「今年、どんな年になるのかな」
「見てみましょうか?」
「見てみてよ」
「わかりました……」
そうして私はパソコンを起動させ、いつも使っている占星術ソフトで、今年の全般的な傾向を読み取った。某日、私が勤めているホテルのバーで、お客さんと私とのあいだで交わされた会話である。
「今年のキイワードは二点ですね。愛とカネです」
「愛とカネ?」
「この二つの部分で、社会的な乱れが生じます。それまでの枠組みが崩壊し、愛は打ち壊されます。これまで以上に愛の喪失が世の中に表出し、カネや刹那的な快楽だけを目的としたセックス、また不倫などが氾濫し、その乱れが世の中にはっきりとした形で現れるでしょう。カネの部分では金融システムの混乱や不調、失政などが出てきます。無駄なカネが湯水のように使われる一方で、真に必要とされる場所には行き渡らないといった現象が起きます」
「ほー。ほかには?」
「全体的な傾向をいえば、理想と現実との対立が挙げられます。理想と現実を付き合わせて昇華できればいいのですが、この場合、おそらく理想がくじけ、理不尽な現実のみが残されるでしょう。この理想と現実のギャップと、その結果の無惨さというものは、社会のあらゆる部分で出てくるでしょう。国政もそうですが、国際社会での問題にも、あるいは個人の問題でもこうしたことを痛感する出来事が多くなると思います」
「ふーん。なんか、こわいなあ」
「国で言えば、共産圏が良くも悪くも中心になります。北朝鮮、中国、キューバなどですか。六カ国協議で決められた北朝鮮との約束は、守られないか、守っているように見せながら嘘偽りがある可能性があります。北朝鮮は依然として苦しい国内事情があり、ますます国民は貧困と飢えにあえぎます」
「日本は?」
「日本は北朝鮮に対しては対立の姿勢ですが、拉致問題などの解決は今年中にはないでしょう。結局、うやむやにされてしまう可能性が大です。日本は中国とアメリカ、大国の思惑に翻弄され、右往左往する形です。日本に限定して言えば、先ほどの愛とカネの問題がもっとも強く出る国の一つです。一口に言うと、大不倫イヤー、大不正イヤーです。経済状態は思ったほど回復せず、それどころか失速する危険があります」
「はあー、なんか希望がないなあ。でも、多いもんねえ。今、不倫が」
「○○さんも気をつけて下さい。ロマンチックな気分に傾きやすい星がありますから」
「ドキ」
「国家で要注意なのは、共産圏と、あとインドですね」
「インド」
「なんらかの政情不安やテロ、あるいは地震などの危険があります」
(この会話をした後、先日、インドで列車火災が起き、テロとの噂が流れた。さすがに背筋に寒いものが走った。)
「イランやイラクは?」
「混乱が続きます。もう一つのキイワードは『海』ですね」
「海というと?」
「海洋資源の問題とか、あるいは海洋自体の問題、エルニーニョとかラニーニャの激しいものとか、あるいは大規模な海難事故」
「そういや、こないだもう事故があったよね」
「それに海底を震源とする地震も考えられます。インドで地震というのもありですが、日本もちょっと気になりますね」
「なんか、大変な年になりそうだね」
「今年はヤバい年なんですよ。いろんな問題が噴出するでしょう。権威が失墜する年でもあるので、国家元首の交代とか、あるいは選挙での大敗北とかいうのも、それまで大きな権威を持っていた国ほど起こりやすいはずです」
これが私が読んだ今年である。
HPにUPしようと思っているうちに、すでに現実になってしまった出来事もある。
皆さんも「愛とカネ」に注意を。