大人本セレクト(58)…Arikaの「今日の棚の三冊」 | *音 楽 画 廊 2*

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Arikoのその日の気分で内容がかわります♪

■大人だから楽しんで読める、大人だから読んでほしい様々なジャンルの『大人本セレクト』をレビュー!

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VOL・058

ほん運び大人だからこそ読んでほしい、Arikaの「今日の棚の三冊」



気まぐれな悪意と暴力、蔑みと無関心が、いたいけな魂を凍りつかせる。
 過ぎ去りし王国の城/宮部 みゆき(著)

過ぎ去りし王国の城/KADOKAWA/角川書店

¥1,728
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Arika報告書v1アイコン拾った古城のデッサンに分身を描き込むことで、その世界に入り込めることを突き止めた尾垣真。そこで、塔に閉じ込められている少女を発見する。それが十年前のとある失踪事件に関連していることを知った三人は、ある計画を立てる…。「今」を引き受けて必死に生きるすべての人へ―心にしみこむ祈りの物語。






毎日毎日洗濯して、掃除して、ごはんを作る。それがゴールなら、わたしは誰とも恋なんかしない――。
 かわいい結婚/山内マリコ

かわいい結婚/講談社

¥1,620
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Arika報告書v1アイコン家事嫌いの専業主婦の日常、女に変身した男が遭遇した世界など、「結婚」がテーマの小説集。『女』の理不尽さに振り回される女と、全く無意識に男尊女卑の男が出てくるのが共通かな…。違和感に気付いてる若い女性と知らず取り込まれている年配の女性の構図も…。山内さんの作品は、こういったことを身近に落とし込んで描写するのに、ジメジメしておらずどこか風が抜けるというか……理不尽ではあるし今の所その環境に在るしかないが、結構面白いこともあるのよ、みたいな、気持ちの面での空気抜けがある。男より女が大変とは思わないけど、性差で男が気付けないことは沢山あると思う。 男と女と世界のギャップを可笑しくも痛切に描く。




自分以外の人間は誰も信じるな―― 子供の頃からそう言われ続けて育てられた。
 森は知っている/吉田修一

森は知っている/幻冬舎

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Arika報告書v1アイコン『太陽は動かない』の登場人物の少年時代の話。あの日、某産業スパイ組織の訓練を受けている親友が姿が消した。彼の行方を案じながらも、鷹野一彦は訓練最終テストとして初ミッションに挑む。前作『太陽は動かない』には少なからず不満を抱えていただけに、本作によって多くの謎が解けた。エピローグの最後のページの後に、文庫本の広告。あ~AN通信の鷹野!ここで初めて『太陽は動かない』の前日譚だと気づいた。彼らの生い立ちや組織の不気味さと相反する南蘭島の眩しい情景が、悲しかったが、鷹野の高校卒業までの友情や恋愛は彼の純粋さをはっきり浮かび上がらせて、このシリーズを良い意味で引き締めている。第三弾から更に良くなって行くような期待感を持たせる作品だと感じた。