(23)09年の景気・株価、国際情勢はこう動く―旭化成社長蛭田 史郎氏
医療やエレクトロニクスなど高付加価値製品の需要は高い
―—— 金融も新しいビジネスモデル構築の年になりそうですね。旭化成社長の蛭田史郎さんは、モノづくりの立場から見てどんな年になりそうだと思いますか。
蛭田 08年は梁瀬さんがご指摘の通り、アメリカの国家税収の大部分が金融だという部分については崩れたわけです。そうすると、むしろ今後はモノづくりに対する見方なり、重要性というのが増してくるだろうということです。
つまり、今まではモノづくりがサブで金融がメインだったのが、モノづくりがメインになり、そのサポート役として、潤滑油のような役目を金融が担うという形に変わっていく年になるだろうと思いますね。
―—— 旭化成はいろいろな事業会社に分類して、ホールディングス体制になったわけですけれども、09年の重点分野はどんなところですか。
蛭田 今回の金融危機による実体経済の落ち込みを詳細に見てみると、非常におもしろいことが分かったんです。やはり、汎用品については相当大幅に落ち込んでいるけれども、我々がこの数年間注力してきた医療、医薬、それからエレクトロニクスといったスペシャリティはあまり落ちていません。
だから、逆にいうと、見直すかという意味で見れば、今まで数年間、重点エリアとしてきた分野を、むしろもっともっと加速する必要がある。
ただ、一方では、先ほどの資源価格の変動が相当不安定要因になるので、これを新しい時代に合った構図へ対応していくということが必要ですね。
―—— なるほど。やはり、強みは汎用品ではなく、スペシャリティだということですね。
蛭田 ええ。日本の一番の強さというのは、家電であれ、自動車であれ、あるいは省エネ対応商品やフラットパネルであれ、最先端の最終需要先が国内に存在するということです。そして、それを改良するというR&D機能が日本企業にきちんと確立しているわけですよ。
その確立された産業をサポートし、また同時に我々の手掛ける材料を、高機能化できる体制ができている。そういう異業種とのすり合わせやコラボレーションが組みやすい形ができているということが、日本の素材産業にとって大きな武器だろうと思いますね。
―—— 今後も他の企業とのコラボレーションは考えていくんですね。
蛭田 はい。09年度に富士に新しい研究所が完成しますが、ここは大学や素材メーカー、さらに我々の上流の方とのコラボレーションができる機能を備えた研究所にするつもりです。だから、ここから新しいものをどんどん創造していきたいと考えているんです。
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