「十年後に国内証券一位」を目指す強気な日興コーディアルの狙い | ☆___________「財界」日本経済を斬る!!!

「十年後に国内証券一位」を目指す強気な日興コーディアルの狙い

日興コーディアル証券が掲げた「壮大な」経営目標が、金融界で話題を集めている。



三月二十六日。日興の部店長会議に続く記者会見で、社長の渡邊英二氏は日興の十年後の姿として、「本邦ナンバーワンで、グローバルにも競争力を有する総合証券を展望する」とぶち上げた。そのステップとして、二〇一三年三月期の経常利益を一〇年三月期見通しの二・六倍の1000億円に引き上げたい考えで、従業員数も今後三年で一千人増やし八千人体制にする。



不正会計問題で経営危機に陥り、米シティグループから三井住友フィナンシャルグループ(奥正之会長)と渡り歩くなど、辛酸をなめ続けた金融機関にしては、大風呂敷を広げた感もなくはない。



だが、日興の周辺からは、背に腹はかえられない事情が伝わってくる。ある幹部は「三井住友からは『結果』を早く出すよう暗に求められている」と肩をすくめる。三井住友は当初、買収した日興を提携する大和証券グループ本社と合体させ、野村ホールディングスを凌駕する絵図を描いていた。



しかし、大和との法人向け業務は合弁解消。野村や大和などライバルからは「脆弱な法人部門など、日興の弱みを突いた攻勢が始まった」(メガバンク幹部)。主幹事証券も歴史的に関連の深い三菱系企業が相次ぎ離脱。増員の半分を法人部門に振り向け、収益に占める割合を約一割から三割強まで引き上げる目標も、日興の買収効果を市場に早く示す狙いがあってのこと。



あえて高いハードルを日興に課すことで、「背水の陣」で臨む姿勢を示したとも言える。