呪文 | zappaはzappingがお好き

呪文

呪文。

JUNONじゃないですよ。

呪文ボーイ、なんちゃって。

GWも最終日になればこんなレベルの低いギャグも許せてしまう、そんなことってないですか?

ない、あっそう…。


あの「金スマ」っていう番組は、ゲストがイマイチ好きではないんですが良い内容のものがある。

両耳が全く聴こえないのに、交響曲を書き上げた衝撃の作曲家・佐村河内守。

金スマの前にNHKスペシャルでも特集が組まれたので、ご覧になった方もいるでしょう。


“現代のベートーベン”と呼ばれる日本人がいる。佐村河内守(サムラゴウチ マモル)、49歳。14年前に原因不明の病で両耳の聴力を失いながら、クラシック作品の中で最も困難とされる交響曲を書き上げた。現存作曲家の交響曲が演奏される事がほとんどない中、彼の「交響曲第一番“HIROSHIMA”」は、広島、東京、京都、大阪など5回も演奏されただけでなく、一昨年発売されたCDは、音楽チャートでTOP10入りを果たしJ-POPと上位を競うなど、“偉業”とも言える空前のヒットを記録した。


この人を知った時の感動を説明するには余りにも私の表現力は乏しすぎる。

だから熱くは語らないけれど、彼の半生に衝撃を受けた。

そして取材で示された、若き日の作曲ノート。

一見、何かの模様に見えるそのノートはびっしりと五線譜で埋め尽くされていた。

生活に窮していた若き日、紙が勿体ないからと、白い部分が見えなくなるまであらゆる方向から書かれた音符たち。

とても美しい幾何学模様のようだった。


書き上げた交響曲の演奏会で沸き起こる歓声や賞賛の拍手を、彼は聞くことができない。

目に見える大喝采と、無音の世界の隔たり。

その悔しさや惨めさ(本人の表現)はいまも彼を苦しめているという。

そして聴こえない耳を襲う、耳鳴りや激しい頭痛を抑えるため、毎日何十種類もの薬を飲み、

吐き気と戦いながらトイレの前の廊下に這いつくばって譜面にペンを走らせる。

壮絶。

という陳腐な表現しか浮かばないけれど、壮絶。


えー。

人間、あまりに感動するとショックに近い状態になりますね。

その日から私の中で「サムラゴーチ」という言葉は呪文になった。

いまエセOLとして毎日仕事に通う身になった自分。

悔しいことや腑に落ちないことや凹むことも多い。

その落ち込みは、自分を奮起させる凸と合わないくらい凹みの溝を深くすることもある。

そんな時。頭の中で呪文を唱える。

サムラゴーチ、サムラゴーチ。

人の名前を失礼な話だけれど、その凸は偉大すぎて私のちっぽけな凹を覆い隠してくれる。


人間ってすごいなあ!!!


連休が終わり、明日からまた勤労の日々。

出勤途中、いつも会社に着く寸前に会社ビルのロゴが視界に入ってくる。

それを見た時、めげないように。

サムラゴーチさん。

こんなちっぽけな人間の悩みのためにお名前を借りてすみません。

でも、このちっぽけな人間はお陰様で救われています。


ありがとうございます。