やはり血は水よりも濃く、定めの人との絆はさらに…… |  ZEPHYR

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ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

とある日のこと。
ある人の占いに出向きました。
過去、二度ほど占ったことのある女性で、今回、お会いしたときには姓が変わっていました。以前、相性を占った男性と結婚されていました。
順調そうで、安心しました。
一人の女性が幸せになっていく、その過程を見ることができる自分もまた幸せだなあと感じました。

その方の他の家族のことを、今回は占ったのですが、上にお兄さんが二人いる三人兄妹ということでした。
「なんだか兄弟といっても、ばらばらなんです」
彼女の言うことは、実感として私も理解できます。私にも実は兄が一人いて、すぐ隣に住んでいるのですが、比較的若い頃から兄弟らしい気持ちの通い合いといったことが少ない関係でした。
子供の頃は、そりゃ遊んでもらいましたし、頼りにもしていましたが、兄は何かと気分屋で、今にしてみるとひどく些細なことでいつも怒られてばかりいました。弟の私は、どうしたら兄の機嫌を損ねずにいられるだろうと、二人でいるときにはそんなことばかり考えていたような気がします。

現在も何か問題が発生してもとくに親身になるということもなく、兄との関係はこんなものなんだろうな、と考えていました。隣に住んでいると言っても、互いの勤務時間の違いもあって、顔を合わせることすら希です。
近くに住んでいてもこんな状態ですから、彼女のようにそれぞれが別なところで暮らしていれば、よけいに気持ちの遠い関係になってしまうのも頷けます。

血も薄まれば水になる。
そんな言葉もあります。

が。

この三人の兄弟のここ数年の運勢を見て、私は驚きました。
なんと、全員に完全に共通した星があるのです。
太陽と金星の合(重なる)。
ほぼ同時期といって良く、ここ2、3年間くらいに強力に作用します。
太陽と金星が合になる時期は、普通の人生を生きていれば、たいていの人に訪れます(早世したりしなければ)。
しかし、当然のことながら生まれ年も異なりますし、生まれ星座も見事に三人、違っています。
太陽と金星の合になる時期は、出生ホロスコープをその後、年運として動かして計算しなければなりませんが、太陽と金星では運行スピードが異なりますし、出生ホロスコープ上で太陽と金星にどれだけの度数の差があったかということも、大きな問題です。
たった5才でそれが起きる人もいれば、30になってからとか、40を超えてからの人もいます。
たとえば一つの会社の中で、任意の人間を選び出して調べてみても、同時期にこれが起きる人間など希なのです。

しかし、この兄弟。
今、暮らしている居場所もバラバラ。上のお兄さんなど、大阪にいるそうです。
なのに、ここ数年の内に、三人にはまったく同じ星巡りが訪れるのです。

これは離れていても、彼らが共有する何かの出来事を暗示しているとしか思えません。
もちろん個別に、太陽と金星が示す事柄が起きるのだと考えることもできます。
が、だとしても同時期に同じ運気を共有している事実に変わりはありません。

単純に考えれば、三人の中でまだ未婚の二番目のお兄さんが結婚する、あるいは相談者であるその女性が子供を授かる、といった家族が共有できる喜び事が期待できます。
不思議なものです。
神秘としか言いようがありません。
このようなことが起きる確率は、どうやって計算したらいいのか分かりませんが、ものすごく、とてつもなく低いのはたしかです。

偶然などではない、と思います。

やはり血は水よりも濃い。それを星に教えられた気がしました。
そして同じ血を持つ人、あるいは血のつながりなどなくても、人生を共にするパートナーには目に見えぬ絆があるのなだと、あらためて知らされた思いです。

ちなみに太陽と金星の合は、様々な喜び事を意味します。恋人の登場や結婚、出産も招来しますし、昇進や金運の上昇、芸術活動の活性化なども。
人生の中でも、もっとも喜びの大きな時期の一つといえます。そう、たとえるなら、春の桜の満開の時期です。
私など、45~6年生きてきて、ようやく今、この時期を迎えています。もっとも遅い体験をするのが、私のタイプです。だいたいの人が、この年齢以下で経験するはずです(例外もあります)。
ある程度生きてこられた方は、胸に手を当てて考えてみて下さい。
その時期がいつだったか。

たとえば一つの学校や会社などの中で、その時期に同じ星を共有しているような二人がいれば、そのグループの中で恋人同士になったり、結婚したりしているものです。
そうして結ばれた二人が生涯の伴侶であるなら、その後の運気の流れの中にも、重要なポイントでは共有するものが認められるものです。

良いことも悪いことも、同じ体験をしていくのだという、たしかな刻印として。
証として。


皆様の人生が愛に満たされますように。