国際的自己資本比率規制が決定 資本不足に悩むみずほFG | ☆___________「財界」日本経済を斬る!!!

国際的自己資本比率規制が決定 資本不足に悩むみずほFG

「貸し渋り」への懸念の声も…



「なぜ、こんなに厳しいのか」とため息をつくのは、大手銀行関係者。



主要国の金融監督当局でつくるバーゼル銀行監督委員会(スイス)が今月十二日、首脳会合を開き、国際業務を行う銀行の新たな自己資本規制として、普通株などを中心とした質の高い「中核的自己資本」の比率を実質的に七%とすることで合意した。全体の自己資本比率の最低基準は、これまでの八%から一〇・五%にする。二〇一三年から段階的に適用し、一九年から全面適用する。


アナリストらの推計では、メガバンクの中で最も低い水準のみずほフィナンシャルグループが四%程度にとどまっている。各銀行は、一九年一月までの与えられた猶予期間までに、アジアをはじめとする海外事業を中心に、利益を積み増して資本を拡充していく考えだ。



例えば、みずほFGは海外事業に加えて、グループ内のシステム統合や人事配置の見直しなどを通じて1兆円の内部留保を積み上げる「みずほ変革プログラム」を打ち出し、アピールしている。



ただ、アメリカやヨーロッパをはじめ世界経済の減速感が高まる中、メガバンクなどが打ち立てている利益計画が、想定通りに進むかは不透明だ。



また、自己資本が現時点でも基準を満たしていなければ「資本不足の銀行である」と市場から見られ、猶予期間の終了まで待たず、資本の積み増しを急ぐよう求められることになりそうだ。



そんな中、現実性が高まりそうなのが、手っ取り早く資本を拡充できる増資だ。ただ、大手三銀行は一昨年秋以降、二回にわたって巨額の増資を手がけており、株の希薄化による株価低迷に対して、株主は不満を持っている。そう簡単にはとれる手段ではなさそうだ。



銀行によっては、リスク資産を削って自己資本比率を高めるために、融資を減らす「貸し渋り」に走ることになるかもしれない。



そうなれば、中小企業などの倒産が相次ぎ、景気回復の腰折れ懸念も出てくる。銀行は、難しい決断を迫られそうだ。