徒然年末年始日記 ~from 2015 to 2016~ | ~ Literacy Bar ~

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ここはイマイチ社会性のない自称・のんぽりマスターの管理人が、
時事、徒然、歴史、ドラマ、アニメ、映画、小説、漫画の感想などをスナック感覚の気軽さで書き綴るブログです。
※基本、ネタバレ有となっていますので、ご注意下さい。

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
今年は『仕事中に職場の更衣室ではなく、公道で全裸着替えをした所為でクビにされる』という初夢を見た与力です。何をいっているのか判らねーと思いますが、私も何でこんな夢を見たのか判りません。自分でも気づいていない性癖が鎌首を擡げたのか、或いは職場に対する不満が歪んだイメージとなって現れたのか、それとも、ガチの予知夢なのか。何れにしてもロクな初夢ではないでしょう。取り敢えず、着替えの際は周囲を確認しようと心に誓った二〇一六年の正月でした。今回の日記は年末年始で印象に残った事象、特に2年ぶりの東京紀行を中心に振り返ってみましょう。

まずは一日目。
昨年春に開通した北陸新幹線での東京行き。早い。自宅から2時間ちょっとで東京とか、軽い時差ボケを覚えるレベル。何時もの癖で道中のお供に十冊近く本を持参していきましたが、結構読まないままで終わってしまいました。到着後、すぐに人と会う予定があったので、往路の読書は軽目の内容を選択。

幕末史 (新潮文庫)/新潮社

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通史としての幕末を知りたい方には好適の一冊ですが、本作の真の魅力は司馬さんの作品に対する愛あるツッコミがそこかしこに溢れていることでしょう。大政奉還は竜馬の発案という司馬さんの文章に『嘘つけ』と容赦のないツッコミを入れつつ、のちの段落で『本当は勝と大久保一翁の考えだよということをそれとなく書くのが、司馬さんの文筆家としての力量』という半藤さんの評価には完全に同意。同じ河井継之助を題材にした作品でも、長編の『峠』でageておきながら、短編の『英雄児』で結構disっているように、司馬さんの作品は目先の文章ではなく、全体を俯瞰すると本音が見えてくることがあるんだよなぁ。

秋葉原のホテルに荷物を置いて、以前から拙ブログにコメントを下さる踊るひつじさんと待ち合わせしている有楽町駅へ。事前にお知らせ頂いていた通りの服装の方と遭遇しました。ここで一言。

私のブログの女性読者は美人が多い。

穂積さんといい、目白駅でお会いしたROM専の方といい、こちらが緊張するレベルの別嬪さんばかり。今回のひつじさんもお会いできた喜び以上に、会話が成立するかという不安のほうが圧倒的に先立ちました……が、移動中に日比谷のゴジラ像の前を通りかかった時、

踊るひつじさん「可愛いでしょう、この銅像! この尻尾と歯並びは○○シリーズの特徴で、山根博士の名台詞も刻まれていて! それから、コレとかコレとか……」ウキウキテカテカ

与力「よかった! ホンマモンのオタクや!(最上級の褒め言葉)

という具合に会食の店に到着する前に打ち解けることができました。今思うと、私の緊張を察したひつじさんが、食いつきやすい話題を用意して下さったのかも知れません。所作も話し方も明晰でキビキビとした印象を受けました。お仕事を伺うと成程納得の御返答。天職やで。
お店に着いてからも、歴史、宝塚、漫画、政治、教育、装飾品、銀英伝……など、ひつじさんのほうから積極的に話題を振って下さいまして、2時間半という時間があっという間に過ぎてしまいました。趣味や仕事を問わず、さまざまな分野にチャレンジしておられるアグレッシブでエネルギッシュなひつじさん。でも、一番印象に残っているのは旦那さんの話題。御本人は否定しておられましたが、メッチャ『のろけ』オーラ満載でしたよ。御二人がそろったら、石破ラブラブ天驚拳が炸裂しても私は不思議に思いません。

ひつじさんと別れて、次に向かったのは池袋駅。二年ぶりの再会となる穂積さんとの会食です。予約して頂いたトルコ料理のお店で必殺技っぽい名前の肉料理をつつきながら交わした会話は、

ギスカール×ヒルメス

のカップリングについて。『現在の二人の立場を考えると難しくね?』という私の(明らかに方向性を間違えた)ツッコミに対しても、

穂積さん「第一次アトロパテネ会戦が始まる前ですよ! それならアリですよ! ヒルメスの仮面は原作だとフルフェイスタイプなので、アレな場面を想像すると変態に見えちゃいますけれども、荒川版の簡易マスクなら普通にOKですよ!」(意訳)

こちらもホンマモンのオタクや! 勿論、それ以外にも歴史や太宰治や中島敦や宝塚の話題を中心に色々とお話を伺えました。それこそ、現地に着いてから気づいたのですが、踊るひつじさんと穂積さんは共に観劇、特に宝塚の熱心なファンなんですよね。今度の上京の際には何とか御二人をお引き合わせしたいと思っています。
食事を終えたあとは、穂積さんのお引き回しでジュンク堂池袋店へ。JE市の片田舎に棲んでいると地上9階地下1階のビル全体が書店というのは想像の埒外で、どえりゃあ驚いた。閉店時間まで2時間近くありましたが、結局、二人とも日本史・世界史のコーナーで『こんなマニアックな本を誰が買うんだ!』『いや! この本は実は持っています!』的な会話で殆どの時間を費やしてしまった。久しぶりに書店を楽しめた一時でした。

穂積さんと別れて、ホテルに戻ってからは、当日第1期の最終回を迎えた『コンクリート・レボルティオ』を鑑賞。そして、穂積さんのオススメで購入した、

文豪ストレイドッグス -1 (カドカワコミックス・エース)/角川書店

¥605
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を熟読。丁度、穂積さんとの会食の際に太宰治や中島敦の話題になったので、タイムリーな作品でした。内容的にも凄く好き、これ。異能力系探偵バトルものですが、物語の構造は美川べるのの『ストレンジプラス』を思わせます。世にいうバカミスって奴ですね。『ストプラ』は殆ど全員がボケ倒しですが、本作には国木田というツッコミ役がいるので、ギャグが収拾のつかない方向に転がり続けることはないかと。まぁ、国木田もクール系天然キャラの雰囲気濃厚なので、過大にアテにするのも考えものですが。ちなみに地元に戻ってから、続きを買おうとしたものの、JE市最大の書店でも2巻までしか置いていませんでした……2巻を読みつつ、残りを探す日々が続きそうです。

続いて二日目。
この日は以前からブログでも書いていたように山川浩の墓参りに出かけました。2年前の歴史記事の〆で『墓は、港区の青山霊園にある』と書いた手前、何時かは足を運びたいと考えていたので、本当に嬉しかったです……が、

青山霊園がメチャクチャ広い

のよ。地方の墓地のイメージで足を運んだら、えらい目に遭うで。霊園の中央を貫く長い坂道で、地元のアスリートが持久走のトレーニングっぽいことをしていたといえば、ある程度はお察し頂けるのではないでしょうか。私には旅行先で道が判らなくなると何故か墓地に迷い込むという奇妙なジンクスがあるのですが、流石に墓地の中で現在地が判らなくなったのは初めての経験でした。他にもパッと目に入っただけでも、広瀬武夫や川上操六といったビッグネームが刻まれた墓石が点在しており、そちらに目を奪われたのも原因かも。1時間近く掛かって、漸く山川の墓に辿り着くことができました。
歴史記事で『山川が教育分野に招聘されたのは、その気概と威厳を買われたから』と書きましたが、山川の墓石も凛とした佇まいと、静謐な雰囲気に満ち溢れていました。自然と膝をついて、両手を合わせていましたよ。ブログの記事とはいえ、自分が生涯を紹介した人が目の前に眠っているかと思うと感無量。尤も、すぐ隣に母親の山川唐衣(『八重の桜』では秋吉久美子さんが演じておられました)の墓石が殆ど同じ大きさで屹立していたのは驚きました。山川は十六の時に父親を亡くしているので、山川家における艶さんの影響力は大きかったと思いますが、それでも、ヤンチャできかん坊な山川が母親の隣に眠っていると想像すると、何やら微笑ましいものがあります。縁もゆかりもない人間に墓の周囲を徘徊されるのは泉下の方には迷惑ではないかと思い、墓参そのものは1分前後で終了。ちなみに割と近くに槙村正直の墓があったことを帰宅後に知りました。気づかずに通り過ぎてスマンかった、マッキー。

午後は秋葉原でふるゆきさんと待ち合わせ。ふるゆきさんの御到着前にガンダムカフェに並んでいると、これまた、とても美しい外国人女性にカフェの詳細を尋ねられるという僥倖に遭遇。艶やかな黒髪と緑玉のような瞳が印象的でセミショートのファランギースという表現が一番適当でしょうか。しかし、外国人の女性に『its robot café?』と聞かれた時に『No! GUNDAM café!』と頑なに言い続けた私も大概だな。
さて、穂積さんと同じく、二年ぶりの再会となったふるゆきさん。冬コミの新刊をはじめ、ふるゆきさんが戦史にハマる契機となった『ロンメル戦車軍団』など、多くの書籍を頂戴致しました。ありがとうございます。一番盛りあがった話題は劇場版ガルパンに登場した知波単学園の福田さんネタ。ふるゆきさんとなら、このネタで御飯三杯はイケます。モデルになった某国民的作家先生も、これには思わず彼岸で苦笑いでしょう。福田さんが劇中で一番慕っていたのが、自身のエッセイでボロクソに貶していた八九式を駆るアヒルさんチームというのが最高に面白いですよね。水島監督の戦車愛に裏打ちされた底意地の悪い設定は異常。他にも『八九式は対戦車戦はアレでも、本来の対人兵器としては優秀』とか『劇場版序盤で活躍したクルセイダーは整備不良が頻発して、マチルダのほうが重宝された』とか、ガルパンを更に楽しむ豆知識を御教授頂きました。

その後は新橋で相羽さんを中心とした蒼々オフ会。いつもの面々でいつものお店というのが、底知れない安心感を覚えます。変わらないものの大切さってあるよね。トークの内容としては燕。さんによるコンテンツ持続論が印象に残った。狭く深くよりも浅く広く。何かのついでに加入したまま、加入していることさえ覚えてない人たちから定期的に入ってくる財源こそが、最も安定した収入足り得るというのは税金の構造と同じですね。ナルサスは『百人の貧乏人から毟り取るよりも、一人の金持ちにたかったほうが効率的』といっていましたが、現実は往々にして逆。
途中参戦の戦闘勇者さんとは、一年越しの約束になっていた書籍の貸し借りを果たしました。当方からは『男色と戦国武将』『謎とき日本合戦史 日本人はどう戦ってきたか』『女将軍伝』の三冊。戦闘勇者さんからは『江戸しぐさの正体』『戦前の少年犯罪』『総理大臣のえる!』その他諸々というラインナップ。『江戸しぐさの正体』は何かの弾みで一度は目を通したのですが、今回改めて熟読する機会を得て、本当に助かりました。『戦前の少年犯罪』をセットでお持ち頂いた戦闘勇者さんのセンスが半端ないッス。共に『昔の日本は現代よりも遥かに素晴らしい社会であった』という主張が如何に論拠薄弱なものか、一発で判る名著ですね。今まで歴史を学ぶ意義というものに自分なりの回答を見出せずにいましたが、その鍵を頂いた心境です。ありがとうございます。

オフ会後はホテルに帰還。入手した書籍に目を通しつつ、小腹がすいた時にはホテル向かいのレストランビルの最上階で『戦前の少年犯罪』を読みながら、一人で『孤独のグルメごっこ』に興じていました。いや、ホントに『戦前の少年犯罪』は素晴らしいよ。江戸川乱歩は幻想怪奇小説の担い手と思っていましたが、実は当時の犯罪に強く影響されていたのが本書を読むとよく判ります。『んなアホな』といいたくなる不条理犯罪が多過ぎるのよ。再びホテルに戻り、深夜に放送されたOVA版ガルパンを見て就寝。

そして、三日目は秋葉原で買い物をすませて、夕方着の新幹線で帰郷。今から思えば、この時に『文豪ストレイドックス』の続巻を買っておけばよかったな……アレな漫画や小説を買い漁っている場合じゃなかった。反省。帰路の読書に選んだのは『ギリシャ人の物語』でしたが、隣の席がこれまた美しい女性のため、内容に集中できず。ここ数年の女性運を全て使い切ったかのような東京紀行でした。
帰宅後は家族との食事を終えてから、自室で『ガキ使』~『SHIROBAKO』のコンボで休暇のフィニッシュを飾ったのは『なう』で報告した通り。尤も、一番笑ったのは『ガキ使』ではなく、CM中にチェックしていた紅白。『鉄血のオルフェンズ』のEDをやるということで見ていたのですが、当該コーナーが『戦後七十年特別企画』というのが……いや、別に戦後とか平和とかをあれこれ論うつもりはありませんよ、念のため。でもさ、その曲が主題歌になっている作品の内容を知っていたら笑うしかねーじゃん。直前に放送された回だと主人公が顔色も変えずに、

痺れる憧れる

といいながらMS用のヤッパで敵パイロットを一刀両断するんだぜ。

やった! さすがミカさん!
キラやバナージにできないことを平然とやってのける! そこにシビれる! 憧れる!


そもそも、本作は食い詰めた少年少女がヤザの鉄砲玉にされる物語じゃないですか。そんな作品で平和もへったくれもあるかぁ! いや、まぁ、戦争と弾圧の犠牲になるのは常に子供たちであり、現実に多くの少年兵が戦火に身を投じているという理屈は判るにせよ、今回の企画で『お! いい曲やんけ! アニメも見たろ!』と本編を目にした人が、生身の敵を平然と射殺するミカさんに何を思うのか……それを考えると、もうダメ。直前に挿入された某国民的大女優によるメッセージも、それが真摯な言葉であればあるほどにツボをグイグイ押されてしまいました。寧ろ、ガキ使のほうこそ、身内の暴露ネタに頼らず、今回の紅白を参考にしたらどうかと思えましたよ。安定して笑えたのは板尾の件しかなかったからなぁ。ともあれ、上記した女優さんのメッセージよりも、

折原のえる「この前の世紀は最初の五十年で戦争しまくって、後の五十年で平和しまくったけど、同じことを繰り返している気がする」

という、戦闘勇者さんからお借りした『総理大臣のえる!』の一文のほうが、戦争と平和の何たるかを考える契機になるんじゃないかと思いながら迎えた二〇一六年。今年も宜しくお願い致します。


総理大臣のえる! 彼女がもってる核ボタン<総理大臣のえる!> (角川スニーカー文庫)/KADOKAWA / 角川書店

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