これらは生きがいを実感しにくいというお話の続き。
この三つの中では、魚座(海王星)的な人の方が、まだ「人のためになることをしよう」という気づきに至れば、職業的にも日常的にも生きやすいはずです。
看護士になったり、セラピストになったり、カウンセラーになったり、また仕事にしなくても日常的に人に親切にするとか、人の喜ぶことをするのが生きがいの人はたくさんいます。
しかし、水瓶座は天王星の気質を受けていますから、常に人と違った変わったことをしようという意識が、ほとんど無意識的に働いてしまいますし、それは非日常的なものでなければならないので、まさに日常の中でその本質を生かすことは難しいのです。
社会や組織の中に属し、その中で新規企画や、新しいシステムを打ち出し、生み出していくような関わり方をすれば、ある程度は満足されると思います。これはどちらかと言えば、妥協的な解決です。しかし、多くの人はこれでOKです。というのは、天王星は社会の完全破壊を目的としませんから、これまでの中で変えていければ良いのです。
もっとも難しいのは、そう……蠍座・冥王星的な人なのです。
これらの星の作用が強く出ている人は、非常に宿命的な人生を歩みます。
良い例が私です(良い例かどうか、大いに疑問がありますが)。
私はアセンダント近くに冥王星を持ち、この影響をまともに受けて生きてきました。小説と占星術という二つのものに出会わなければ、結構破壊的な人生になったおそれはあります。
しかし、うまいこと導きを受けて、私は根が素直だったのか、その導きのままに推理小説(冥王星)を書くようになり、占星術(冥王星)にはまってゆきました。
私の冥王星は水星と非常に強固なトラインを持ち、生かしやすかったのです。
しかし、人生の節目節目で、本当に宿命的としかいいようのない出来事が起きてきました。冥王星の極限的な力を水星で変換することで、私の人生はかろうじてバランスを保っていると言えるのかも知れません。
水星は思考する力、ものを書く力ですから、私のような生き方をしてしまえば、冥王星の力を直観や物語の創作に費やすことができます。が、こういう風な生き方を誰もが選択できるわけではありません。
使われずに放置された星の力は、具体的な物事(人物や出来事)となってその人の前に現れます。これが占星術の法則です。無視しても星の力は消えないのです。無視したら、された分だけ強烈に人の前に出現します。
冥王星的な力が目の前に出現し、人生を翻弄されたり、かき乱されたり、また根底から破壊されたりする経験を持つ人は、これを使用しないから、と考えるのが理にかなっています。
つまり、逆に言えば、使用してしまえばいいということなのです。
では、どうやって? ということになってきます。
これはもう個人のチャートの問題になってきますから、一括りにまとめるのは難しいです。
しかし、あえて言うなら、冥王星は極限的な創造力を持つ星ですから、何か自分の才能なり興味のあることの中で、創造的な事柄にエネルギーを費やすのが良いということは言えるでしょう。
この世の中で人間にとって、もっとも創造的なこととはなんでしょうか?
それは言うまでもなく、生命の誕生(=子供を作ること)です。これ以上の創造的行為はありません。これがなくなったら人類は存続できなくなりますから、他のどの創造的行為よりも優先される、絶対的な必要性を持っています。
蠍座・冥王星が性の象徴となっているのは、結局、この生命の誕生という前段階に性交という行為が存在するからです。
生命をこの世に迎え入れるためには、あの世とつながらなければなりません。なぜなら私たちの本質(魂)はそこからやってくるからです。
それゆえに蠍座・冥王星は死後の世界や霊的な感性とも深いつながりがあります。
冥王星が重要なポイントにある人の中には、超能力や霊能力を発現させる人もいます。蠍座や8ハウスが非常に強化されていれば、そうした直感力や集中力といったものに優れていることにもなります。
生殖にせよ、あの世とのアクセスにせよ、共通しているのは「生と死」です。いや、正確には「生と死の境界線を越える」ということかも知れません。
このようなきわどい性質を持つ蠍座・冥王星だからこそ、この現世の中で自身の生きがいを見つけにくいということはあるかも知れません。いったい、それをこの世の何に置き換えたらいいの? ということになるからです。
置き換えるべきものは、非常に限られています。推理小説、占星術、原子力、爆発物処理班、レスキュー隊……。
だから蠍座や8ハウスが荒れた状況にあると、セックスそのものに乱れた生活を送ってみたり、あるいは悪質な異性からの被害を受けたりということも起きてきます。これはつまり置き換えるべきものを見つけられなかったため、もっとも身近に発生しやすい、体験しやすい事柄として起きているわけです。
しかし、冥王星がアスペクトを取っている他の星が、その力の受け皿となることはできます(私のように)。
その星位を確認するためには、やはり一人一人のチャートを見ていく必要はあります。
ただ……。
長々と書いてきましたが、冥王星の力が強力な人というのは、このような個人的な打算や意志を超えたところで生きているような傾向があります。目覚めるべき人は目覚めているし、目覚めを迎えないままに冥王星の力に翻弄される人は翻弄されるし。
そのような人生を、どこかで受け入れているような気がします。
だから、私があれこれ申し上げても意味がない場合もあるわけで(苦笑)。
なるようになる。
そんな人生もありかな。
個人の努力や意志よりも、運命の力の方が強力だぞ、というようなことを実感させられるケースも、この世にはあって良いと思います。すべてはそのような自分自身の計画だから。
そのようなイレギュラーな項目が、冥王星なのです。
だからこそ、生きがい論が一番生かしにくい。
私の周囲にも、冥王星の力が非常に強力な人が何人もいます。
長女もそうです。水瓶座生まれで、1ハウス冥王星(一番たちが悪そう……)。
他にも心配になってくる人が、ちらほらと。
願わくは、みんな、ちゃんと幸せになってほしい。
