『ハートキャッチプリキュア!』(再)第48回簡易感想(ネタバレ有) | ~ Literacy Bar ~

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ここはイマイチ社会性のない自称・のんぽりマスターの管理人が、
時事、徒然、歴史、ドラマ、アニメ、映画、小説、漫画の感想などをスナック感覚の気軽さで書き綴るブログです。
※基本、ネタバレ有となっていますので、ご注意下さい。

『名作は最終回の一つ前の話が一番面白い』という理論は、このブログで何度も述べた通りですが、本作も例外ではありません。最初から最後までノンストップのメチャ燃え展開。これも何度も述べたように完全に少女向けアニメではなくなっています。

キュアブロッサム「今、万感の思いを込めて!」

の台詞といい、こんなもん、小さなお友だちに判るワケねーだろ。だが、それがいい。真に優れたオマージュやパロディは元ネタが判らなくても楽しめるのは『とり・みき』が証明ずみです。一年に渡った『ハートキャッチプリキュア!』の感想も今回を含めて@2回。流石に残りは全力でいきます。今回のポイントは4つ。

1.姉妹激突・完結編

月影博士「この子は心の大樹を研究して手に入れた技術と、おまえの体の一部を使って造られた……おまえの妹だ」

んーと、それは微妙に妹じゃないんじゃないでしょうか。ラウ・ムウのように親子になっちゃうんじゃないかと思うんですけれども、そんなことはどーでもいーと思えるほどに泣ける展開その一。月影博士に抱きつくゆりさんに向かって放たれた、

ダークプリキュア「サバーク博士から離れろぉ!」

は胸に響きました。父親を取りあう姉妹の図。上記の台詞の直後、月影博士の身体に回した腕に力を込めるゆりさんの反応が実にリアルで生々しい。バーローを筆頭にショタキャラが多い高山さんですが、この人は女性の情念を全面に出すキャラのほうが似あうと思う。消滅に際してゆりさんの心の種の半分を残していくダークプリキュアですが、これは別にいい話じゃないと思います。結局、ムーンライトとダークプリキュアの戦いは世界の運命ではなく、どちらが父親の愛情を独占できるかの勝負でしたので、肉弾戦では敗れても、ちゃんと父親に抱きしめてもらえたダークプリキュアの勝ち。もう、ダークプリキュアはゆりさんの代わりの存在ではなくなったので、ゆりさんの一部(心の種)に拘泥する必要がなくなったということでしょう。最期の笑みも『私の勝ちね』と受け取ったほうがシックリくるかもです。

2.月影博士の憂鬱

月影博士「あらゆる生命と心を見守る心の大樹。私は、その秘密を解き明かせば皆を幸せにできると信じていた……『魔法のように皆が幸せになる方法などない』という言葉さえ、耳に入らないほどに。幸せは皆が少しづつ頑張って掴むもの」

月影博士失踪の真実。何か重大なコトで悩んでいたのでしょうか。イマイチ、月影博士が石仮面で悪落ちするほどに現世に絶望していた動機づけが不明瞭なので、とってつけた感は否めないのですけれども、往年のアクションバトル作品へのオマージュと取ればOK。これも、そんなことはどーでもいーと思えるほどに泣ける展開その二。
実をいうと後半のメインバトルを除けば、この月影博士の述懐が今回一番の名場面。何が素晴らしいかって、月影博士の『幸せは皆が少しづつ頑張って掴むもの』の台詞にマリンとサンシャインの疾走シーンがかぶさっているんですね。これ、単純に月影博士の台詞だけだと画が保たないので動きのある画面を持ってきたというのもあるでしょうが、幸せに向かうためには一歩一歩大地を踏みしめなければいけないというメッセージなんですね。マリンもサンシャインも飛ぼうと思えば飛べるんですよ。そこを敢えて走らせる目的は何かといえば、そういうコトなんじゃないかと。

3.ノリコとかカズミとか

ラスボスたるデューンとの戦いでゆりさんを庇って月影博士が爆死するという衝撃の展開。夫(コロン)を殺されて、図らずも異母姉妹を手にかけて、父親が自分を庇って物理的にも蒸発してしまうというトリプル役満級の災厄に見舞われるゆりさん。特に後ろの二つは10分くらいの間に立て続けに発生。うん、まぁ、そりゃあ、憎しみに駆られるのも無理はありません。でも、それが許されないのがプリキュアの宿命。戦闘勇者さんから頂いたコメントを借りれば、

「倒すだけなら狗でもできる。我等プリキュアは必ず勝たねばならぬのだ!」

ということ。プリキュアは勝ち方にも拘らなければならない。何より、憎しみは敵のパワーの源なので、それを駆りたてれば駆りたてるほどにデューンには勝てなくなる。一時の感情で戦ってはいけない。それがプリキュア。シンドイなぁ。
まぁ、ここも憎しみの連鎖を絶つというつぼみの主張も唐突な感じがするんですけれども、これもそんなことはどーでもいーと思えるほどに泣ける展開その三。今まで後輩プリキュアとしてムーンライトに憧れていたブロッサムが初めて対等の立場でゆりさんに説教かます場面はプリキュア史上屈指の名場面です。ムーンライトを、

キュアブロッサム「月影ゆりッ!」

と呼び捨てにするシチュエーションは絶対に『トップをねらえ!』へのオマージュ。復活したゆりさんに変身を促されて一歩前に出るつぼみ。ここで初めて、キュアブロッサムがキュアムーンライトと肩を並べるワケですよ。49話中48話目で漸く、主人公が先代に並ぶ。長かった! でも、それほどにゆりさんの壁は厚く気高かった!

4.ベストバウト

学園祭で流れた挿入曲『heart goes on』に乗っての最終決戦。ファッションショーが花咲つぼみの集大成であれば、この戦いはキュアブロッサムの集大成という意図ですね。この曲は燃えるよなぁ。感想記事のために視聴したら欲しくなって密林で注文してしまいました。出勤時に車内で聞いています。この戦いはプリキュア10年の歴史中でベストバウトに選出してよいでしょう。次が『スマイル』中盤のキャンディ救出作戦。
内容に関しては見て頂くしかないんですけれども、冷静に見返すとブロッサム単体でデューンに効果的なダメージを与える場面は殆どないんですね。主人公なので『ドキプリ』のマナのパルテノンモードのような見せ場があってもいい筈なんですが、史上最弱のプリキュアの異名は伊達じゃない。強さなんてモノは一年間かけても簡単に手に入るモノじゃない。でも、ブロッサムが戦闘で全く役に立たないかといえばそうではないのも確か。ムーンライトがデューンに効果的なダメージを与えるシーンの殆どでブロッサムのフォローが入っている。ブロッサムが空振りでも攻撃したり、逆に攻撃を受けてデューンの体勢が崩れた瞬間にムーンライトのエゲツナイ打撃が入っているんです。マリンVSクモジャキー&サンシャインVSコブラージャで描かれたように、真の強さとは単純な攻撃力ではなく、仲間のために身体を張れるかという主張を無言のうちに体現しているブロッサム。こここそがブロッサムが本作の主人公であることを証明したシーンといえるでしょう。
ピンチに駆けつけるマリン&サンシャイン。自分で張ったバリアーでもないのにドヤ顔でブロッサムに微笑むえりかわいい。マリンVSデューンも贔屓目にみてマリンの善戦というレベルなのも結構シビアに個々の戦闘力が設定されている傍証といえるでしょう。一方でサンシャインの攻撃のエグイことエグイこと。デューンのパンチをダッキングで避けてボディを連打連打。両手をかざして、顔面狙いと思わせてのダメ押しボディブロー⇒旋風脚。更にブロッサムの近接戦、と思わせてサンシャインフラッシュ、と思わせて巻きあがる砂煙に紛れてのムーンライトの蹴り。情報量多くて何度も見返さないと攻防に追いつけないよ。単純に動いているだけじゃない。ちゃんとフェイントや作戦がある。今回の攻防がヘタな少年漫画よりもバトルものしていると評される所以です。
トドメとばかりに放たれるフォルテウェーブ四連弾&ツインフォルテッシモ。今までは殆ど単独でフォルテッシモを放ってきたムーンライト(サンシャインとは一度あったかな)が後輩であるブロッサムの同道を許す=同格のプリキュアと無言の笑顔で認める場面もいい。これで、ゆりさんとフォルテッシモしていないのはえりかだけですね。何でしょう、この疎外感。そして、ダメ押しに繰り出されるハートキャッチオーケストラ。

もうやめて! デューン様のライフはとっくにゼロよ!

デューン様を抹殺する気満々。ここで終わっても誰も文句いわない……というか、ハートキャッチオーケストラの段階で視聴者もドンびき気味なのに来週もバトルが続くというのは本放送の時はどうなるんだよと思ったものです。まぁ、最終回の戦いは想像もしなかった方向と予想を遥かに越える必殺技でトドメが刺されるんですが。

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