トランジット信仰はほどほどに |  ZEPHYR

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ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

東京鑑定でもご質問を受けた人はいましたし、ここ数日の中の鑑定でもあったのですが。

「土星が自分の星座に来ます」
「冥王星が自分の太陽に重なります」
「天王星と冥王星のスクエアが、自分の○○上に来ます」

この種のことをよく質問されることがあります。

これ、すべてトランジット天体が自分の出生図の何かに関係しているという話です。

そして場合によっては、怖くてたまらない、というような感じ方をされている方もいらっしゃるようです。

これは世の中に氾濫している情報を、自分で拾い出して、それを気にされているわけですが。

多くの場合、たいしたことはありません。


もちろん絶対ではないのですが、その感じ方はトランジット天体を過大評価したものです。

トランジットというのは、経過のこと。

つまりその日その時のチャートのことで、今日なら土星は射手座の4.92度にあるとか、太陽は魚座の23度から24度にかけて運行中とか、そういう星のことをトランジットと言います。

また現在だけではなく、一年前の今日とか、2011年の3.11の時の星の状態、これらもトランジットです。だから「経過」なのです。


占星術師の多くは、その時の星の状態を読んでメッセージを発します。

たとえば今日の占いとかいうと、月の位置を見て判断している占星術師が多いようです。

また今月とか今年とか、そういうのを見るのも、何を見るのかというと、このトランジットなのです(私は毎月の占いに関しては、今タロットを使用しています。その理由は以前に述べました)。

だって、トランジット以外に見る材料がないから。

結局、木星が獅子座にあるから獅子座が幸運になるとか、土星が入ったから射手座は試練とか、そんな情報発信になってしまうのですが、実際、それだって

ずいぶんとずいぶんとずいぶんと

いい加減な話なのです。

連呼したくなるくらい。


木星が獅子座にあるからと言って、その幸運の作用を今受けている人はごく限られていますし、射手座の土星もしかりです。

自分の生まれ星座に入ったからと言って、その効果は自分を直撃することはありません。

太陽に重なって来るというのは相当な効果があります。

冥王星が自分の太陽に重なるというのはそれなりに意味がありますが、といって、もしこれで生きるか死ぬかみたいな事態になるのは、ごくごく稀です。
(冥王星は破壊と再生の星)

もしそうであるなら、今冥王星は山羊座の15度にありますが、この度数あたりに生まれた人、1月5日とか6日とか、そんな誕生日の人が、みんなそろいもそろって破滅的な経験をするのかはてなマーク

え? 世界中のその誕生日の人がはてなマーク

……

そのような発想はナンセンスそのものですビックリマーク

あり得ないことだと、皆さんもお分かりになるでしょう。


一般的に発信される12星座の占いとか、そういったものはトランジットしか見る方法がない。

それは実際には世間全体への影響のはずで、個人への影響は希薄です。

むろん世間の風潮や空気に呑まれるというのは誰しもあると思います。でも、それは間接的なもの。

個人の運勢は、個人のチャートの中にしかない。

その出生図とトランジットを突き合わせることは無意味ではありませんが、世間で考えられているほど決定的な力を持ちません。


そのときその人がどういう運勢で、どういう傾向のことが起きやすいか。

それを実際に読むには、世間にあふれているトランジット情報だけでは、絶対に無理ビックリマーク


そこに要因があれば、トランジットも補足的に幸運を助長したり、試練を強めたりすることはある。
また世間の波に乗りやすいかどうか、みたいな判断もできる。

今のトランジットの過大評価の風潮を、私はよく「トランジット信仰」と呼んでいます。

宗教とか信心みたいなものですし、都市伝説みたいなものでもあります。


みな、現れることのない口裂け女に怯えている(←古いですよねあせる

何かそういう状況に不健全なものを感じてならないゼファーなのです。





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