平賀=キートン・太一「あなた方がどんな重要機密を抱えていようが、父を思う娘の心より大切なものなどない」ドヤァッ
じゃあ、君も百合子に会いにいきなさいよ。
自分のことは棚にあげて他人には大きく出るキートンの悪い癖……と突っ込んでいたら、最終頁で百合子登場。登場まで長かったなー。尚、発売から一ヶ月近くも経過しているので今回は簡易感想です。
テーマはスパイ。東西冷戦の終結が情報戦争の最前線にたスパイの人生を狂わせるというのは1stの『匂いの鍵』をはじめ、キートンでは御馴染みの題材ですが、ここに『オオカミ少年』の童話を絡ませるか。面白い解釈だと思います。まぁ、イソップの真意を突いたというよりは現代風の解釈ということでしょう。昔はガチで狼は怖かったからね。
1stとの違いはスパイ本人の騒動ではなく、その子供がメインということ。時代の流れを感じますが、子供ではなく、恋人という設定にすれば1stでも充分出来る話じゃないかなぁ。依頼人の亡父が友人にスパイの存在意義を語る口調は皮肉のスパイスが混じり過ぎていて、これは消されても文句はいえんわと思いました。でも、そんな円満とはいえない為人でも、娘にとっては父親ということでしょう。それでこそ、キートンが百合子に会いにいく契機になるというもの。拙劣のいい人にしなかったのは高評価です。
次回は来春。今度は買い忘れることのないように気をつけます。