荒川弘版『アルスラーン戦記』第21章『ホディールの謀』感想(ネタバレ有) | ~ Literacy Bar ~

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誌上でも追加キャストの発表がありました。ギーヴとファランギースの配役は概ね想定内。坂本真綾さんはコドモトコを演じてから、着々とポスト少佐的な地歩を固めておられますなぁ。個人的にはファランギースが坂本さんなので、ギーヴは鈴村さんが演じてくれると嬉しかった。逆に想定外なのがヒルメスの梶裕貴さん。梶さんはアリババやシルバークロウといったヘタレキャラを演じているイメージが強いので驚きました。しかし、よく考えるとヒルメスもメンタル面は充分にヘタレなので、これは適役なのかも。@はアンドラゴラス王とタハミーネ。これは是非、立木さんとエド姐さんでお願いシャス。
今回はページが多目&オリジナルパートの出来もよく、非常に読み応えのある内容でしたが、煎じ詰めるとポイントは1つ。

1.ギーヴ

ギーヴ「『聖なる神のしもべは……女にうつつをぬかしてはならん』というようなことが書かれておりますな。悪書です。捨てておしまいなさい」

今までのオリジナルパートで一番笑った。

本当に本作のギーヴの優遇っぷりが半端ない。『他人にも大切なものがあるのを理解できないのは蛮人だ』というナルサスの教えを自分なりに理解して、実行しようとするアルスラーンの真摯さ&それに興味を抱くギーヴ。原作では描かれなかったアルスラーンとギーヴの接点にジーンときていたのに、このオチときたもんだ。実に素晴らしい。後半で自分がファランギースに窓から蹴落とされそうになったのは、教典を投げ捨てようとした罰が当たったのでしょう。因果応報。でも、ファランギースも大概だよな。『入口扉から入ってこい』とかいっていましたが、そっちはホディールに監視されている可能性が濃厚なので、窓から侵入しようとしたギーヴの判断は間違っちゃいません。単純にギーヴの顔面に蹴りを入れる口実が欲しかっただけでしょう……と思いましたが、よく考えると、既にホディールにはアルスラーン主従が連絡を取りあっているのは露見しているんですよね。今更気にする必要ないじゃん。やっぱり、純粋な下心で侵入しようとしたようです。それでこそ、ギーヴ。そして、ファランギースはいい脚でした。多分、はいてない。

上記のように原作にないアルスラーンとギーヴの関係性が描かれた回でしたが、徒に二人を絡ませるのではなく、ちゃんと必然性がありました。ホディールはアルスラーンの部屋の前に警護という名目の監視を置いて、ダリューンやナルサスとの接点を絶とうとします。部屋割りは原作通りですが、アルスラーン主従の連絡を絶とうとしたのは荒川センセのオリジナル。右も左も判らないアルスラーンを傀儡として操るには、賢しらな部下との接触を絶つに越したことはありませんから、この展開は原作よりもリアリティがある。それゆえ、アルスラーンとナルサスたちの間で連絡係を務める人間として、ギーヴがアルスラーンと単独で接触する必然性が出てくるワケですね。ダリューンやナルサスでは目立ち過ぎますし、エラムはナルサスの密命を受けている途中ですので。こうした『キャラクターに無駄な動きをさせない構成』は舞台劇の感覚に近いかも。

あとはイアルダボード教の教典のデザインが実に絶妙。十字に一本足しただけなので一目でアレが元ネタだと判る。さらにいうとカタカナの『キ』とも読めるので、頭文字と取れなくもない。荒川センセ、思いついた時は嬉しかったんじゃないかなぁ。

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