401k(確定拠出年金)について | 税金・節税の52の豆知識                   

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税理士がこっそり教える、節税・税金の基本のキホン。◆会社経営者、個人事業主の方は必見。◆法人税、消費税、所得税など税の基礎的なことから決算や経理についてもご説明します。  【山内会計事務所/石川県金沢市】

こんにちは。税理士の山内です。

今回は、確定拠出年金制度、いわゆる401kについてのお話です。


確定拠出年金制度(401k)とは、一言でいえば、掛け金や運用 商品を自分で自由に決められる、新しいタイプの年金制度です。

確定拠出年金という と、大企業の従業員しか関係ないと思っている人が多いのですが、全然そんなことはありません。


◎加入対象者について

個人事業主や中小企業の経営者・従業員も確定拠出年金制度に加入できます。

お勤めの企業で厚生年金に加入している人や、その企業が確定拠出年金制度に加入していない人でも、個人の意思で加入はOKです。

(ただしお勤め人に関しては、一部の例外を 除く。どういう場合かは、下記加入可能者イメージを参照のこと。)

(公務員および国民年金第3号被保険者、つまりサラ リーマンの配偶者は加入対象外です。)


確定拠出年金の加入可能者のイメージ図はこちら



◎従来の制度との違い

従来の厚生年金や国民年金のような確定‘給付’年金とは違い、確定‘拠出’年金は自分で拠出先、運用先を選び、その結果としての給付額は自己責任という制度です。

つまり、 確定拠出年金は、拠出された掛金が個人ごとに明確に区分され、掛金とその運用収益との合計額をもとに年金給付額が決定される年金制度です。

厚生年金基金等の企業年金制度等は、給付額が約束されるという特徴がありますが、以下のような問題点が指摘されていたことから、平成13年に公的年金に上乗せされる部分における新たな選択肢として確定拠出年金が導入されました。

・現行の企業年金制度は中小零細企業や自営業者に十分普及していない。

・離転職時の年金資産の持ち運びが十分確保されておらず、勤め先が変わったときへの対応が困難。


◎拠出したお金の運用の方法

1.運用商品の中から、加入者等自身が運用指図を行います。

2.運用商品は、預貯金、公社債、投資信託、株式、信託、保険商品等となっています。

3.運用商品を選定・提示する者は、必ず3つ以上の商品を選択肢として提示することとなっています。


◎確定拠出年金のメリット・デメリット

1.メ リット

掛金、つまり拠出額は、その個人の所得税の計算上、全額が所得控除の対象となります。

従来の厚生年金・国民年金・健康保険料などの社会保険料、小規模企業共済の掛金と同じく、払った金額が全て所得控除になるということです。

その他の メリットは、以下のとおりです。
  • 加入者個人が運用の方法を決めることができる。
  • 社員の自立意識が高まる。
  • 経済・投資等への関心が高まる。
  • 運用が好調であれば年金額が増える。
  • 年金資産が加入者ごとに管理されるので、各加入者が常に残高を把握できる。
  • 一定の要件を満たせば、離転職に際して年金資産の持ち運びが可能。
  • 企業にとっては、掛金の追加負担が生じないので、将来の掛金負担の予測が容易。
  • 掛金を算定するための複雑な数理計算が不要。

2.デメリット

  • 投資リスクを各加入者が負うことになる。
  • 老後に受け取る年金額が事前に確定しない。
  • 運用するために一定の知識が必要。
  • 運用が不調であれば年金額が減る。
  • 原則60歳までに途中引き出しができない。 (退職金の代わりにはならない)
  • 勤続期間が3年未満の場合には、資産の持ち運びができない可能性がある。
  • 加入者ごとに記録の管理が必要になるため、管理コストが高くなりやすい。


さて、平成21年度の税制改正で、この確定拠出年金制度は大きな改善がありました。


・改善点その1

以下のとおり拠出限度額が改正され、 より大きな掛金を出せるようになりました。

1.個人型で他に企業年金がない場合
改正前ー拠出限度額が月額1.8万円 → 改正後ー拠出限度額が月額2.3万円

2.企業型で他に企業年金がない場合
改正前ー拠出限度 額が月額4.6万円 → 改正後ー拠出限度額が月額5.1万円

3.企業型で他の企業年金がある場合
改正前ー拠出限度額が月額2.3万円 → 改正後ー拠出限度額が月額2.55万円


・ 改善点その2

企業型年金においては従来、個人拠出 が認められてなかったのですが、企業拠出と同額の個人拠出が認められるようになりました。

例えば上記の2.のケースでは、5.1万円の半分、つまり2.55万円まで個人拠出ができるということです。


今入っている厚生年金や国 民年金だけでは将来不安だと思って、証券会社等の金融機関で株式・投資信託や国債などに投資して老後の生活のために備えているという方も多いと思います。

しかし、上記のものに普通に投資してもその投資金額が所得税の控除になるわけではありません。
(売却損などがあれば話は別ですが。)

将来に備えて同じ金額を投資するなら、拠出したお金がそのまま所得控除の対象となる方がいいに決まっていますよね。

厚生労働省の確定拠出年金のサイト



確定拠出年金の申込みは、今ご自身で使われている銀 行や証券会社で「401Kサポートデスク」とか称して取り扱っているはずですから、そこに問い合わせたほうがいいでしょう。

ちなみに私は、地元の地方銀行を窓口とした東京海上日動保険の401kプラン です。


ネット証券最大手のSBI証券も401kを扱っています。
個人型  
企業型   


(銀行に問い合わせる場合は、あくまでもその銀行等を窓口とし、その銀行口座を引落し口と しての確定拠出年金として申し込むこと。
銀行の窓口では銀行が直接取り扱っている投資信託や金融商品を薦められるかも しれませんが、手数料が高くてロクなものがないので、気をつけてください。)

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税理士・山内司 / 山内会計事務所 【石川県金沢市】
〒 920-0993 金沢市下本多町6番丁40-1

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