インペックスがイラン・アザデガン油田から撤退へ | ☆___________「財界」日本経済を斬る!!!

インペックスがイラン・アザデガン油田から撤退へ


後釜を狙って中国企業が進出



「日本政府、関係者と相談した上で決めていくことになる」と話すのは、国際石油開発帝石(インペックス)幹部。二〇一〇年十月、インペックスは、イランのアザデガン油田から完全撤退する方針を固めた。同社は油田権益を一〇%保有している。



イランには「核開発疑惑」があり、米国は強硬姿勢をとり続けている。一〇年七月には「イラン制裁強化法」が成立。対象となると米系金融機関との取引が停止になる。インペックスは今後七年間で約4兆円規模のプロジェクトを抱えており、資金調達は死活問題。結果、米国に配慮せざるを得ず、苦渋の決断を迫られている。



インペックスがアザデガン油田の権益を獲得したのは〇四年のこと。イラン南西部に位置し、埋蔵量は世界最大級の二百六十億バレルと推定されている。この油田権益の七五%を確保して開発の主導権を握り、「日の丸原油(自主開発原油)」復活として、日本は沸き立った。



だが、〇六年にはやはり核問題を契機に、イランでの開発を米国が問題視、保有権益を七五%から一〇%に縮小していた。今回さらに、残された権益も放棄せざるを得ない状況になっており、これでイランにおける日本の油田権益はゼロになる。



イラン側は、米国とイランとの板挟みになる日本の立場に一定の理解を示しているが、インペックスの撤退が核問題の制裁目的なら、将来的にイランでの油田開発への日本の参入を認めない方針も示し、牽制している。



日本は、自主開発原油の比率を三〇年までに四〇%に高める目標を掲げている。アザデガン油田を手放すことで、この目標達成のハードルはさらに上がる。



さらに、インペックスの後釜を狙って、中国の石油会社がアザデガン油田に参入してきている。同油田権益の七〇%を譲り受け、開発の主導権を握る可能性が高まっている。



今回のアザデガン油田を巡る問題は、世界の国と国とがぶつかり合う狭間にある。〝資源獲得競争〟が激化する中で、日本としての資源獲得策が改めて問われている。