東京メトロがワンマン運転を進める理由 | ☆___________「財界」日本経済を斬る!!!

東京メトロがワンマン運転を進める理由

東京地下鉄(メトロ、梅𥔎壽社長)が3月28日より、丸ノ内線全線でワンマン運転を開始した。



同線は一日当たり約110万人が利用し、朝のラッシュ時には1分50秒間隔で運行する過密路線で、運転士と車掌が一人ずつ乗車し、車掌は車両ドアの開閉や車内放送などを担当していた。しかし、今回のワンマン化の実施に伴い、これらの業務は運転士が引き継ぐことになる。



同線のワンマン化実施の背景にあるのは、単なる人件費削減だけでなく運転士不足に対する措置でもある。首都圏で地下鉄が次々と開通した昭和30年代~40年代にかけて採用した団塊の世代の運転士たちが退職することになるからだ。


1959年3月の丸ノ内線池袋—新宿間全線開通を皮切りに、64年8月の日比谷線北千住—中目黒間、69年3月東西線中野—西船橋間など開通ラッシュが続いた。その時期に採用した運転士たちが退職するという。


運転士は長距離の特急などに憧れる傾向にあるため、地下を走る地下鉄での運転士確保は簡単にはいかない」と同社関係者も頭を悩ませる。



同社ではワンマン化の実施に合わせて、ホームドアの設置や次駅の所定位置に止まる自動列車運転装置(ATO)の導入に約100億円投じた。



丸ノ内線は「相互直通運転をしておらず、車両の規格が統一されている。そのため、ホームドアの規格も統一したものでの設置が可能」(同)となった。



昨今の鉄道業界では相互直通運転が増え、利用客の利便性の向上や再開発にも大きく寄与している。しかし一方で、07年度の30分以上の遅れが97年度に比べて約四割増加。遅延に対する対策も不可欠と言える。



東京メトロによれば、ワンマン化は「今後の状況によっては他路線にも広げていく」という見通しだが、人身事故の未然防止などにも措置を講ずる必要がありそうだ。