日産が中国市場で販売台数大幅増 | ☆___________「財界」日本経済を斬る!!!

日産が中国市場で販売台数大幅増

日産自動車(カルロス・ゴーン社長)の二〇〇九年の中国での新車販売台数が、前年比三九%増となる七十五万六千台に達した。



躍進の理由の一つは、中国政府の購入補助政策の対象となる総排気量千六百CC以下の車が、ほかの日本のメーカーより多かったこと。もう一つは、内陸部への販売攻勢を他社に先んじて進めることができたことだ。中国での合弁相手がもともと内陸部で強みを持ち、販売網が充実していたことも奏功した。



今後の見通しについて、合弁会社「東風汽車」の中村公泰総裁は昨年末、「中国のマイカー需要は根強い」と、今後の成長に自信を示した。同時に、年間百万台の販売目標を一二年から一〇年に前倒しし、小型の世界戦略車の発売を始める考えも示した。



ただ、現在の日産の収益構造は〝中国偏重〟になりつつある。今期の日産の中国販売の営業利益は600億円程度となり、営業利益全体の五割近くに達するとの見方も浮上。この事態で連想されるのが、「かつてのホンダの〝北米一本足打法〟」(アナリスト)だ。



ホンダの収益構造は以前、北米に大きな比重があり、〇六年時点で売上構成の四割超。このため経済危機の波をもろに受け、収益構造の改善に苦労している。



現在、かつて〝米国市場一本足〟といわれたホンダのように収益があがる市場が片寄っているのは、日産とインドに強いスズキくらい。しかしインドで圧倒的なトップシェアを誇るスズキと比べ、中国での日産は脆弱だ。しかも、中国市場の先行きには不安要素もある。購入支援の減税幅は小さくなる見込みで消費を冷やす恐れがあるほか、政情不安のリスクも大きい。



電気自動車の本格量産という大きな賭けに出る日産。次世代を見据えた戦略を加速させるためにも、万全の収益構造を構築しておく必要がありそうだ。