「大河ドラマの画面汚い」兵庫県知事、NHKに再考申し入れへ(産経新聞 1月10日)
8日から始まったNHK大河ドラマ「平清盛」の初回視聴率が過去3番目の低さだったことについて、兵庫県の井戸敏三知事は10日の定例会見で、「画面(映像)が汚く、兵庫の観光も影響を受ける」として、NHKに対しドラマ映像・演出の再考を申し入れる考えを示した。
平清盛が築いた福原京が現在の神戸市兵庫区にあったことなどから、大河ドラマに合わせて同県や神戸市が観光キャンペーンを展開しており、ドラマの人気で兵庫の観光活性化に弾みがつくと期待していた。
井戸知事は、ドラマが時代考証に基づき砂ぼこりが舞うなどの演出をしていることについて「薄汚れた画面を流さなくてもいい。もっと華やかで生き生きとした清盛らしさを強調してほしい」と述べ、「番組の人気、不人気で観光も影響を受ける。NHKに早速申し入れたい」と語った。(Yahoo Japan ニュース)
平清盛が築いた福原京が現在の神戸市兵庫区にあったことなどから、大河ドラマに合わせて同県や神戸市が観光キャンペーンを展開しており、ドラマの人気で兵庫の観光活性化に弾みがつくと期待していた。
井戸知事は、ドラマが時代考証に基づき砂ぼこりが舞うなどの演出をしていることについて「薄汚れた画面を流さなくてもいい。もっと華やかで生き生きとした清盛らしさを強調してほしい」と述べ、「番組の人気、不人気で観光も影響を受ける。NHKに早速申し入れたい」と語った。(Yahoo Japan ニュース)
うるさい、黙れ。
いい年齢こいた大人が公の場で、三流週刊誌レベルの視点でしか作品を批評できないんだったら、日曜の夜はクソして寝ろ。何つーかさぁ、県知事ともあろー地歩に就いている方が、この程度の見識しか持っていないってーのが日本、終わっているわと冗談抜きで思える点だよね。
そりゃあ、県知事の立場からすれば、御当地を舞台にした大河ドラマの出来不出来が気になるのは判るよ。視聴率が振るわなかったのが気に入らないのも納得できる。でもさぁ、その改善策として、
画面が汚いから綺麗にしろ
っていうのは去年の汚染水大河の脚本家レベルの発想だよね。以前も述べたように私は視聴率で作品の善し悪しを語るつもりは毛頭ないが、この知事さんはそれに拘っているようだから、その土俵で語ってみる。確かに去年の汚染水大河は第一話が男の尻の画から始まったりしなかったし、血や汗や埃のメイクが施された場面なんて殆どなかったし、メインクラスの女優さんが全然老けメイクをしなかったりと、ツンツルテンの剥き卵みたいな印象であったが、そんなことばかりにかまけた結果、その大河ドラマがどうなったのか、この知事さんは御存知なのか? 序盤こそ視聴率は20%台をキープしたものの、脚本がお兄さんの手から離れた中盤以降はズルズルとだらしなく値を下げてゆき、全編通じての平均視聴率は17.67%だぞ。最低視聴率は驚きの13.1%だぞ。戦国三英傑絡みの物語で出していい数字じゃねぇぞ。挙句に終いには局からも見捨てられたのか、地上波における総集編が午前7時台から放送されるとか、
新手の放置&羞恥プレイ
としか思えない散々な扱いを受けたんだぞ。
画面さえ綺麗にしておけば、内容がクソでも視聴率が取れる。
そんな考えが完全に通用しなくなったことは、去年の大河ドラマが証明しているんだよ。
そりゃあ、今回の放送でも批判されても仕方のない点は多かったよ。マツケン(若)を早く出すために第一話に色々詰め込み過ぎとか、頼朝をナレーションに起用する必然性が現在の段階では全く見えないとか、脚本の甘い点は伊東さんとか中井さんとか役者の力量に頼りきりとか、そうした批判はされて然るべきだと思うよ。改善の余地は多いし、この先の展開次第で『龍馬伝』級の凡作に成り下がる可能性はおおいにあり得る。その意味では批判精神を持って作品を注視し続けることは必要だと思う。
でもさぁ、画面とかメイクが汚いのは、貴族の代わりに穢れをひき受けていた武士が、その貴族のみならず、遂には皇家すら凌ぐ存在に成りあがるサクセスストーリーのタメであることは明白なわけじゃん? んなこたー、物語をきちんと見ていれば誰でも判ることじゃん? 物語の終盤、雲上人に成り遂せて朝廷の中で踏ん反り返る清盛の周りで飽きもせずにコーンスターチが舞っていたら、それはおかしいと思うけれども、現段階でコーンスターチが乱舞していることに何の問題があるんだよ。
大河ドラマが観光業と結びつく。
これはもう、仕方のない現実と受け入れるしかない。実際、地元の研究者や協力者の助力なくして、いい作品はつくれないのだから、見返りに郷土の英雄の描写に多少、色をつけるのもやむを得ないことだと思う。しかし、それだったら、地元の側も番組製作の足をひっぱるマネをするのはよせといいたい。第一回の出来という点から見た場合、今回の『平清盛』は、ここ二、三年の大河ドラマの中では一番であったことは明白ではないか。そのことも弁えずに画が汚いから何とかしろ程度の文句をドヤ顔で申し入れるということは、この知事さんは大河ドラマを何も判っていないということである。知事クラスの人間が大河ドラマによる観光誘致を本気で考えているのであれば、自分で過去の作品を真剣に鑑賞して方向性を決めるか、或いは専門の部署に任せて自分は何も口出ししないか、どちらかのスタンスを貫くべきである。なまじ、大きな権能を持った人間が中途半端な知識に基いて難癖をつけるほどタチの悪いものはない。
批評するならちゃんと見ろ。
見ないのであれば批評するな。
これは論客としての最低のマナーじゃないのか。
不幸中の幸いというべきか、この知事さんは過去にも複数回に渡る舌禍事件を起こしたことがあるようだから、まともに獲りあわなくても誰も文句はいわないと思う。『平清盛』のスタッフの皆さんがこの先、作品をどのような方向に持ってゆこうと考えているかは判りませんが、少なくとも、この知事さんの戯言を真に受けることのないように願っています。
あー、本当は今夜はレンタルしてきた『ベン・トー』を見て、すぐに寝るつもりだったんだよな。それをこんなクソ馬鹿馬鹿しい発言に釣られて長々とした記事を書いてしまいました。反省。でも、久しぶりに純粋に感想以外の、己の生の感情を叩きつける記事を書けてよかったとも思っています。では、これから『ベン・トー』を見て寝ます。
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