日本版グリーンニューディール③三菱商事‐岡本硝子 | ☆___________「財界」日本経済を斬る!!!

日本版グリーンニューディール③三菱商事‐岡本硝子


三菱商事と組んで新興国に太陽光発電を売り込む岡本硝子



「地域を限定すれば、非常に強みがあるんです」と話すのは、岡本硝子営業本部開発営業部次長の久保田規明氏である。



世界規模で市場が拡大する太陽光発電。現在、主に使われている原料であるポリシリコンは近年不足しており、一時価格が高騰、各社が確保に向けて様々な策を打ってきていた。



そんな中、三菱商事と共同で、「集光型太陽光発電」システムの基幹部分に使用される反射鏡及びレンズの開発に取り組んでいるのが岡本硝子である。



岡本硝子がこの事業に乗り出すきっかけは、同社が培ったコア技術にあった。岡本硝子のコアはプロジェクター用反射鏡やフライアイ(蝿の目)レンズのガラス成型・加工技術、薄膜技術である。



「それらの技術を使って何か他の市場に参入できないか、とずっと検討していました。そんな時に集光レンズができないか、という問い合わせがたびたびあったんです」(久保田氏)



樹脂は熱に弱く、耐光性に劣るという課題がある。そこに耐え得るのはガラスではないか、という市場のニーズと、岡本硝子が模索していた新規事業がうまく合致したのだ。



さらに三菱商事も、太陽光発電について、川上から川下までのシステム構築を模索していたことも重なって、光学ガラスのリーディングカンパニーであるオハラを加えた三社共同で、ガラス製集光レンズの事業に取り組むことになった。



太陽光発電の課題は、いかにコストを安く、効率よく電気を生むことができるかである。いろいろな方式がある中で、集光型の利点は、地域を限定すると圧倒的に発電効率が高いこと。



小さなセルに光を集めて、電気に変換する方式だが、できるだけ多くの光を取り込むことがシステム全体の効率につながる。そのため、「日射量の少ないところでは、あまり効果がありません」(久保田氏)



集光型が力を最も発揮する限定された地域とは、日射量、広大な土地などを兼ね備えた赤道直下や砂漠などである。現在は、例えば日本などのような国では、必要とされる日射量は得られないという。



ターゲットとなり得るのは、まだ電源が引かれていない新興国や、石油を海外に輸出して、自国のエネルギーは再生エネルギーで賄おうと模索する中東産油国などである。「地域は限られますが、“我が道を行く”という意味で、他の方式と棲み分けができると思います」(久保田氏)



課題は、ニッチな市場を狙っていて、競合他社がいないこともあり、コストがなかなか下がってこないことと、他の方式と同様に発電効率を高めることである。



社長の岡本毅氏も全面的にバックアップしているという。「培った技術を生かして環境に貢献できれば、これ以上の喜びはありません」(同)



まずは、来年度には商業ベースとして事業が立ち上がる見通し。「2010年を『集光元年』にしていきたい」(同)として、社内の士気も上がっている。


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