知り、そして受け入れること |  ZEPHYR

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ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

知ることが開運につながる。

自分の運勢を、性格を、未来を。

という記事を先日書きましたが、これには実は微妙なニュアンスがあったりします。

まずそもそも、その「知る」源泉が問題になります。



たとえばあなたが町で、「ガンダム占い」をしている人に出会い、その人から

「あなたの運勢はザクです。
ザクは来年、運気が最低です。
なにをしてもついていないでしょう」

と言われたとして、これを信じるのはどうなのかな? と誰しもが思うでしょう。

あるいはウルトラマン占いでもいいですよ。

「あなたはウルトラセブンの運勢の持ち主です。
なにかと苦悩が多い人生を歩みますが、目がポイントです。
よく見ることです。
それによって開運します」

などと言われても、「どーしたらいいの?」という感じではないでしょうか。
デュワッ、てするのか?

これらは非常に極端な例ですが、巷にはこういったものに近い占いをしている「占い師」も存在します。

私が申し上げたいのは、知る源、情報源ですね。

これについても、やはり皆さん、ちゃんとした判断力を持ってほしいということです。


たとえば私が最も長く関わっている西洋占星術について言うと、たとえば未来の運勢を読み取るにしても、ある程度の幅はあるにしても、たとえば4ハウスの土星に対して、7ハウスの進行金星がスクエアになるといったアスペクトがあるとしたら、

それは家庭や結婚、配偶者の愛情の問題や金銭問題として起きる。
愛情の冷えや、経済上の苦難という形を取る可能性がある。

とかなんとか、かなり絞り込んだ解読が普通に可能です。
もちろんこれだけではないし、他のハウスや支配星などの関連で、もうちょっと複雑で多岐にわたった解読になるかもしれません。

しかし、大筋は金星と土星のハードアスペクトというところには変わりなく、これを軸にした解読になることは間違いありません。

ところが。

「トランシットの木星があなたの生まれ星座に入りますから今年は幸運です」

という程度のアドバイスしかできない占星術師も、現にいます。

トランシットの木星が出生の太陽に合になると、たしかに幸運です。

もうずいぶんと昔、大学生の頃ですが、お正月に私は「異常なくらい」パチンコに勝った時期がありました(この当時は、まだこの程度の遊興はしていました)。

三日間ぐらいですが、とにかく座る台が爆発的に出続ける。

後で調べたらトランシットの木星が合になっていました。

ところが木星は動きが遅いときは順行と逆行を繰り返したりして、長くその星座のある度数付近に居座ることもあるのですが、動き出すと意外に早く(地球から見た天動説的な動きですから)、そうするとあっという間に太陽の下を離れてしまい、もう戻ってこないことも多い。

木星の効果の発揮する時期の長さや、また相談者の生活といったことも考慮に入れなければ、ちゃんとした判定はできません。

いえば、毎日遊んで暮らしている人には、せいぜいパチンコで儲かるくらいの幸運しか存在しないことになります。

逆に日々、何かを努力して生活を積み重ねている人が、木星のトランシットの幸運期に、なにかしら大きなチャンスをつかむことは大いにあり得ます。

そういった部分まで考慮した、つっこんだ占いが、巷で行われているのだろうか? と考えると、やや疑問です。

だから「知る」にしても、情報源となる人のことは、やたらと信じずに、慎重に見極めた方がよいだろうと思います。



もう一つの問題は、「受け取り方」です。

個人の運勢や未来について知ることは、それが厳しいものであれば、ときには一種の絶望感や暗い気持ちを与えることがあります。

「わたしって、こんなに悪いんだ」

「オチました」

「がっかりした」

という印象を持たれる方もいるでしょう。

私はたとえばメール鑑定でも、厳しいことを伝える一方で、よく読み込んでもらえば、解決策や希望が見えるように書き込んでいるつもりでいます。

いつも100%、相手に合わせたそれはできていないと思いますし、ときには失敗(うまく伝えられなかった)ことを実感することもあります。
人によっては書かれている「良くない」部分を非常にクローズアップして受け取り、そこばかりが焼き付いてしまうこともある。

単純にお客さんを獲得するだけなら、相手にとって耳障りのいい言葉を並べておけばいいというのも分かっていますが、あいにくそれはできません。

私は、いわゆる好ましくないことも知らないと変えることはできないと思っています。

むしろ知った方が必ずいい。

でないと対処もできないし、自分を変えることもできない。

運勢についての情報を、受け取る。

その受け取り方も重要なのです。


ホロスコープチャートは、人の魂の計画が表示されたものだというのが私のスタンスです。

だから、そこに表示されているのは神や天がその人に強制的に与えた運命ではなく、その人は「今回はこれだけの体験と学びをしておきたい」と決めたこと。

その中には場合によったら前世にできなかったことや、前世の行いを償ったりするということが含まれていて、ときには理不尽と思われるような苦痛の多い環境に身を置くこともあるかもしれない。

こういった領域のことも、最近、どうやらホロスコープの全体像の中にはあるらしいと実感することが増えてきました。

こういう魂の計画の中で、人は今回の人生を、その時々で選択し、生きてゆく。

その中には辛いことやうまく行かないことも当然ある。

恋愛でひどい目に遭う、切望しているのに結婚できない、成功したいのにいつもじゃまされる、対人関係で悩み続ける……。

これらはたいていホロスコープには出ていて、「ああ、やはり結婚はスムースにはできない。すべてにおいて満足のいく結婚はないだろうな」と思えるケースもあります。

こういったことを、まず受け入れてほしいというのが、私からの希望というのか、あります。

自分の運命を受け入れるというのは、絶望的にあきらめるのとは違います。

自分という存在をその運命も含め、認め受け入れること。

それは自分を愛することです。

自分の何かを否定することでは、なかなか幸せになれません。


運命を決めているのは本人です。

そこには意味があり、今の状況も自分の学びのプロセス。

「自分はこんなに難しいチャレンジを今回選んだんだ」

「これを解消することも人生の目的なんだ」

「厳しいけれど、生きていってみよう。これを受け入れた先に、きっと何かが変わる」

上手に受け入れることができた人の心には、きっとそんな変化が生まれる。

この心の変化こそが、運命の変化に大きく関係していると、私は思うのです。