『相棒13』第7回『死命』簡易感想(ネタバレ有) | ~ Literacy Bar ~

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米沢守「おやおや、男ばかりでムサ苦しいことこのうえないですな」

でも、陣川君は呼ばれない。

特命係の救援要請に応える形で揃った警視庁の精鋭部隊(?)ですが、やはりというか、何というか、陣川君の姿はありませんでした。まぁ、彼らが集結した段階で事件の概要は見えており、証拠固めを残すのみという段階なので、ヘタに頭数を揃えるよりも、何時もの面々のほうが効率はいいでしょう。一方で今回の黒幕は如何に陣川君でも感情移入しそうにない相手ですし、別に参加させても捜査をかき乱すマネはしなかったとも考えられるので、声くらいはかけてもよかったと思います。それでも、

陣川公平「ビッグママは悪いことするような女性じゃありませんよ!」

と杉下に食って掛かる姿は、それはそれで見てみたい。
さて、本編ですが、話そのものは異様なくらいにチグハグな内容にも拘わらず、妙に印象に残る回でした。まず、杉下の相棒に就任して三年目にもなるカイト君が、今更、自らの不祥事で警察辞める辞めないという問題で苦悩するというのがアレ。『ゴールデンボーイ』のように自分の力量不足で関係者の死を制止できなかった事件も経験している筈なのに……これは相棒に就任して一年目くらいでやるイベントですよね。杉下がカイトの帰参に『おかえりなさい』と答える=特命係と認めるというのも、神戸への『ようこそ、特命係へ』よりも弱いですし。しかし、ラストで父親との和解に繋がる第一歩を踏み出した『親子ですから……何か言われるのは当然です』という台詞を出すのは、確かに今季が適当であったとも思える。この時のカイトパパったら、露骨に動揺しちゃってまぁ。可愛いったらありゃしません。
次に事件の概要。事件そのものは非常に胸糞悪い内容で、これは確実に実際にあった事件を下敷きにしてやがんなというのが伝わってきました。日本のアレとか海外のアレとか。しかし、胸糞悪さが先行し過ぎたというか、1本目のCM明けという早い段階でビッグママが外道というのが判っちゃったので、事件を推理する楽しみが大いに削がれたのも事実。同時に事件とカイト君の成長、甲斐親子の和解の契機との関係性も見えませんでした。カイト君が追い詰められるのであれば、別に他の題材でもよかったんじゃないでしょうか。HPで紹介されていた『現代社会に潜む巨大な闇』というモノへの斬り込みも雑。若者の就職難・貧困というのは切羽詰まった問題であり、現実の事件としては海外のアレな組織と繋がっちゃうのも、貧困が一因とされていますので、これはこれでじっくりと料理して欲しい題材でした。非常に勿体ない。唯一の救いはビッグママを演じた阿知波悟美さんの存在。ズ抜けて巧い。確実に説明不足にも拘わらず、彼女が運営する『うんたら~の会』の恐ろしさが伝わってきたのは阿知波さんのおかげです。
そして、被害者というか、カイト君が死なせてしまった男の行動原理もよく判らんまま。いや、理屈としては色々と情報はあがってきてはいるんですが、全体像、或いは人物の芯が見えてこない。ビッグママとフッた女、双方にいいように騙されちゃっていて、でも、視聴者が同情や感情移入するには既に引き返せないことに手を染めてしまっている。製作者が彼に何を仮託したかったのかが判らない。ついでにいうと、フッた女も結構な外道。悪いコトしていると思いつつも、あれこれとデタラメを並べて金銭をせびるあたり、個人レベルではビッグママよりも悪質です。少なくとも、ビッグママは男に嘘はついていないからね。それが妙にいい話風にまとめられてしまうのが納得できない。まぁ、それもこれも、相手を騙して金銭を毟っていた男の因果応報と考えられなくもないんですが、それでしたら、女のほうも外道な描き方でよかったんじゃないかと。或いはもっと苛烈なメッセージとして、

ちゃんと物事考えないと今回の男みたいになるぞ

という意図があるのかも。巧い話にホイホイついていく~保険金殺人の片棒を担がされる。片っ端から女をとっかえひっかえする~赤の他人の子供のために死地に追い込まれる。そういう考えなしに行動する連中への警鐘なのかも知れません。実際、先述したアレやアレな事件や組織との繋がりなんて、少し考えればヤバイ話だって判るのに、結構な人間が引っかかっているんだよなぁ。常識的に考えて、何のスキルも持たない異邦人が歓迎される組織じゃないだろ、あそこは。

どうも感想も内容と同じく、とっ散らかったものになってしまいました。反省しています。
ちなみにラストで公開された元日SPの映像。season11の『猛き祈り』の舞台を彷彿とさせましたが、流石に違うよね。あれから三年三ヶ月も経過していませんし。