰「何だか……おまえ、凄いな」


『CV:高山みなみ』といわれても違和感ない信繁の名推理。チョコチョコと合いの手を入れる長泰とのコンビはコナンとおっちゃん(覚醒前)のやりとりを見ているようで、妙なデジャヴを覚えてしまいます。尤も、作中では真相は闇の中。二時間サスペンスではないのですから、真相解明に拘られても困るのですが、それでも、犯人には辿り着くんじゃないかと思っていたので些か肩透かし。史実通りに尾藤道休という男が捜査線上に浮かんだとはいえ、本人は犯行を否認したうえ、複数犯という信繁の推理が正しいとしたら、共犯がいるとは思えないキャラクターでしたからねぇ。一応、犯人像をまとめてみると、

・犯行の状況から見て複数犯
・落首の内容を鑑みるに相応の教養の持ち主
・警備体制の穴を知っている内部事情に詳しい人物


ですが、作中で描かれた中に合致する人物は……あれ、治部と刑部がピッタリ? 何だ、これは……たまげたなぁ。ラストで語っていた民の仕業という三成の発言は捜査の攪乱を狙っていたのでしょうか。でも、三成には手段はあっても動機がないので、犯人ではあり得ませんね。それこそ、犯罪捜査の最大の鉄則である事件で誰が一番得をしたかを考えると、作中で秀吉の後継者問題を指摘していた家康か? 或いはもっと捻って考えると秀吉の自作自演という可能性も。秀吉自身、茶々の子が自分の胤か疑っていたワケですから、今回の事件を仕組んで、茶々の口から真実を聞き出そうとした可能性も微レ存。『エヴァ』でゲンドウがユイを甦らせようとする動機と同じですね。


3.今週の三賞

負け試合ゆえにMVPは不在でしたが、その代わりに三賞に値するキャラクターを挙げていきましょう。
まずは石田三成。常識人の割に意外と空気が読めない刑部が秀吉への直言を辞さない構えを見せると、それを全力で阻止。同様のシチュエーションで信繁が秀吉の勘気に触れそうになると『差出口を叩くな!』という叱責を装って、これを救助。そして、己は秀吉に切腹を申しつけられるほどの諫言を堂々と展開。やだ……カッコイイ。ここ数年の大河ドラマで一番男らしい治部でした。
三成と同じくらいの見せ場があったのが寧々。秀吉は本来、信長よりも怖い男という意外にして、実は適切な人物評をキチンと語ってくれたのはありがたいかぎり……というか、信長が性格面で過大評価され過ぎなんだよなぁ。信長は親族や家臣のダダ甘だぞ。そして、そんな秀吉の暴走を諫めることができるのも彼女一人という終盤のシーンもよかった。何気に三成とも仲良さそうですし、この辺、尾張派と近江派という従来の括りから脱却しようという本作の姿勢が窺えます。
もう一人は我らがきりちゃん。いや、今回は特に手柄をあげたワケではありませんが、使い方がうまかったといいますか。門番が連帯責任で処刑されようとするのを秀次に取り成して貰う場面。どうやって説得したらいいか尋ねられた時の、

きり「『バカなことはやめろ!』でよろしいのでは?」

の台詞ですね。如何にもきりちゃんらしい、スカッとする物言いですが、勿論、そんな言葉で秀吉が意思を覆す筈がない。しかし、残念なことにここ数年の大河ドラマの主人公は概ねきりちゃんと同レベルの頭脳の持ち主であったのは否めません。この場面できりちゃんに上記の台詞をいわせたのは『こういうのは主人公が口にする台詞じゃありませんよ』という、GOや官兵衛に対する強烈な反論の意図ではないかと思います。


4.敗因

さて、以降は今週の不満点。うーん、何でしょうね、このモニョッと感の正体。一つには落首に対する秀吉の対応がベタ過ぎたといいますか。三谷さんらしい捻りがない。勿論、落首の内容に私人としての秀吉が激怒するのは当然ですが、それと同じくらいに公人としての秀吉の立場でも見逃せない動機があったと思うのですよ。
作中で家康が指摘した通り、秀吉政権の弱点は後継者難ですから、鶴松の存在は貴重極まりない。しかし、その鶴松が秀吉の胤でないとしたら、彼が豊臣家を継いでも諸大名がついてこない可能性があります。そんな危険な噂は政権を維持する側は絶対に放置できない。この落首の危険性は、血統が社会秩序を維持する政権を古代の遺物と見なす現代の感覚で考えては理解できないでしょう。門番の大量処刑も酷な処断ではありますが、門番は戦時では哨戒兵も同然なワケで、敵兵が自軍の陣地に何か細工するのを見逃していたら、ガチで首級が飛びます。『へうげもの』の寧々が語ったように『それで落ちた城は幾らでもある』ワケで、厳罰処置&連帯責任は決して珍しくない。この辺の事情は治部辺りに語らせて欲しかったかなぁ。じゃあ、秀吉の何がいけなかったかというと、犯人や警備責任者のみならず、その御近所さんや落首を見たに過ぎない人たちまでをも処罰の対象にしたことです。

俺の可愛い子供がバカにされた! ←判る
こんな落首を放置していたら、政権の威信が失われて世が乱れる! ←判る
こんなものをおめおめと書かれた門番も犯人同様に罪がある! ←まぁ判る
犯人を匿った本願寺も同罪だ! 治外法権を認めてはいけない! ←判らんでもない
犯人の隣近所に住んでいた奴も、落首を見た奴も生かしちゃおけねぇ! ←……えぇ(ドンびき


これが今回の事件の概要ですが、乱世に幕を下ろすための恐怖政治が己の政権の致命傷になったのが秀吉の悲哀といいますか、この辺の事情をやってくれないと秀吉の大きさと恐ろしさが伝わらないと思うのですよね。
もう一つの不満は死せる尾藤道休に濡れ衣を着せた主人公に報いがなかったことでしょうか。作中では秀吉は思いとどまったことになっていましたが、史実で道休の妻子は刑殺されているので、作中の信繁の責任は重い。更にいうと、それで信繁が懊悩するオチであれば、何とか許容できたのですが、作中では道休の妻子の刑殺は【なかったこと】にされているのですよ。それでしたら、最初から信繁と道休を絡ませなきゃいいじゃないかと思ってしまいます。まぁ、そんなことをいっていると『実は道休の妻子は殺されていなかった』とかいう新史料が出てきそうなのが『真田丸』の恐ろしさではあるのですが。もしも、そういう解釈に基いている作劇でしたら、事前に謝っておきます、ごめんなさい。


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